CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】パイルドライバー

2017-09-15 20:58:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
パイルドライバー  作:長崎 尚志

ハードボイルド小説といっていいんだろうか、
刑事モノ小説で、未解決の世田谷一家殺人事件をモチーフにしたと思われる内容、
それと同じような事件がまた起こりと、書いていたら、
なんか64もそういう筋だったよなと思い返したんだが、
そもそも、過去の事件の繰り返しというのはよくある手法なんだと
思い至ったのであります、読書量が足らないなぁ

さて、それはよいとして、その模倣なのか、あるいは再度なのか、
そのあたりの謎を追いかけつつ、警察内にも謎の圧力だとか、
様々な陰謀めいた話が出たり入ったりして、
煙にまかれながら話が進んでいく
主人公は、警察辞めようかと迷っている弱弱しい刑事で、
そこにベテランというか、既に引退していた辣腕OB刑事がやってきてと
クラシカルな二人組みが事件に挑んでいくのであります
この二人の関係もなかなかステキな感じでありながら、
主人公が成長というよりも、その才能を適応させていく
向いていないと思っていた刑事の仕事に
だんだんと目覚めていくような展開がステキで
読んでいて、わくわくさせられるのでありました

それでいて、物語、いわゆる捜査の進展は
進んでいるような、そうでもないようなということが
何度も繰り返されたりして、やきもきしつつも
辣腕OBの素晴らしさで少しずつ近づいていくんだが
これを疎ましく思ったり、なんだかんだがあってと

はては、移民問題だとかもかかわりだしてと
えらいことになったと思えば、真相はなるほどというところに
落ちていくのでありました
解けてしまうとなんというでもないと思えるけども
非常に面白い小説でありました

昔モーニングでやってたマンガに似ていると思ったんだが
どうもその原作者の人だったようで、移民について一家言というか
ひとつなにかあるんだろうなと思わされたりしつつ
関東の移民状況というのはどんなものなのか
なんだか、気になったというか興味深いと思わされたのでありました

【読書】危険な世界史

2017-09-14 19:50:03 | 読書感想文とか読み物レビウー
危険な世界史  著:中野 京子

読む順番が逆になってしまいましたが、
ちょっと前に読んだ運命の女篇の第一弾のほうであります
前回と違って、映画紹介ではなく、本当に世界史の様々な出来事を
ちょっとずつ紹介しているというコラム集で
豆知識を読み進めていくような読書となって
電車で読むにはうってつけでありました
非常に面白かったんだが、いかんせん、数が多いのでほとんど覚えてられないという
自分の頭の悪さを呪いたくなるものである

さて、内容はちょっとゴシップめいたというか
面白おかしい話が多いのも確かなため、歴史本というほど堅苦しくなくて
肩の力を抜いて読むことが出来る内容でありました
有名なというか、これはもうこの作者の持ちネタなんじゃないかという
モーツァルトとアントワネットの少年少女時代の話だとか、
ハプスブルク家に訪れる不幸の話だとか
たぶん、当時のゴシップで楽しんで描かれたであろう挿話が
これでもかとさりげなく盛り込まれていて
非常に面白いのでありました
もっと、世界史の知識があると楽しめるんだろうなとも思えるのであります

好きな世界史というか、英雄が若干偏っているのかもと思わされるところで、
マリア・テレジアと、フリードリヒ大王が頻出しているのが楽しくて、
この二人の傑物っぷりが、挿話もあわせて凄いことだったんだなと
改めて世界史というか、こういう世界の面白さを
堪能させてくれるのであります
いずれも頭のよい人であって、そういう人がやはり
皇帝だとか、なんだとかになるんだなと思わされるのである
中世といわれればそうだけども、名君の下、その統治は見事であったのか
気になるのでありますね、現代人として

王家王族ばかりではなく、芸術家なんかもあれこれと書き連ねてあるのも興味深く、
モーツァルトの子供が「父と違って才能はない、という絶望感を漂わせている」なんていう評論が
なんというか、えげつないというか、当時の人の諧謔は恐ろしいなと
つくづく思い知らされたりしたのでありました

