<チャレンジひとり旅その2>「黙阿弥オペラ」の感想ではありません。感想は→
こちら画像は、シベールアリーナから見た空です。
なんとなくクールな話じゃない。
じゃ、書かなければいいじゃんと思うけれど、話が次に繋がっていかないのでやっぱり書こう。
結構、かっこ悪い。
ああ、やっぱりかっこ悪いのか、ここでも「真っ直ぐたどり着けない女」をやってしまったのかと思っている諸君、それは半分は当たっているけれど半分は違う。
シベールアリーナにはちゃんと余裕を持ってたどり着いたのだよ、エヘン。
おいおい、威張るところじゃないぞ。
あっ、今気が着いた。「シベールアリーナへの道」ではなく、正しくは「シベールアリーナからの道」だった。
だってかみのやま温泉では、お城見学を諦めたら時間に余裕があって、調べておいたバスの時間よりも早く駅で待機。
予定のバスで行くと、表蔵王口には12時15分に着いて、そのバス停から徒歩10分らしい。
計算では間に合うけれど、それって、私には危険な感じ。それこそたどり着けない女を地でやってしまいそう。
なので
「へい、タクシー」と言う事に。
私はここで、自分が如何に年齢を重ねて大人になったのだと、ちょっと思う事がありました。(書き辛かったのでいきなり文体変わります。)
昔、私は美容院でベラベラしゃべる美容師さんが苦手で、黙っててくれないかなと思っていた事があって、でもあのおしゃべりってサービスのようなのですよね。だけどふと気がつくと私が気を使いまくり、彼女の悩みなんかを聞いていたりしていたのです。昔は美容院ってちっとも癒しの空間じゃなかったのでした。でもそれは美容師が友人と言う美容院に変わる事によって、解決したのです。
それと同じように、黙ってて貰いたいのが、タクシーの運ちゃん。お愛想笑いの今日も暑いですねも嫌な感じ。だって、やっぱり私が気を使いまくり疲れちゃって・・・・と思っていたのですよ。
それなのに、なんと目的地のシベールアリーナに着くまでそのタクシーの運転手さんとしゃべりっぱなし。
今年の山形の果物の出来について、よく分かりました。こんなに暑くてはフルーツ王国山形の危機ですよ。でもお米は良いらしいです。期待できますよ。たとえ私が聞き手であっても楽しくおしゃべりできるなんて、大人になったなぁとしみじみ・・。
それはともかくですが、私は帰りが不安になりました。その事を言うと、タクシーがたくさん待機しているから大丈夫だと言うのです。ホッとしました。行きがタクシーなら、バス停の場所も分からないからです。でも、目的地に近づいて、ふと何気なく運転手さんに聞きました。
「ちなみにバス停はどこですか。」
「ちょっと遠いんですよね。しかも土日は本数少ないし。」
実はバスの時間をちょっと調べてきました。この「ちょっと」は結構曲者です。
「バス停はあすこに見える信号の、そのまた先の信号を左に曲がってまた少し行くとありますよ。」
ふーん、そう。
でも私はその時はタクシーで帰ることに決めてしまいましたから、あまり真剣に聞くでもなく・・。
だけどもう大判振る舞いですよ。
私は基本的にはしまり屋なので、このタクシー代には結構胸が痛かったのです。なぜなら「かみのやま温泉」から「シベールアリーナ」まで2290円(確か・・?)、シベールアリーナから山形駅周辺まではもう少し掛かると言われたので、低めに見積もって3000円ぐらい、もしくは3500円ぐらいじゃないかと思うのです。でも、大宮から山形まで乗車券のみだと5460円なのですから、高いな~と思ったりもするのが主婦と言うものですよ。
でもいいや、リスクなき旅行と言うものはそう言う物だよ・・・・なんちゃって。
ああ、だけど・・・

