「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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明石小・中央小・明正小改築問題(8) 討論結果

2010-03-23 23:00:00 | 財務分析(予算・決算)
 3/23に、予算特別委員会 教育費の質問が終わりました。

 教育費の中で、復興小学校改築問題について、以下、三つのスタンスに立ちながら、討論を行いました。

一、子ども達によりよい教育環境を提供すべきである。

一、科学的な考察、歴史的な考察の上に、財源面も含め総合的な視点に立って政策立案をすべきである。

一、合意形成をきちんとつくるべきである。

 このスタンスに立つのであれば、

 「高い建築思想をもって、建てられた明石小学校・中央小学校・明正小学校を改築する(取り壊して新築する)ことは、それら学校への価値を見出す人が多数いる以上、十分な合意形成を得て、進める必要がある」と考えます。


 全体からみると、細かなところまで立ち入った質問になりましたが、さまざまな真実が明らかになったと思っています。

 その内容を列挙いたします。

①明石小学校・中央小学校・明正小学校の改築に関連して、保存を求める要望書や署名が出されている。

②一方、改築推進の要望書などは出されていない。

③老朽化には、構造的老朽化と、機能的老朽化があるが、構造的な面では、雨漏り、コンクリートの劣化、ひさしのくずれなどがみられる。
 思うに、もし、これらのことをさして老朽化というのであれば、建築家や設計の専門家は、改築ではなく改修で十分対応可能と判断するのではないだろうか。

④機能的老朽化では、
)教室の広さが59㎡のところ改築で72㎡になる、これにより子ども達の机が現状より広く(700mm×500mm程度に)なる 
)クラス数は、余裕教室をいれれば、現状各学年2クラス対応が可能なところ改築で各学年2クラスになる 
)天井高が、階高3.8mの天井高3.55mが、改築で3mに低くなる 
⇒教室面では、広さを取る代わりに、天井高が低くなり、教室の機能面では、一概に改築でよくなるとは言えない。(天井高が低くなる情報は、掲載していない。)
 質問時間の関係で、講堂・体育館、運動場、プールの詳細はふれず。ただし、これらを充実させるというのであれば、その単独建て替えの手法もありえたと考える。

⑤「安全・安心な学校づくり交付金事業」という国の制度を利用して国より交付金をうる考えであるが、この制度は、そもそも、「危険建物」の改築に適応されるものである。
 関東大震災を教訓に堅牢な建物として作られ、耐震補強も施した小学校に対して、「危険建物」に用いる交付金を申請するのはいささか問題がある。(たとえその制度の耐久度点数を適応した場合、交付金対象の点数となったとしても)
 国や都は、交付金の復興小学校への適応について考慮するのではないだろうか。

⑥昨年3月の予算特別委員会へは、「小学校改築計画策定調査報告書 平成21年3月中央区教育委員会」は提出されなかった。

⑦平成19年度に792万円かけて策定された「学校施設整備基本調査」報告書は、区議会への開示はしない。

⑧限られたメンバーでの、改築の是非の検討会は行ったが、広く告知しての、改築の是非の検討会や協議は行われていない。
 改築のプランが決定してからの、報告会を、地域住民にしたのは、今年2月になってからである。

⑨「小学校改築準備協議会」が平成21年3月から開催されてきたが、開催の告知を、ひろく行うことなく開催し、それをもってして「傍聴可能の協議会」であったとしている。

⑩「中央区基本計画2008」での三校改築の根拠とはなにか説明が求められる。

⑪その一方で、同時期に出された「中央区基本計画2008」の記載と、「教育の中央区学校づくり検討会答申」の記載内容に矛盾がある。

⑫「小学校改築計画策定調査報告書 平成21年3月中央区教育委員会」では、建築学の専門家、学識経験者がメンバーとして加わることなく策定された。

⑬「小学校改築計画策定調査報告書 平成21年3月中央区教育委員会」では、「中央区学校教育検討会報告書 平成18年」および「教育の中央区学校づくり検討会答申 平成20年」のミスリーディングがなされていると思われる。

⑭「地域協議会」で、改築に関しての議論があった。その議事のまとめは、区議会に開示すべきものである。

⑮本来であれば、児童数増加への対処のあり方として、広い視点から協議するべきであった。
 たとえば、「調整学区」の適用、元十思小学校や元京華小学校の再活用、労働スクウェア跡地の活用なども含め。

⑯中央小学校改築の計画では、区道を廃止して、敷地を広くすることができなかったのか、屋上の運動場が安全であるのかなど検証すべき点がある。

⑰多くの署名、要望書が届けられているが、区長自身の考えは、改築の方向である。

などなど、

 これら質問から現れる区の考え方や姿勢は、小学校改築問題について、とくに「小学校改築計画策定調査報告書 平成21年3月中央区教育委員会」では、建築学の専門家、学識経験者がメンバーとして加わることなく策定していることを筆頭に、「復興小学校」を改築するということを念頭に入れていないと考えられます。
 もし、「復興小学校」の改築でないのであれば、ある程度は理解できますが、今、問題になっており、そして、多くの地域の方々が、要望書なり請願を出されて、指摘される「復興小学校」を取り壊してしまう問題なのです。

 もし、この重要性をきちんと理解するのであれば、不要な取り壊しを免れ、地域のシンボルを守りつつ、港区高輪台小学校のようにリノベーションを行う選択肢もとり得たかもしれません。

 子どもたちが、健康に、そして、安全に教育を受けることを最大限に考えて復興小学校は建てられました。関東大震災の教訓をもとに、堅牢な建物として鉄筋コンクリートで建てられました。
 「公共建築のあるべき姿を復興小学校に見出すことができます。」(東工大藤岡洋保先生)
 今、子ども達は、伝統と風格、歴史ある学び舎で、情緒豊かに学ぶことができています。
 
 改築ありきで突き進むのではなく、ここで、今一度立ち止まって、リノベーションをはじめ、あらゆる選択肢を考慮に入れながら、協議する場を持たねば、改築にともなう、無用な負担を、子ども達は背負わされることになりかねません。

 どうか、中央区におかれては、十分な合意形成の上、進められることを強く要望いたします。 
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