あとは、錬金術から陶磁器が生まれた話だとか
なかなか面白い小話も掲載されていて、本当に、こういう
世界の瑣末なトピックスというのは面白いなと
これを集めてきた著者にも脱帽しつつ
それを軽妙に短い文章で癖なくまとめているという力量に
慄くばかりなのでありました
面白い本だと感じたのであります

【読書】漁港の肉子ちゃん

2017-09-13 21:17:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
漁港の肉子ちゃん  作:西 加奈子

ハートフルコメディでした
全面的な優しさというか、母性みたいなのがこれでもかと描かれていて
それが子供視線から描かれて、うざったいなぁと思いつつも
そのありがたさみたいなのが、読み手としてはわかるというか
まぁ、なんとも、最終的に泣いてしまったわ
こういう母がどうしたという話に、とことん弱いのであります

そう書いたものの、母親の優しさみたいなのが
これでもかとしみったれたでもないが、
これ見よがしに書かれているわけじゃなく、
ちょっと頭弱いんじゃないの?と娘が思っている母親の
まぁ、実際に、深く考えておらず、
ありのままに生きていて、そのために失敗していると
そんな情景を、ちょっと冷めたように描いているという具合で
しかし、無条件に愛情というか、
たくましい、強いというのは、母親なるものの特権だなと
改めて思わされたりしたんだが、
これもまた、読み方を私が間違えていまして
母親だからというではない、
この肉子ちゃんという女性ならではのものなのだなと
感心しきりだったのであります
ただ、こういう感じを母性と呼ぶんじゃないかと思えば
みんなのお母さんというか、おねーちゃんだったり、
楽しいおばさんだったりするのであろうと感じるのであります

主人公の、ちょっと達観した女の子の成長も
本当に少しずつの変化で描かれているのも素晴らしく
女性作家ならではなのかわからんが、
詳細な小学校くらいの女の子の機微みたいなのが盛り込まれていて
ああ、小学生男子だった時分、よくわからないことは
こういうことだったのかしらねと
また、小説から学ぶという危険なことを冒したりしつつ
楽しんだのでありました

最終的には、まぁそういうことかなと思っていた
ある思い出話が出てきて、大団円というか感動を催す展開になるわけで
なんとも、特にこれがというお話でもないのだけども
読み終わって、がんばって働きましょうと
思わされるような何かが詰まっていたんじゃないかと
思ったりするのであります

お母さん像が少し前のお母さんというか、
自分の母親くらいの世代が言いそうなことだよなと
ちょっとだけ感じたのでありますが
それはそれ、だからこそか、胸に響いたように思うのであります

【映画】ダンケルク

2017-09-12 21:07:18 | ドラマ映画テレビ感想
えらい前評判が高かったので、見てまいりました
ダンケルク海岸からの撤退戦を描いたといえるか、
実際は、撤退していく様子を説明もなく、
うろたえる兵士たちを見つめるだけと
大変不親切で、不気味な映画でありました
なんだか見ているだけで、力が入ってしまって
気が抜けない濃厚な時間を過ごせたのであります
見終わって、えらい疲れた、くたびれたのであった

陸から撤退する堤防の情景、
空から海岸線を守るためにやってくるスピットファイア隊、
ダンケルクへ救出に向かう民間船
この3つのシーンが、ちょっとずつ前後しながら
映画は進んでいくのでありますが
まぁ、何せ説明が何もないうえに
台詞もほとんどないから、正直、この戦争のこと知らない私にとっては
何が起きてんだか、さっぱりわからんと
最初のうちは、ただただ、逃げ惑い
どうやら撤退しているんだということがおぼろげにわかるんだが
この撤退が、なんというか、空から襲われたりするし
舟は足りてないしと、酷い有様だと
情景から確認できて、さらには、乗り込んだ船が沈められたりとか
もう、なんだ、ずっと低重音で、不穏すぎる音楽が鳴り響いていて
なんというか、凄い疲れるのである
ああ、死ぬ、今度こそ死ぬ、もう駄目だ
そう思わされるような映像と音楽とで、
追い詰められていく様を体験できてしまうのであります
なんで、映画見て、こんなにストレスを受けないといけないのだ

そんな感じで進みつつ、撤退の恐怖と、
戦うものの虚しさでもないが、かっこよさ
特にスピットファイアがかっこよすぎるという
このあたりがステキでありまして、
また民間船が撤退に協力するところも
最初よくわからなかったけども、
戦争に対する民間人の怒りというか、誇りのような
尊敬を覚えるかっこよさが伝わってきて
凄いなと、本当に感動したのでありました
あと海軍大将がまた、男気すばらしすぎてため息が出るほどであった

