昨秋の決算特別委員会で、すでに質疑をしたことですが、子どもの健康を守るため中央区のワクチン行政のさらなる充実が求められます。とくに小児肺炎球菌ワクチンの助成制度は、日本でのワクチン接種が、本年2月24日から始まったこともあり(もちろん当院でも接種開始)、早急に実施すべき課題と考えています。
以下、平成21年10月開催の決算特別委員会での衛生費でのワクチン行政関連の私の質疑を抜粋いたします。
<ポイント>
①MRワクチン、特に3期、4期の接種率の向上を
②組織培養型北京株日脳ワクチン、新日脳ワクチンの接種情報の発信を
③肺炎球菌ワクチン7価ワクチン(商品名プレベナー)の接種補助の検討を
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○小坂委員
では、次に移ります。ワクチンに関して少々お願いします。
ワクチンも、これももっともっと進めていくべきものであり、日本は絶対に、ワクチン行政は非常に後進国であります。医者間だけのジョークです。「日本に五輪が来なかったのは、はしかがあるからだ」というふうに医者の中ではジョークを言っております。そういうところで、ワクチン後進国であってはならないわけであり、安全保障という観点から、国はもっとワクチン供給体制を整備していかなければならないと思っております。今回の新型インフルエンザワクチンも海外の輸入に頼るというふうな姿勢になっておりますので、これは本当に国のレベルで申さねばならないことなんですけれども、ワクチン行政はどんどん進めていく必要があります。
それはさておきながら、まずMRワクチンです。これがやはり3期、4期の接種率がどうしても低いというふうになっております。これを高めなくてはならないんですけれども、とりあえず何%ぐらいを目指していくおつもりなのか。はしかのワクチン接種は、日本からはしかをなくすためには、95%以上の接種率にしなくてはなりません。それでなければならないので、この3期、4期が低いという状況は、もっと一生懸命接種率を高めていかねばなりませんので、はしかのMRワクチンの接種率向上に関してお考えをお聞かせください。
次に、日本脳炎ワクチンです。
日脳ワクチンは、2005年から従来型マウス由来の日脳ワクチンがアデムを起こすということで、「積極的勧奨接種の中止」というふうなややこしい呼び方の施策が開始されました。ただ、2009年6月2日に組織培養型北京株日脳ワクチン、新日脳ワクチンが発売し始めましたので、その点では、今、第1期の予防接種は新型と従来型の両方が使用可能になってきているという状況であります。この日本脳炎ワクチンももっともっと積極的に進めていくべきであると考えますけれども、積極的に予防接種を進めていくという考えで理解していいのかどうか。もっともっと日脳ワクチンも接種すべきだと思います。アデムの心配も、従来型であったとしても、アデムの副作用は考えなくていいし、BSEの副作用も考えなくていい、それを無視できるぐらいの危険性なんです。それですので、積極的に日脳ワクチンをもっともっと打ってもらうように区は進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
もう一つは、今、Hibワクチンに補助を出してくださっている点は高く評価いたします。日本は欧米から20年おくれた施策なんですけれども、Hibワクチンによって、細菌性髄膜炎が年間800例日本で発生していたということを、大変減らしていくことができるということで、その経済効果は80億円の効果が出るというふうに言われております。細菌性髄膜炎は、1年間に日本で約1,000例発生していて、Hib菌によるものが600から800例なんです。残りのほうの約200例の部分が肺炎球菌です。ですので、今後はこの肺炎球菌ワクチンも子供たちに接種していかねばならないと考えております。
この肺炎球菌ワクチンと、今、福祉保健部が出してくださっている肺炎球菌ワクチンとはちょっとタイプが違うんです。23価ワクチンで、私が言っているのは7価ワクチンです。子供には7価ワクチンなんですけれども、これは大事な話なんで、この辺は時間があればもっとゆっくり言いたかったんですけれども。23価ワクチンはニューモバックスといいますけれども、7価ワクチンはプレベナーという商品名なんですけれども、その7価ワクチンを今後入れていく必要があると考えております。これも欧米から約10年おくれた政策なんですけれども、それによって経済効果は日本で400億円、この肺炎球菌によって細菌性髄膜炎が、先ほど言ったように、今、日本で年間200例起こっているし、また、体の中にばい菌が入って敗血症になるというふうなことが1万8,000例起こっています。このようなことが子供たちに起こっているわけなので、これらを何とかしてなくしていかねばならない。
