去年の今頃、新型インフルエンザが出始め、どうしたものかと医療者がだれもが危機意識を持ったことだと思います。
本日4/26の産経新聞で、新型インフルエンザ関連の社説がありましたので、掲載します。
厚生労働省でも、総括をしているとのこと。
この秋にくるであろう第二波には、十分備える必要があると思います。
まずは、きちんと予防接種をすることです。
社説の大事と思う部分に下線を引きました。
****以下、産経新聞(2010/04/26)*****
【主張】新型インフル1年 危機管理の教訓にしたい
メキシコでブタ由来のインフルエンザが流行し、60人もの死者が報告されていることを世界保健機関(WHO)が発表したのは昨年の4月24日だった。翌日にはWHOから、「国際保健上の緊急事態」に認定され、世界は大きく動揺した。
国内でも推定2千万人を超える患者が発生したこの新型インフルエンザは、いまやすっかり下火になった。関心も薄れているが、感染症対策や危機管理面で引き出すべき教訓は少なくない。
WHOの緊急事態認定から3日後の28日には、政府の新型インフルエンザ対策本部が「国内へのウイルスの侵入を何としても防ぐ」として検疫体制の強化を打ち出した。急な発熱などインフルエンザが疑われる人は発熱外来のある病院で診ることにもなった。
新しい感染症の流行の初期には情報が少ないので、最も厳しいシナリオを前提に対策を立てる。これは危機管理上、当然の選択だろう。だが、事態の推移をにらみ、対策を速やかに現実に適合したものに変えていく臨機応変の判断も政策決定者には必要だ。
この点で、昨年5、6月の政府の対応は著しく柔軟性を欠いていた。水際対策は国内体制を整えるまでの時間稼ぎ策なのに、ずるずる引き延ばして逆に体制整備を遅らせた。発熱外来のシステムも、特定の病院に患者が集中し、かえって混乱を招く結果になった。
こうした錯誤は、感染症にかかった人を社会から排除しようとする発想が根強く政策決定者に残っているからだろう。大いに反省すべき点である。
今回の流行は、患者数では毎年の季節性インフルエンザを上回ったが、死亡率は人口10万人あたり0・15人で、諸外国に比べてもひとケタ少ない。だれもが気軽に医療を受けられる診療体制が何とか維持され、抗インフルエンザ薬の早期の服用も可能だったからだろう。現場の医療関係者の献身的な努力のおかげともいえる。
ただし、政策的にはその努力に水を差す決定も見受けられた。ワクチンをめぐる方針が二転三転し、結果として大量に余ったことなどその最たるものだ。
厚生労働省では、専門家による総括作業が進められている。秋の再流行や、より病原性の高い新型インフルが登場する懸念も去ったわけではないので、今後の対策に生かせる総括を望みたい。
以上、