撤退が勝利であったという話なんだが
実際はどうだったか、あの様子が勝利と呼ぶ何かだったのか
そういうことではないのか、
緊迫を強いられて、恐怖を植えつけられるような映像と音に
なんとも満足な映画だったと思うのであります
第二次大戦のヨーロッパ戦線については
本当、知らないことばかりだなと改めて思い知る

【読書】梅安影法師

2017-09-11 21:10:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
梅安影法師  作:池波 正太郎

久しぶりに、といいたいところですが、
本当のところ、初めて小説で読んだ心持であります
仕掛け人シリーズは、さいとうたかをの漫画の方で
あちこち、あたら読んでいたのでありまして
話としては、どれかで読んだようなと
そう思いつつも、この独特の調子で読むのが
たまらん、なんて思わされたのでありました
凄い、面白い、面白くて仕方ない

そんなわけで、池波正太郎先生の
先生節をいかんなく堪能できて、鬼平とはまた別の、
料理はそこそこに、仕掛け人たちの生き様と仕掛けを堪能できたのであります
非常に面白い、絶対梅安先生が勝つんだろうなと
思ってはいても、なんだかわくわくして見てしまうのであります

彦さんと、小十郎の二人も活躍しつつ
梅安先生が、かつての天敵を殺した件で、
その跡目から付けねらわれると、そういうお話でありましたが
幕府の謎の陰謀にも取り込まれたりしながら、
闇稼業で、光輝いていると
そういうかっこいい物語を読めたのでありました

感想がどうしたこうしたと、
あれこれ物語の筋によって語るようなものではなく、
ただただ、読んで面白かった、
凄いかっこよかった、そういうので十分だなと
改めて思い知らされるのであります
何とか、どうとうか、考えるのも野暮だと
そう思わされるように
大変面白い、時代小説を堪能したのでありました

おんな城主 直虎  井伊家最後の日

2017-09-10 22:17:12 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了しました
後始末といってはなんですが、井伊のお家が
いったんおさらばというお話で、
そこに行き着くまでに、背負っていた荷物を降ろすかのような
そういう直虎を見るお話でありました

今回は、のちの直政が憤慨したと
そこの一点につきたように思いましたが、
くりくりの頭のまま、よその家にという話が
実際そうだったというのも含めて、なかなか衝撃的だったのでありますけども
いわゆる実母のもとに、本当にいっていたのか
凄い気になるというか、運命とはわからんもんだなと
改めて思い知らされる次第であります
すっかり、母も穏やかになっていたのが
物凄い印象的だったんだが、そういうものかしらね

井伊のほうもすっかり、消沈という感じで
それぞれが身の振り方を考えつつ、
近藤殿がクララ的な復活をして、すっかり優しくなっていましたが
来週以降の武田来襲に向けて、嫌な予感しかないので
そもそも井伊に残るという選択肢がNGだったのだなと
改めて思い知らされたりするのでありました

そして、まさかのオリジナル展開で
還俗かつ、農民に身をやっするという話に
そこまでするかと度肝を抜かれたのでありますけども
今度こそ、龍雲丸が死ぬんだろうなと
なんとなし思えてならないのでありました
いいキャラだとは思うんだが、
どうしても、現代劇になってしまう展開なのが
気になって仕方ないが、これはこれ
非業の死として片付けられそうだなと思ったりしつつ

そうなると、おとわは、不幸を招く女だなと
嫌なことも思い立ったのですが
それはそれ、次回をまた楽しみにするのでありました

【読書】ああ知らなんだこんな世界史

2017-09-09 08:50:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
ああ知らなんだこんな世界史  作:清水 義範

世界史の本ではありますが、
中東を中心とした、イスラム世界を都市の歴史として語った
非常に面白い本でありました
著者本人が実際にその地へいって、観光をしつつ勉強してと
ありていにいうと、旅紀行なんだけども
それ以上に、調べたことが丁寧に並べられていて
知っている人には少し退屈かもと思うけど、
知らない身分には、非常に興味深い、面白い本でした