やっぱし、何かあったんだなと思いましたか?
あったんだわよ、それが。

お芝居が終わって、階段を下りてきましたら、三台のタクシーが待っていました。そして人が並んでいました。
一台目~、バタン。ハイ、出発~。


二台目~、バタン。ハイ出発~。


そして、私の番です。タクシーが私の前まで進んでこようとしました。と、そこにいきなりタクシーに後ろから追いついてきた若い男性が、後ろのドアをノックしたのです。そしたら、タクシーの運ちゃんは、その人を乗せてビュー。
吃驚したわ~~・・・

もしも私が若き日のメグ・ライアンだったら、
「ちょっと~、あなた何するのよ~。」と怒鳴り、そして恋のひとつでも芽生える場面でもありそうなところだけど、残念ながら若くもなく、メグ・ライアンでもなく気の小さい小市民なので、ポカンとしていただけ。

でも忘れられない、悔しくて。
で、やっと気がついたわけです。ここタクシー乗り場なんてないんです。でも、自分が暮らしている町の運転手さんたちは、こういう時、前の状況を見て、流れに沿って人を拾っていくじゃないですか。
よく、映画とかで都会に出てきた田舎の人に、この砂漠のような都会で生きていけるのかなんてセリフがありますが、ありゃ、違うわ。すでに都会人とはいえないカントリー暮らしをしている私でも、地図的には都会圏に生息している訳で、いろんな場面で「便利」と言うものに保護されて生きている訳です。
そんな私に、サバイバルタクシーに勝てるわけがありません。
じゃあ、ちょっと移動する・・・。トボトボ・・・みんな手前で拾われちゃう・・・・シクシク・・・
何でここルールないの・・・。苦手だよ~、トロいんだから。

じゃあ、呼べば良いんじゃない。
って、これがまた嫌いなんだわ。いろいろ、こちらにも好き好きがあって。それは最終手段と言う事にしようと思いました。でも、こんな事もあろうかと無意識が私に、行きのタクシーのパンフレットをかばんにしまわせていたのです。
仕方がないので、ホテルに連絡して、チェックイン時間に遅れる事を伝えました。
そして、(結構ここからグチグチ)
そして、バス又は、蔵王駅まで歩くと言う選択肢もあるよねと考えを変える事にしました。バス停まで10分、蔵王駅まで20分と言ったら、私の本音では蔵王駅まで歩きたいのです。なぜって、太っていても元は横浜人ですから、歩くのヘッチャラなんです。だけどこの蔵王駅まで歩くと言う選択肢は、暑いので、すでに家に居たときから捨ててしまった選択肢だったので、準備不足。それ、無理だなと思いました。最初から、シーベルアリーナの地図を見てもさっぱり分からないから、ちゃんと調べようと思っていた部分です。そのちゃんと調べた地図は、一度見ただけでプリンアウトトもしていなかったのでした。
私は、思いました。
すべての事は繋がって、しかも意味があるのだと。私がこの夏、新宿で迷ったのも京橋で迷ったのも意味があったのです。それは私の行動パターンの認識の再確認と言うものだったと思います。
-なぜか、地図無く歩き出す。ふと感じたところでクイッと曲がる。-やりかけちゃった、また。

前を迷いもなく歩く人に付いて行って。アブナ~。
でも、ふと気がつきました。誰もあの人が蔵王駅に行くとか、バス停に行くとか、その先を知らないと言うのに、何故フラフラついて行くのだ。思い留まって、かばんの奥底からシベールアリーナの地図を出しました。
見知らぬ土地の見辛い地図。
そう言えば、今思い出したのですが「話を聞かない男、地図の読めない女」とか言う本がありましたよね。
フン!地図を見るのが不得意ってわけではないんだぞ、私。
でも、それよりも、きっとこの時、もう冷静ではなかったのですよ。
時々言われるのですが、凄いピンチでみんなが焦っている時、一人冷静な顔をしていると。それって良く言いすぎか。つまり一人私は関係ないという顔をしてすましているって。
でも本当はそんな時、実は心の中は嵐です。
今思うと、焦っていたのですよ。あの青年にタクシーを乗られてしまってから。だから前を歩く人に付いていってしまいそうになったりもしたのですよ。本当にそんな事をしたら、私は泣きながら(心の中で)国道の一本道を歩き続けたかもしれません・・・・

