明石小・中央小・明正小改築問題について、21年第四回定例会本会議一般質問の場で、指摘させていただきました。
その質疑を振り返りたいと思います。
質問部は、自分の原稿から引用しています。
その後、質疑の対象部分のみを引用しています。
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○十七番(小坂和輝議員)
次のテーマにうつります。
Ⅵ情操を育む学び舎・明石小・中央小・明正小の改築問題についてです。
まず、根本的なところに立ち返らせていただきます。『基本計画2008』には、三校改築が提案されていますが、同時期だされた報告書『教育の中央区学校づくり検討会報告書 平成20年3月』で、「第6章おわりに」において「昭和初期に建設された小学校の改築に関しては具体的に議論できなかった」と明記されています。改築問題を議論することなく、①『基本計画2008』にある三校改築を提案することができた、その根拠をお示しください。基本計画に掲載するわけですので、それも三校と特定の数字を明記するには、十分な議論があってしかるべきであると考えます。
②明石小学校、中央小学校、明正小学校の改築がなされるとあるが、それら小学校は、生徒数は減少していくことの旨すなわち、「今後も大幅な人口増加が見込めないことや老朽化した施設であることから、通学区域の弾力化を行った場合に他の通学区域に児童が流出するおそれのある中央小学校、明石小学校、明正小学校については、教育研究開発指定校やフロンティアスクールとしての位置づけを行い、小規模特認校などの仕組みを活用した先駆的な取り組みを行うことが考えられます。」との記述が、2006年(平成18年)の『中央区学校教育検討会 報告書』にあり、生徒数増加に合わせて教室数を増加させるということを目的とした改築の根拠と矛盾しています。
また、生徒数増加に対して対応の方向性は、学校改築で対処するのではなく、 『教育の中央区学校づくり検討会報告書 平成20年3月』(3ページ)によると「「小学校施設の状況」において、今後、児童数が増加する学校においては、当面、余裕教室で対応していくが、その後は、「その他」の欄に記載している部屋を普通教室に改修することを検討する必要がある。」と記載されています。
これら矛盾をどう解釈すればよいのでしょうか。
そして、実際、老朽化を理由に改築を選択するのであれば、その根拠の提示は、果たしてなされたのでしょうか。
③老朽化というが、耐震性には現在対応しています。同時期にできた常盤小学校、泰明小学校、京華小学校、十思小学校は、そのまま今後生かしていく一方で、明石小学校、中央小学校、明正小学校は、老朽化でもたないというその根拠は果たしてなになのでしょうか。
校舎の耐震性・耐久性を示す科学的根拠を示していただきたいと思います。
また、
④いままで、地元や保護者への改築に関しての説明や合意形成はどのようになされてきたのでしょうか。今後、どのように合意形成をうるおつもりでしょうか。
学校敷地に存在する埋蔵文化財の保護の観点について、中央区文化財保護審議会の場できちんと審議し、合意形成をえたのかどうかも合わせてお答えください。
⑤不要な負担を子どもたちに強いる計画であり、歴史と伝統ある学び舎で情操豊かに学ぶ機会を奪い、また、地域の皆様の心のよりどころを失うことになります。
建築学会でも、「日本建築学会学術講演集」では、「東京における関東大震災後の復興小学校の転用・利活用」という論文の中で「仮に、新耐震基準に適合しないなどの場合にも安置な解体は慎み、地元はもとより有識者を交えて保全・継承の検討を経る必要があろう。
現存する復興小学校の状況は様々であるが、その存在は、わが国の近代建築・近代都市計画史上貴重なだけでない。学校や地域に根ざして紡がれた多様な個人史と大きな歴史との架け橋ともなる幅広い物語性を発揮するものであり、校庭や隣接する復興小公園等のオープンスペースと併せて、地域コミュニティの「核」として今後も地域の結節性を保ち、多様な利活用の可能性を有している。これらを踏まえながら、今後のまちづくりを考える上で復興小学校(及び併設された復興小公園等)は、きわめて重要な地域振興の資源として再評価されることを切に望むものである。」と十分な検討を望む意見が出されているところです。
先日の10月の決算特別委員会では、『小学校改築計画策定調査 報告書 平成21年3月 中央区教育委員会』は、建築学の専門家や学識経験者の分析が入らず、改築の計画一案で作成されたこと、現在進行中の「小学校改築準備協議会」にも、建築学の専門家や学識経験者が入らずに進められていることが明らかにされました。
昨日の一般質問で指摘されていましたが、このままの計画では、改築中の防災拠点の配置計画が十分検討もされていません。拙速に改築計画をすすめるのではなく、建築学、教育の専門家・学識経験者を交え、開かれた場で、改築ありきではなく、全面改修や一部改築も含め再度十分議論をすべきと考えるが、いかがでしょうか。
⑥議論する時間がないというのであれば、生徒数が急増した場合、日本橋地域(日本橋小・有馬小・久松小)で適用している通学区域の「調整学区」の考え方を用いることで対処も可能であると考えるがいかがでしょうか。
○教育長(橋春雄君)
教育問題についてお答えいたします。
初めに、基本計画二〇〇八における小学校三校の改築の根拠についてであります。