イスラム世界について書かれているというものではあるけども、
そのイスラム世界が、一時は、アフリカあたりまで延びていたこともあって
途中で、ギリシャ文明や、ローマ文明の話にも
当たり前のように触れるところがあって、
また、その当時の遺跡や遺構が、様々にトルコやイランなんかに残っている
このダイナミックな時代感というか、
土地とその移り変わりが、非常に魅力的で
日本じゃお目にかかれない感じがたまらんというのが
面白いのでありました

同じ土地で、まったく違う世界というか宗教であり、国民でありが
生きていたというその証拠が残っている
このあたりが本当に不思議で面白いというのが
文字から伝わってきて、よい本だと感じたのでありました
こういう熱意が好きだなぁ

また、エジプトの古代文明にもかなり触れられていて
ツタンカーメンほか、その王朝とそこで行われたこと
ピラミッドの建設と、その時期や方法なんかも
あれこれと考察を交えつつ、結局は、
実際に見て、圧巻だったというところに落ち着くんだが
これがただの勉強本とは違う楽しさみたいな
そういうのを覚える理由だったのであります

実際に行って見てみたいなと思わされる
非常によい本だと感じつつ、
少しだけ世界史に詳しくなれたような気分に浸るのでありました
前々から聞いていたけども、グラナダが学問の都市であったという
この話が凄い好きなのである
そこに、蛮族が蛮族になる前の知識が蓄えられていたとか
なかなかステキすぎる話じゃないかと
思ってしまうのでありますが、こういうのが
歴史だなぁなんて、かっこよく思うのであった

あとは、ヒストリエ的な話もいくつか出てきたし
調べてみたいというか、知りたい話が山盛り
世界の歴史にはあるなぁと、これまた
ありきたりながら、感想を抱くに至ったのでありました

シンプルな本でありますがよかった

山形のだし

2017-09-08 21:18:04 | 食べ物飲み物
結構有名な食べ物なんだそうでありますが、
先日、初めて手にとって食べたので
メモっておこうという試みである

いつも、納豆にめかぶを混ぜて食べていたのですが、
流石に毎日続くと、いい加減に飽きたという感じで
なんか、新しい薬味はなかろうかと探して
手にとったのが、この「山形のだし」であります
どうやら商標の都合で、「山形のだし」と売られているようでありますが、
実際は、山形県の郷土料理(?)の「だし」という食べ物だそうで、

夏野菜の微塵になったものが、
浅漬けみたいな感じになっているのでありまして
しゃきしゃきしてて、さっぱり旨い
特に、紫蘇だとか、香味が入っているおかげか
より一層に、爽やかで素晴らしい
これを納豆に混ぜて、ご飯に乗っけて食べているのでありますが
こいつがまぁ、夏はこれで乗り切れますなと
そんな風に感じたりした次第なのでありました

しかし、これがまた、なかなか長持ちしないようで
このあたり、浅漬けと一緒だなと
ちょっと残念に思うのでありますが、
これを思うがままに、もりもり食べるという夏のすごし方も
なかなか乙というか、ステキねと
ここ数日、涼しくなってきているにも関わらず
だし納豆を食べて過ごしていると
まぁ、そんなお話でありました

冷奴にもいいそうなんだが、
そうめんとかもよろしかろうと、
思ったり考えたりすると、なかなか楽しいのである

【読書】ミスター・グッド・ドクターをさがして

2017-09-07 21:36:42 | 読書感想文とか読み物レビウー
ミスター・グッド・ドクターをさがして  作:東山 彰良

最近作家読みしてばかりいます
その内の一人、何回か前の直木賞を受賞した
東山さんの小説でした
てっきりまた、台湾系の物語かと思っていたら
思いもよらず医療系、しかも、医療転職コンサルタントという
なかなか珍しい、さりとて、本当にこんなことありそうなと
裏社会めいたものと繋がったり、そうでもなかったりする世界を
ありあり描いていて、コミカルで堪能できました

主人公は女性で、蓮っ葉という言葉はまた違う気がするけども、
向こうっ気の強い、肝の据わった女なんだけども、
内実というか、男性、ともすれば恋愛めいたことには
思いっきり女臭いといったらいいんだろうか、
本当に、女ってこんな風なんだろうかと
ちょっとわからない部分もありつつ
悪友とともに、ガラの悪い会話を繰り広げながら、
ろくでもない医者との話が繰り広げられているといった具合でありました

