「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

講演会のお知らせ:肺炎球菌感染症の疫学とワクチンによる予防

2010-04-13 08:49:03 | 小児医療
 小児用の肺炎球菌ワクチン(7価コンジュゲートワクチン:プレベナー)の予防接種が日本でも始まりました。
 当院でも多くのお子様が接種されています。
 中央区では、他区に先駆けてヒブワクチンの予防接種に一部助成がなされていますが、今後、この小児用の肺炎球菌ワクチンにも助成がなされるようにしていく必要性を感じています。

 このたび、感染・免疫懇話集談会/葛飾区医師会主催による肺炎球菌ワクチン関連の勉強会が第39回 感染・免疫懇話会 講演会の形で開催されることとなりました。

 誰でも参加できるといいます。
 議員や保健衛生・学校の関係者、そして一般市民どなたでも参加が可能な勉強会です。
 もちろん、毎回のことですが、私も参加を楽しみにしています。


****以下、ご案内****
 

第39回 感染・免疫懇話会 講演会

 老人の死因で大きな地位を占める肺炎の起因菌である肺炎球菌は、小児では何故か髄膜炎や菌血症、中耳炎の起炎菌として臨床的には重視されています。幸いワクチンが発売され、その効果も高いといわれていますが、老人用と小児用の2種があり、どうも用途が別なようです。
 2006年に老人用肺炎球菌ワクチン「ニューモバックス」が発売された時、当会は松本慶蔵先生をお招きして感銘深いご講演をしていただきました。しかし、80種類以上に分類されている肺炎球菌に対しニューモバックスはそのうちの23種類の菌にしか対応していません(23価ワクチン)。つい先日、2月24日に発売された小児用の7価の肺炎球菌ワクチン「プレベナー」はたったの7種類の肺炎球菌にしか対応していません。しかし、外国では既に13価のワクチンが市販されているという話も聞きますし、10価のワクチンも開発中と聞きます。値段が安く、しかも23価の「ニューモバックス」を、小児に打ったほうが良いのではないかと思えますが、そうでもないようです。
 大体、肺炎球菌と言う名前なのに、冒頭に書いたように小児では髄膜炎の起炎菌として恐れられています。何か、すっきりしないことばかりです。
 小児用肺炎球菌が発売されたことを契機として、メーカーは熱心に講演会を開催して、その意義と有用性についての素晴らしい講演会が開催されているようです。それはそれとして、当感染免疫懇話会は、いつものように独自路線で、基礎のキから肺炎球菌とその感染症について考えてみたいと考え、国立感染症研究所の和田昭仁先生をお招きして講演会を企画しました。入場無料。どなたでも参加できます。恒例の講演会後の食事会(会費制)も行います。  
     
感染・免疫懇話集談会 連絡先 電話3604-2101 FAX3604-2103 
 

プレトーク(7時50分~)

23種類精製莢膜ポリサッカライドを用いた肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)について
萬有製薬株式会社担当者

ポリサッカライドと蛋白質(CRM197)を共有結合させた7価コンジュゲートワクチン(プレベナー)について
ワイス株式会社担当者


講演:肺炎球菌感染症の疫学とワクチンによる予防

国立感染症研究所 細菌第一部 第三室室長

和田 昭仁

平成22年4月22日 木曜 午後8時~
会場 葛飾区医師会館 3階 講堂
東京都葛飾区立石5-15-12 電話 3691-8536

 肺炎球菌は、小児、成人の上咽頭にコロナイズすることがある一方、呼吸器感染の主要な起炎菌であり、また中耳炎、菌血症/敗血症、髄膜炎の起炎菌としても重要です。肺炎球菌が持つ莢膜(きょうまく)は、最も重要な病原因子であり、莢膜を持つ肺炎球菌は、持たない菌に比べて著しく病原性が強いことが知られています。莢膜はさまざまな種類の糖が数多く連なった多糖(ポリサッカライド)からなり、その抗原性の違いから93種類の型に分類されています。
 肺炎球菌感染症に対するワクチンとして、23種類の精製莢膜ポリサッカライドを用いた肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)と、ポリサッカライドとたん白質(CRM197)をそれぞれ共有結合させた7価コンジュゲートワクチン(プレベナー)が承認されていて、前者は主として成人に、後者は小児に対して用いられています。
 ワクチンが接種された個人を肺炎球菌感染から守る効果と、ワクチンが接種された集団に対する効果は両者で差があり、どのような状況で、どちらのワクチンを接種するのがより効果的であるか、さまざまな議論があります。
 今回の懇話会では、万有製薬さん、ワイスさんの担当者もご出席されるとのことで、皆様からいろいろな意見をいただき、肺炎球菌感染症に対するワクチンの必要性につき、議論を深めることができればと考えております。  
              
感染・免疫懇話集談会/葛飾区医師会

以上、
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