CLASS3103 三十三組

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【読書】とんこつQ&A

2024-09-25 21:00:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
とんこつQ&A  作:今村夏子

相変わらずとんがった短編集だと思いつつ
凄く楽しく読み終えた、読み終えてから少し怖がっている
そんな終わってからくる不気味さがたっぷりの、いい小説だった

恐怖とは異なると思うのだけど、読み終わって、ごく普通の話しだったという余韻のまま、
絶対普通の話しちがうじゃないかという部分を徹底的に無視している
そういう状態が浮かぶような感覚が、実に素晴らしくて
一見すると結構いい話しだったり、ちょっとした嘘をごまかしていただけだったり
どこにでもありそうな、居心地の悪さといったらいいか、
未必の故意に近い悪意といえばいいか、なんか、うしろめたいものを隠し続けて
そのまま過ぎ去る、その感触、感覚をトレースするような寒さがあって
大変面白いのでありました

表題作は、ひょんなことから働き始めた中華料理屋で、
おかみさんのようなことをしていたら、第二のおかみさんのような人がやってきて、
そのコントみたいなんだけど、グロテスクな関係性が見事で
また、そのスイッチみたいなのが、メモを読まされたということで
すかっと解決するとか、
そういう、なんかひょんなきっかけで、できないことができるようになると同じ感覚が
秀逸すぎるというか、誰でも覚えがありそうなそれを、
そんな不気味なスイッチに使うのかよという、作者のグロテスクさ(褒めてる)が
まぁ見事すぎて素晴らしいと感激して読み終えたのである
なんとなく、いい話しだったっぽい終わりだけど、全然よくないだろと思わせるところが
実にすばらしい

この他も、よかれと思って子供におやつをあげていたら、
なんか怪我をさせてしまう事態になってその場から逃げて鳥繕いのあげく
梯子外したというか、子供に最低のことをしてしまう
でも、それはなんとなくふわっとなかったことというか、うまいこと
その間違ったままで処理されておとがめなしでしたみたいなのが
まぁ、なんというか、凄いな
悪いと思っていながら、その重さがないというか、
申し訳ないと思っているけど、その事態のひどさと釣り合ってない感じ
これもまた見事でありました

人間観察からくるものではないと思いたいのだが、
物凄く人間を描写している、こういう感覚、感じ、瞬間があるなと思わされる
その切り取りが、軽妙にされているけど、重い事実として書かれていて
本当、読むと面白いんだけど、落ち込みそうになる加減が見事で
大変よかった


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