最初のうちはなかなか楽しいというか、
笑って読める内容だったりしたのでありますが、
話が進むにつれて、だんだんとというか、
唐突に重たい話になって、さらに、人死にが関わってきて
しかも、その死が、医療系小説だからとかいう理由と
ほとんど関係ないというか、もうなんともはや、
サスペンス、あるいはバイオレンスといった具合になって
衝撃的なのでありました
おかげで、後半読みとめられなかった、
あっという間に読みきらされてしまったのであります

扱う内容が、女性に関わる問題のようにも思えるけども
その実、怒りというものについて書いてあったように読めて
なかなか興味深い内容でありました
主人公からして、読み終わって気付くと
常に不機嫌というか、何か憤っているという感じがして、
いや、物語としてはさほどにそうではないんだけども
なぜかしら、そういう人物に見えてしまうと
不思議な感覚に陥ったのであります
その怒りが、最終章で爆発するように炸裂してと
このあたりが鮮やかで、はったりもきいていて面白かったのでありますが
なかなか、楽しんで読める小説だったと思うのでありました

面白い物語を読んだ
医者という仕事も大変だな、いや、これが本当ならば

【読書】盤上に散る

2017-09-06 20:50:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
盤上に散る  作:塩田 武士

ある将棋の真剣師をめぐる物語でした
どうと、解説してしまうと、そのまま物語になってしまうというか
あらすじを書きづらい内容でありましたが、
大阪人情話とひとくくりにできるほど簡単ではなく、
少しずつ、当事者二人が、この真剣師に近づいていく
その様を追った物語なのでありました

謎といえば謎を追っているのでありますが、
差し迫った理由ではないといえばいいのか、
二人の人物がこれを追うわけだが、
一方は、母の葬儀後にこの真剣師に向けての手紙を発見し会おうと思い、
もう一方は、警察の厄介にならないためにその男を捜さないといけなくなりと、
そんな按配で、警察関係のほうも、物語が進むにつれて
なんといったらいいか、あれこれと思わされる事件が出てきたりしながら
最終的に…なんていうお話でありました

何にと、感動するところが見つけにくいといっていいか、
思いのほか、登場人物たちが楽しい、その姿を見ているのが面白いと
そういう感じの、大阪奇人変人ショーめいたところもあって、
愉快に読み進められるのでありました
色っぽい話なんて微塵もなく、
男と女のコンビなのに、酒に酔って失態というか、
酷い酒乱ぶりを発揮するとか、笑い話ばかりでよかったのであります

少しずつ謎というか、真剣師の背中が見えてくるように
話が進んでいくのだけども、やっぱり、
どこかその切羽つまった感じがなく、するする、
兵庫、大阪、京都をまたにかけて
だんだんとその男に肉薄していくところが
面白かったといえば面白かったんだが、
はらはらするような展開ではなかったのであります
そのおかげか、まったり読むことができるのでありました

将棋の話なのではあるけども、将棋がどうしたというよりは、
昭和のある生き方についてといったほうがよいような、
いまどきには見ない、こういうことが
まかり通っていたのかもしれないなと
それらを懐かしむにも似た感傷を覚える読書でありました
面白かったけども、ゆったり読むことのできる一冊でありました

【読書】ぐい呑み楽し

2017-09-05 21:13:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
ぐい呑み楽し  著:小山富士夫ほか

古書というほどでもありませんが、
知り合いから譲っていただいた、古い陶磁器の本であります
様々なぐい呑み数寄が、そのコレクションを掲載しつつ
このぐい呑みなるものを語るといった本でありました
昭和47年発刊ということで、その当時気鋭の作家とされる陶芸家や
その作品も紹介されていて、今見ると
大御所ばっかりじゃねぇかと、衝撃を受けたりするのでありますけども
陶磁器への知識が補完できるのでありました

最近、個人的にも入れあげるほどではないが、
唐津焼の特に、斑唐津に執心という感じのところ
これの名品が掲載されていまして
なるほどなぁ、これは本当にいいもんだなぁと
ちょっと、本を読みながら生唾を飲むような気持ちになったのであります
実に素晴らしい