そのワクチンを入れることで、米国のデータではそれら重症感染症を94%減らすことができると言われており、及びこの7価ワクチンを入れることで、欧米では65歳以上の重症感染症も65%減らしているんです。なので、ここが大事なんですけれども、子供に7価の肺炎球菌ワクチンを入れることで子供を救うのと同時に、高齢者も救うことができます。子供たちが肺炎球菌を持っているんです。それを高齢者にうつしているんです。子供たちの接種率を上げることによって高齢者も救うことができるんです。それなので、高齢者に23価ワクチンのニューモバックスを入れるよりも、子供に無料で、もしくは補助を入れることによって子供自身と高齢者も肺炎球菌になる率を減らすことができます。これは医者の間でデータがありますので。そういうことですので、これも製造承認が間近であり、早ければ来年の夏前には使用開始が可能になりますので、7価の肺炎球菌ワクチンも今後導入していけば、これは高齢者施策にもなるということなので、一度御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。ワクチン(関連の質疑)ばかりなので、ここで一回切ります。
お願いします。
○山下健康推進課長
まず、1点目、麻しん、MRワクチンの今後の目指す方向性と接種率の低い対象年齢、3期、4期についてでございます。
現時点では、所管課で把握しております対象者数から割り出しました、実施数から割り出しました接種率、累積した数字ではないので、多少変動があるかと思いますが、1期については20年度分で97%、2期については91.2%、3期については76.3%、4期については65.5%ということで、累積を含めればもう少し上がると思いますが、1期、2期につきましては9割以上ですので、非常に良好な接種率。しかし、やはり100%を目指すものと考えております。3期、4期につきましては、中1、高校3年生ということで、親御さんが行きましょうよと言っても、御本人がなかなか行かないという、なかなか難しい対象者の年齢にもかかってきてございますが、粘り強く教育委員会、学校、それから保育園などと連携・協力しながら接種率の向上に努めてまいります。
また、当課におきまして健康管理システムというものがございまして、接種が済んだ方については入力しておりますので、未接種の方については把握できますので、その方々については個別のはがきの通知をお出ししております。これにつきましても、接種の期間が1年間というところもございますので、接種期間終了前にも再度通知をお出ししているところでございます。
次に、日本脳炎のワクチンについてでございます。
平成17年より国のほうで積極的勧奨を差し控えるというような文書が各区市町村のほうに出ました。このたび、ようやく新規の組織培養型という新しい日本脳炎のワクチンが登場いたしました。私どもといたしましても、地域の医療機関の先生方と連携をいたしまして、きちんと説明をし、同意を得た上での接種、新しいほうのワクチンにするか、従来型のワクチンにするかというところをきちんと説明の上、先生と御相談の上、接種するようにという形での進め方を現在しておるところでございます。
最後に、乳幼児の肺炎球菌ワクチンの7価ワクチンについてというところでございます。
これにつきましても、委員から詳しいデータ等をお示しいただきました。今後、厚労省の動向あるいは東京都の補助事業、それから周辺の23区の動向等も踏まえまして、検討のほうを加えてまいりたいと思っております。
以上です。
○小坂委員
それぞれありがとうございます。
MRワクチンの健康管理システムまであるということで、そこは大変高く評価させていただきます。それに、1期が97%というのにはちょっと驚きました。100%近くになっているので、驚きました。ただ、3期、4期が低いのは、そういうところはなかなか難しい年齢であり、これを高めるのは大変難しいですけれども、愛媛県あたりなど大変高い自治体もありますので、その自治体が何をやっているのかというところも見ていただきながら、なるべく高くして、はしかを日本からなくすように御努力をお願いします。
日本脳炎ワクチンは、確かに医学的には危険性はゼロとは言えないので、医学的には危険性は極めて低いとかいう表現しかとり得ないんですけれども、かといって、本当に低いわけであり、今まだ厚労省は積極的勧奨接種の中止の持続が続いているわけなんですけれども、かといいながらも、これはやはりやって子供たちを守るべきだと思いますので、情報提供をもっともっと積極的にやっていただきたいと思います。
そしてまた、7価ワクチンは、大事なのは子供に肺炎球菌がかからないようにすることによって高齢者を守ることができるというところがポイントですので、また今後それらの資料をよく、厚労省の動きとともに見ていっていただければと思います。
****ワクチン関連の質疑は、以上*****