お尋ねの教育の中央区学校づくり検討会報告書では、「地域協議会からも要望があった昭和初期に建設された小学校の改築に関しては、具体的な検討ができなかったが、今後、地元との協議を踏まえながら計画的に改築を進めていくことを望みたい」という明確な方向性が示されております。こうしたことから、今後十年間の区の財政見通しなどを含めた総合的な判断により、基本計画二〇〇八の中で事業計画化をしたものであります。
次に、改築の根拠となる児童数についてであります。
改築の第一の目的は、物理的、機能的な老朽化への対応であり、児童数の増加と、それに伴う教室の不足については、今回の改築計画の中では対象校選定に当たって優先順位を検討する視点の一つとして位置づけたものであります。したがいまして、中央区学校教育検討会報告書の中で示されている児童の予測と矛盾するということではありませんので、御理解をいただきたいと存じます。
次に、校舎の耐震性、耐久性についてであります。
本区の学校は、平成九年に必要な耐震補強工事を終了し、すべての施設で耐震基準を満たしております。しかしながら、改築対象の三校につきましては、経年によるコンクリートの劣化などが進んでいることは否定できず、適宜修復はしているものの、雨漏りやひび割れも見られる状況であります。こうした老朽化への対応はもとより、教室や体育館の狭さの解消など、機能面の更新を目的として三校の改築を行うものであります。昭和初期に建設された他の四校につきましては、小学校改築計画策定調査報告書の中で示した今後の整備の方向性に基づき、それぞれの学校の特性に応じた取り組みを行ってまいりたいと存じます。
次に、地元や保護者への説明や合意形成の取り組みについてであります。
まず、教育の中央区学校づくり検討会とあわせて設置した地域協議会における議論の中で、学校改築の強い要望をいただいてまいりました。また、改築校の選定に当たっては、関係する学校、PTA、町会代表者と協議を行うとともに、対象校以外の学校にも説明し、改築の基本的な考え方などについて幅広い御理解をいただいております。その後、先行改築を行う中央・明石小学校におきましては、本年三月にPTAや町会などで構成した改築準備協議会を設置し、これまで学校づくりの構想について十分な検討を重ねてまいりました。このたび、協議会で出された意見や要望などを踏まえて、小学校改築基本計画(案)をまとめ、区議会に報告したところであります。さらに、この間、PTAの皆さんを対象に他区の仮校舎の見学会の開催も含め、関係者への十分な説明を行ってきましたが、今後も引き続き幅広い理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、学校敷地内から出土した埋蔵文化財につきましては、文化財保護法に基づく発掘調査を行い、適切に保存してまいります。当然、文化財保護審議会には調査結果について報告を行ってまいります。
次に、専門家等を入れて、再度十分な議論をすべきとの御意見ですが、これまで述べてきたとおり、関係者の御理解も含め、順次手順を踏んで進めてきたところでありますので、新たな検討の場や御提案の調整学区については考えておりません。
○十七番(小坂和輝議員)
それぞれ御答弁ありがとうございました。
まず、学校の問題でありますけれども、報告書を読ませていただいたところによりますと、その報告書にはどうしてもずれがあるわけです。地元の方とそのように一つ一つ議論を積んできたのであれば、その事実こそが報告書に載ってあってしかるべきであります。それが、私は指摘させていただいておりますが、具体的な議論をしていないという形で、要望はあるのに具体的な議論はしていないというのであれば、その具体的な議論を、今度は検討委員会をつくり、その場所でいかに改築をしていくか、もしくは改修というやり方もあるのではないか、それらをきちんと公開の場で議論を積んでいくべきであったと私は思います。手順を踏んできたということでありますけれども、それだったらそれで、学校の建物のあり方、施設整備のあり方をメーンにした検討会をつくり、そこで議論を積むべきであったと私は考えます。そのような検討会なしに議論の端で話されてきたようなものを持ってきて、それで議論を積んでいると言うのはいかがなものかと私は考えます。検討委員会をきちんとつくり、施設整備のあり方を決めていくべきであると考えます。
また、地元への説明に関しても、本当に十分になされているかというところが一つあります。ならば、今開催されているところの学校整備の協議会、あれは公開なんでしょうか。傍聴者が来て、それで地域の皆さん、関心のある皆様が全員、その皆さんが話されている状況を見ながら一緒に考えるというふうなことができた会だったんでしょうか。そのあたりがきちんとなされていれば、それはそれで私は理解するところではありますけれども、しかし、それが、言葉は悪いんですけれども、密室で話されていて、その後、議事録を出すというのであれば、現場性というのがなくなりますので、やはり多くの関心ある方も自由に出入りできた中で、公開のもと、会議をしていく必要があるのではないかなと思います。
また、協議会のメンバーも、大事なところとして、改修をすることで考えるのであれば、改築のことを考えるのであれば、建築の専門家というのがきちんと入っておく必要があるのではないかなと思うんです。そこが欠けているわけでありまして、老朽化というのであれば、これは建物がもつかどうかというところから考えていくべきでありますよね。そうなった場合に、その判断をするのは建築家じゃないですか。