小山富士夫さんといった、素晴らしい人物の評もあれば、
ぐい飲み談義を座談でやっている様子なんかも記されていて
なんとも楽しそうであり、また、当世作家の評論まで載ってて
こいつが、なかなかどうして、楽しくて仕方なかったのであります
私が贔屓といっては生意気でありますが
加藤卓男さんや、山田常山さんの若い時分の仕事があって
これもまた、非常に楽しいのでありました
実物ではないが、目が肥えるような気持ちになるのであります

ぐい呑みを集めるというのが、存外新しい趣味で、
戦後くらいからじゃないかというところから、
この良さ、好き嫌いなんかが、やや恥ずかしげでもある様子で
つらり書かれているのがまた、魅力でありました
こういう心持になるほどに、まだやられていないのでありますけども
酒もさほど飲まないのにこういったものに
執心してしまうという、物欲のようなものを
抱えて生きていくのであります

【読書】ラジオのこころ

2017-09-04 21:10:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
ラジオのこころ  作:小沢 昭一

お囃子が今も聞こえてくるような、
そういうセンチメンタルな気分に浸りつつ読みました
2012年に亡くなってしまいました、小沢昭一さんの本というか、
ラジオ「小沢昭一的こころ」の書き起こし版といった内容でありました
いつもの軽妙かつ、滑稽な小話に加えて、
宮坂さんに会いに行く企画の顛末なんかもあわせて
非常に面白い、リスナーとしてはたまらん一冊でありました

文章を追うと、あの声で再生されるといった
不思議経験をしながら楽しく読み終えたわけでありますが
ラジオ同様に、特にこの話に意味というか、
なんかこうだというものがない、肩肘張らずに
つらつらと言葉遊びを楽しむだけといったような
軽快な下ネタに笑いながら、のほほんと楽しめたのでありました

しかし、下ネタというか、基本的にはエロ方面のネタなんだけども
げへへへ、と笑いながらやる、この感じがたまらなく可笑しいというか
小沢昭一的だよなぁと頭が下がるというか、
感心してしまうのであります

企画といっていいのか、宮坂さんを訪ねるという話が
なかなかに興味深くて、全国の宮坂さんからあれこれ話しを募ってみれば
諏訪近くに大量の宮坂さんが生息していて、
かつ、そこの地域の神社の氏子をしているという
なかなか衝撃的な内容で、これは確かめにいきましょうと
小沢先生はじめ、ノーテンキプロデューサーともども
諏訪で楽しんできたというのが
なんともほのぼの読めて面白かったのであります

宮坂お父さんの人となりというか、この感じは
私に理解できる日がくるかどうかはわかりませんが、
しみじみ、楽しく思い出しながら読めたのでありました
よかった、なんというか、読書というか
ひとつ、哀悼のような気持ちでよかったと思える読書でありました

おんな城主 直虎  蘇りし者たち

2017-09-03 20:50:10 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了であります
とりあえず徳川騒動も遠いところで決着というところで
いよいよ、武田が出張ってくる、凄まじい展開が待っているかと思うと
楽しみで仕方ありませんところ
しかし、気賀の仕打ちについて、何もないといっていいのか、
徳川に対しての何も存在しない感じに見えてしまったんだが
そういうものなんだろうかな、小領主の悲しいところなんだろうか

相変わらず隠れ里は楽しいままのようで
あんなことが本当にあったんだろうかと
ちょっと考えさせられてしまったのでありますが
まぁ、それはそれ、相当に山奥で戦略的に意味がないとすれば
そういうものだったとしておこうと思うのであります
しかし、みんなが政次の物まねしているというのは
ちょっと衝撃的な内容でないかと思うんだが
アレだな、ああやってまねされてしまうと
役者さんというのも大変というか、面白いものだなと
改めて思い知るのであります
真面目なシーンが滑稽に見えてしまうから
物まねって怖いなぁ、いい話だったけどもさ

あとは、まさか生き残ると思わなかった龍雲丸が
今後どういう立ち位置になるのか、方久が
ちゃっかり坊さんになってるとか、ちょっとやりすぎ
っていうか、あいつがそもそも悪くないかと
もやもやするところなんだけども
とりあえず、ひとつばっさりと解決した感じで
次の段階へと進む回だったんじゃないかと
そう思わされたのでありました