でも、ふと気がついて、見づらいその地図と格闘したのです。行きの時にタクシーの運転手になんとなく聞いておいて良かったです。
予想通りバス停は遠かったです。
が、まだ吃驚する事が。「表蔵王口」と言うバス停に着いたら、かみやま温泉方向のバス停しかありません。普通は真向かい、また斜め前にある反対方向のバス停がない・・・・。
おろおろ。聞きたくても人がいない。そこにやって来た小学生男子。聞きました。地元の人に聞くのが一番。
反対側のバス停はどこにと聞くと、はるかかなたを指差してくれました。
離れているんだ・・・・
と、その時、後ろからバスが私を追い越して、はるか先に見えるバス停で止まり、そして去っていってしまいました。
ひ、ひぃえ~。お芝居の終了が思っていたより遅くて、私が調べておいた時間は過ぎていました。私の記憶によると、その後結構時間があったはずで、しかもその後バスはなかったのです。そんなにオロオロとその辺を歩き回っていたのかと動揺しました。
あそこでバス停がないと、また迷わなければちゃんと間に合ったのに・・・
もう、頭の中に手塚治虫のひょうたんつぎが飛び回ってしまいましたよ。そして、ふと、バス停の名前を見ると、「まんさくの丘」。
ええ!?ここ、「表蔵王口」じゃないわけ?
「対」と言う言葉は、ここでは通用しないの・・・?
「ふーん」と、私はちょっとしみじみとしちゃいました。嫌、それは一瞬よ。だって、心の中は、「あんた、バス行っちゃったのよ、どうするのよ~!!」と言う叫びで満たされているわけですから。
でもやっぱり「へえ~」と思いました。
これは家に帰ってから調べたのですが、やっぱりあの小学生たちが言ったように、私がたどり着いたバス停で良かったわけです。どこかに「表蔵王口」のバス停も合ったのかもしれません。でもこれも迂闊な事も書けませんので、航空写真でもチェックしましたが「対」の場所にはどこにもありませんでした。
私はその時、焦りまくってはいたけれど、実は旅の醍醐味と遭遇していたのです。
もっと心の中から落ち着いていたら良かったのですが・・・
でも、そんな所で「ふーん」としみじみしていたら、
「おやっ?! 」とある事に気がつきました。
ここは複数の路線が走っていたのですよ。何のことはない9分後に来るんじゃない、次のバスが。
ば、ばかーん、あたし・・・

でも、その後の時刻表の下は真っ白。じゃあ、これが最後のバス!!!
い、いやだ~!!!
またも頭の中にひょうたんつぎが飛び回り・・・
いや、悔しいのでキティちゃんにしておこう。
でもね、これも確かに、私が乗ろうとしたバスの路線は最後のバスだったのですが、違う路線のバスはこの後もあったみたいですよ。これも後で調べました。8時台までは一時間に一本はあったみたいです。
でもなんたって、私、頭の中でキティが踊りまくる大パニック状態でしたから

夕日が山際に落ちていくかなあ・・・
ふと、私は思いました。
ーちょっと写真撮る?

私が私に尋ねます。
―駄目に決まりよ。山を見ていて、バスが行ってしまったらどうするのよ。あんたの場合は、それがあり得るから怖いのよ。
あっちの道路を穴が開くほど睨んでいなさいって。
―ハイ、合点だ、親分。
と言う訳で、じいぃっと道路を見つめていました。
バスが来ました。
もちろん、私、なーんにもなかったかのような済ました顔をして、バスに乗っていました。

―ええと、380円よね、確か。
と言う訳で、かなりの節約が出来ました。
フフフ

ちなみに私はもう、シベールアリーナには迷わず行けますよ。公演のチケット代はお安いのですが、少々遠いので二度目があるかは分かりませんが、次回があれば蔵書を読みまくりたいと思います。
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チャレンジひとり旅その1・『かみのやま温泉』>