私は決算特別委員会でも聞きましたけれども、建築家とか、そのあたりの専門家が入らずに、単なる八十歳ぐらいの年齢の建物だから、だから老朽化、もたないというふうな理論のステップになっているんですよ。それよりは、一方でもつという学校が提示しておりますように、常盤や泰明、そして十思や京橋、そのあたりの小学校はきちんと一方でもつわけなので、であれば、本当にもたないのかどうか、そのあたりのデータを出していただきたいと思うんです。
十分にもつはずなんです。そのデータが一切出されていません。もたないと言えば、一緒に考える皆さんは、もたないのであれば改築に進めるしかというふうに考えてしまいますけれども、その根本的な一番最初のスタートは何であったのか。その貴重なデータが我々に出されていないんですよ。それを出していただけるようにお願いできないでしょうか。耐震性や耐久性は本当にどうなのか、それを我々議会は見ていません。科学的データに基づいて、一つ一つ議論を進めていきたいと考え、お願いさせていただいているわけであり、その耐震性、耐久性が十分もたないのであれば、その科学的データを、どこの建築会社がこういうふうな評価をして、どうであったか、コンクリートのサンプルをとってきて、これがこういうふうに劣化しているからどうなのか、そのあたりも出した上で検討していきたいと考えますが、そのあたり、ぜひとも公開していただきたいと考えます。これが改修、改築に関してです。
もちろん、子供たちにとって何が一番大事かというと、それはきちんと教育ができる場所ですよね。私は、今の校舎の中で学ぶことこそ、心豊かな、情操豊かな教育がなされると考えております。伝統と風格、歴史、文化がある、今からはなかなかつくることができない貴重な学び舎なわけであり、それが中央区にはまだ残っているわけです。かつ、それが今、データとしては出されておりませんけれども、まだもつということが考えられるわけです。であれば、それをもたせていこうという検討を、まず一方で進めるべきじゃないですか。それを壊してという一つの選択肢しか出されていないというところは、私は考え方がどうかなと思っておりますので、このあたりの考え方ですね。
私は、教育は大事だと思っております。中央区の子供たちは伝統と歴史、風格、それがある学びやで学べる明石小学校、中央小学校、明正小学校、その学びやで学べるというところをとても大事にしていきたいと考え、このようなことを申し述べております。ぜひとも御回答のほうをお願いできればと思います。
〔教育長 橋春雄君登壇〕
○教育長(橋春雄君)
再質問にお答えいたします。
最初に、整備中心の検討会をさらに設けてやるべきではなかったかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、行政の責任において調査をかけまして、その調査の中で地元を初め、関係者の御意見を集約しながら整理したものであります。
それから、改築協議会は傍聴は可能かということですが、可能であって、実際に傍聴されている方がおります。
それから、まず、もつかどうかということが最優先だというような御意見ですが、私どもは、先ほども御説明申し上げたとおり、単に物理的な老朽化だけではなくて、機能的な老朽化も更新しようということで、時代に合った新しい校舎を整備したいと。地元の強い要望を受けて、やっております。全然地元のことは質問では触れておられなかったですが、地元はかなり強く、どの学校も、それは現在の校舎にも思いはありますけれども、将来の子供たちのために新しい校舎をつくってほしいという要望は非常に強いものがありました。
一例を御紹介いたしますと、ある学校では、その協議会の中で、この学校は地域の皆さんで支えてきたんだと。だから、支えてきた高齢者が生きている間にぜひ新しい校舎をつくってくれと、そういう御意見もいただいています。そうした地元の強い要望も踏まえて、私どもとしては手順を踏んで整理したところでございます。
なお、耐震性については、専門的にはIs値というそうですが、その基準をもってクリアしているということでございます。これは、その時点で、古くなりますが、議会にも御報告してあるところであります。
ですから、物理的な、例えばあと何年で壊れるとか、そういったことについての調査等はしておりませんが、何しろ八十年たつ建物でございますから、そうした物理的な面も当然劣化はしているであろうと。さらに、それだけではなくて、一番わかりやすいのは体育館ですが、かなり面積も狭いし、天井も低い。そういった体育館をほかの学校と同じように広くしていくとか、さまざまな面で学校としての施設のレベルがアップをし、子供たちによりよい環境を提供できるのではないか、そういうふうに考えております。
答弁は以上です。
〔十七番 小坂和輝議員登壇〕
○十七番(小坂和輝議員)
ありがとうございます。
今、教育長もおっしゃったように、この校舎がもつ、もたないという科学的なデータは、Is値とか、それぐらいなんです。本当にもつかもたないかの科学的分析はされていないか、もしくはデータをお持ちなのかもしれません。だからこそ常盤や泰明小学校はもたせているわけですよね。もっと幅広く考えていく必要があると私は考えております。これら、まずは、いずれにしろ、すべてが意見交換じゃないですか。その意見交換を学校づくりでも、まちづくりでも、また築地市場の再整備でもやっていきたいと考えております。そして、その中には科学的なデータというのは必ず出すということです。
それが出されていない学校改築は、あってはならない。また、子供たちの教育というのはとても大事であり、そのことを望みながら、私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。