サド侯爵の呪い 伝説の手稿「ソドムの百二十日」がたどった数奇な運命
著:ジョエル・ウォーナー
小説のようでもあるけど、ドキュメンタリとしてよいと思う
サド侯爵とその禁書ソドムの百二十日の歴史をたどったお話で、
侯爵がこの本を書いたところから始まり、
その本がどのように伝わったかという話しと、サド侯爵の半生が描かれて、
壮大といっていいのか、ある種の思想史のようでもあり、
一介の犯罪者というべきか、変態の一生を描いたという本でもある
そんなものでありました
名前は聞いたことあるけど、
実際に、この禁書も含め、ひとつも知らないため、
「サディズム」の語源の人だということしか知らないまま読んだので、
書かれていることの半分くらいしか理解できなかったと思うのだが、
それでも相当に面白くて、そして、まったくその著作や思想に触れていないのに、
なんとなし、ヤバイこと考えて、物語なりに落とし込んでいて、
なんなら自分でもやってた人物なんだなというのが伝わってきて
とてつもなく好奇心をくすぐられる内容だった
サド侯爵の人生といえばいいか、ともかく、
腐れ貴族といっても差し支えなさそうな傲岸さと、
一種の狂人的発想と行動、その思想めいたものが、
月日が経つにつれて革新と呼ばれるようになってというあたりが
なかなかドラマチックというか、面白いところであるわけだが、
フランス革命とも、ある意味密接に関係があるというのも面白いところで
その自由な発想思想というのは、嗜虐凌辱の部分はおいといて、
自身の精神の発露、何物にも束縛されないという自由の渇望という点においては
まぎれもなく革命家っぽくもあったようでもあり、
また、そう装っていたようでもありというのが面白いところ
実際がどうであったかといえば、やっぱり、ただの変態だったんだろうと思うのだが
それでも、何かしら突き抜けたものがあった、
一種の芸術家というか、芸術作品めいた人物だったんじゃないかと思わされたのでありました
そして、その人物が書いた本が、バスティーユの牢獄から運び出されて、
まさに数奇としかいいようのない流れで、焼かれることもなく、喪失されることもなく、
書狂の人に愛されたというか、その希少奇妙があわさった本というのが
不気味な価値をもって、副題の通り呪いのごとく
持ち主の間を行きつわたりつしていくというのが面白かったのである
この昔からの文書というものが投資対象になるという
なかなかスキャンダラスでありながら、骨董ともまた異なるそれが
ヨーロッパの狭いマーケットで詐欺のように横行していたという話しもかなり面白くて
大変よろしい本でありました
結局骨董というところの不条理というか一種の不寛容および秩序による不正めいたものが
顕現したみたいな感じが、たまらなく面白いと思えたのである
この部分だけでも相当に面白くて、
現代社会におけるマニアのこだわりというものに通底する何か、
このカルマめいたものを描いているようにも見えて面白かったのでありました
これをかわぎりに、妙なマーケットの歴史みたいな本とか
そういうの凄い読みたいなと思わされたわけだが
ある種の歴史本であったと思いつつ、楽しく読んだとメモっておくのである
著:ジョエル・ウォーナー
小説のようでもあるけど、ドキュメンタリとしてよいと思う
サド侯爵とその禁書ソドムの百二十日の歴史をたどったお話で、
侯爵がこの本を書いたところから始まり、
その本がどのように伝わったかという話しと、サド侯爵の半生が描かれて、
壮大といっていいのか、ある種の思想史のようでもあり、
一介の犯罪者というべきか、変態の一生を描いたという本でもある
そんなものでありました
名前は聞いたことあるけど、
実際に、この禁書も含め、ひとつも知らないため、
「サディズム」の語源の人だということしか知らないまま読んだので、
書かれていることの半分くらいしか理解できなかったと思うのだが、
それでも相当に面白くて、そして、まったくその著作や思想に触れていないのに、
なんとなし、ヤバイこと考えて、物語なりに落とし込んでいて、
なんなら自分でもやってた人物なんだなというのが伝わってきて
とてつもなく好奇心をくすぐられる内容だった
サド侯爵の人生といえばいいか、ともかく、
腐れ貴族といっても差し支えなさそうな傲岸さと、
一種の狂人的発想と行動、その思想めいたものが、
月日が経つにつれて革新と呼ばれるようになってというあたりが
なかなかドラマチックというか、面白いところであるわけだが、
フランス革命とも、ある意味密接に関係があるというのも面白いところで
その自由な発想思想というのは、嗜虐凌辱の部分はおいといて、
自身の精神の発露、何物にも束縛されないという自由の渇望という点においては
まぎれもなく革命家っぽくもあったようでもあり、
また、そう装っていたようでもありというのが面白いところ
実際がどうであったかといえば、やっぱり、ただの変態だったんだろうと思うのだが
それでも、何かしら突き抜けたものがあった、
一種の芸術家というか、芸術作品めいた人物だったんじゃないかと思わされたのでありました
そして、その人物が書いた本が、バスティーユの牢獄から運び出されて、
まさに数奇としかいいようのない流れで、焼かれることもなく、喪失されることもなく、
書狂の人に愛されたというか、その希少奇妙があわさった本というのが
不気味な価値をもって、副題の通り呪いのごとく
持ち主の間を行きつわたりつしていくというのが面白かったのである
この昔からの文書というものが投資対象になるという
なかなかスキャンダラスでありながら、骨董ともまた異なるそれが
ヨーロッパの狭いマーケットで詐欺のように横行していたという話しもかなり面白くて
大変よろしい本でありました
結局骨董というところの不条理というか一種の不寛容および秩序による不正めいたものが
顕現したみたいな感じが、たまらなく面白いと思えたのである
この部分だけでも相当に面白くて、
現代社会におけるマニアのこだわりというものに通底する何か、
このカルマめいたものを描いているようにも見えて面白かったのでありました
これをかわぎりに、妙なマーケットの歴史みたいな本とか
そういうの凄い読みたいなと思わされたわけだが
ある種の歴史本であったと思いつつ、楽しく読んだとメモっておくのである