武田とのいざこざが、どれほど悲惨になるか
なんとも楽しみであります
武田がなんかわからんうちに死ぬというあたりが
ある種のクライマックスなんだろうかな

【読書】空色メモリ

2017-09-02 17:40:01 | 読書感想文とか読み物レビウー
空色メモリ  作:越谷 オサム

青春小説でありました
ライトノベルというほどでもないけども、
相当にくだけた感じで、地の文に話し言葉も入り入り、
楽しげな雰囲気で進む学園物語であります

そこらにありそうな、といえるかどうか
起きていることはほぼ奇跡でしかないなと
思わされるような、モテない男たちが女の子とお近づきになると
そんな下世話な話じゃないんだけども、なんだろうか
思春期で、そういうのと縁遠いなと思っていがちな男子に
そういう機会が訪れたような、そうでもないようなと
いわゆる、青春を描いているのでありました
とても好きなんだが、読んでいるとむずがゆくなってくるような
なんともいえない魅力がありました

とりたてて何がという感動を呼ぶものでもなく、
謎解きもあるんだが、まぁ、段階的にというか
さばさばと、解けていくような感じで
あまりミステリ感はない、やはり、それよりも
学園生活を舞台にした青春小説のそれで、
そういう日常を描いているだけで楽しいと
気分があがる内容なのでありました

甘酸っぱいというほどのこともないんだが、
なんとも、小恥ずかしい気分になれる
よい小説だと感じたのであります
なんとなくなんだが、これを読んで喜ぶのは
男なんではないかなと、勝手な思い込みを書いておくんだが
女性が読んでもあまりという感じでなかろうか
そう思うままにメモっておくのである

楽しそうな日々だ、いいなぁ

【ドラマ】曹操

2017-09-01 22:09:12 | ドラマ映画テレビ感想
先日までうちで写るテレビでやっていた
中国で制作されたドラマであります
三国志の曹操を主人公にして、その生涯の前半を描いた
非常にドラマチックな物語で、期待してなかったのに
凄い面白くて驚いた、個人的には大ヒットの三国志ドラマでありました

幼い曹操が、宦官の血縁だと罵られつつ青年となり、
陳宮と出会い、董卓を打倒しようと生きて、やがて中原の覇者になっていく
その姿を苦難と、努力の状況から描いていて
主役、主人公として見事に曹操が立っていて、感激ひとしお
知った風なことを書いていますが、
曹操とはこうあるべきだよなと思う、まさにそれを物語にしてあって
胸がすくというか、とても楽しかったのでありました

特に最終回はなかなか衝撃的で、
ずっと好意的に描いていた郭嘉をどう描くかと思えば、
まさかそんな描き方で、しかも友情と哀しさとというか
様々なことを表現しきってしまうとはと
ちょっと、感動すらしてしまったのであります
天意とすら思えるような最後を見せてというのがまたまた
ステキというか、なんだろうか、中国的であり、
三国志的でありという感じが、この伝説の物語というそれこれ
なんか、もう、本当に
よくできたドラマだったと感動したのでありました

また、三国志といえば、劉備の描き方が気になるところで、
こちらもまた、非常によかった
聖人君子ぶった強かな男というのに徹していて
このほうがいかにも、劉備っぽいよなと
これまた、感心しきりだったのであります
ああいった手合いだからこそ、あの時代、あのように生きて
そして、英雄となったんだろうと
物凄い説得力があったと思うんだが、なかなかどうして
楽しかったのであります
弟の関羽がちょっと細身だったのが気になってしまったけども
それはそれとして、この陣営の描き方も非常に面白かったのであります

君主である非業といったらいいのか、
曹操が苦渋の決断や、策を用いる際の鋭さと非情さ、
それを選択するということを描いているのが
とても楽しかったというか、いいドラマだなぁと
なんか感動してしまったのであります
なかなか、英雄の酸いと甘いを描いたものってのは無いと感じるんだが
中国のドラマというのは、この清濁が描かれるから
とてもいいものだと思ったのであります
日本で歴史ドラマやるときもこんな感じで
一方的な英雄ではないものを描いてほしいなと
感心しきり、思ったのでメモっておくのでありました
いいドラマだった、とても面白かった