適用実験の現地見学会に参加して参りました。
現場を見て、得た感想は、「これでは、残念ながら日本最大規模の土壌汚染を無害化できない」ということでした。
まず、見学以前から言われていますように、いまだに、「中間報告」のデータの“初期値”が明らかにされていないということです。
もともと汚染濃度の低い土壌に対して、適応実験において汚染処理を施していた場合、汚染濃度が低くなったとしても、汚染処理技術の効果ではなくて、もともと濃度が低かったがゆえに結果、低いデータとなったと解釈ができます。
私は、なぜ、だれもが疑問に思う過ちを“あえて”犯していること自体が、疑問でしたが、“初期値”を示すことができないことの東京都の意図がようやく見えてきたように思います。
「“初期値”がもともと低いということの隠蔽」ではなくて、この土壌汚染処理のもともとの構造的欠陥であり、かつ致命的な欠陥を示してしまうからではないだろうかと思います。
すなわち、土壌汚染処理では、「すべて“初期値”を出さずに処理する」という考えで進めているのです。
中間報告で、“初期値”を示してしまうと、今後、すべての汚染土壌で、“初期値”をもちいるという多大な負担を背負うことになり、それを東京都はさけたいと思っているのではないだろうかと思います。
“初期値”が、それまで、例えば、ベンゼン単独とみなしていたものが、他の有害化学物質が検出されるなど、10m×10mのメッシュの一地点を深さ方向に1m間隔で測定したかつての専門家会議のデータと異なることも実際適応実験で起こっているのかもしれませんし、今後も実際の処理において起こるかもしれません。
本来なら、処理する土壌をとってきたら、その土壌において、含まれる有害化学物質であるベンゼン、シアン、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウム、ベンゾaピレンなどを測定し、その後、技術会議が提唱する処理する方法を()~)から選択して実施するのが筋です。
)その土壌が、ベンゼンだけなら微生物処理のみとなります。
)ベンゼンとともに、シアン化合物や重金属を含む混合汚染なら、原位置微生物処理後洗浄処理。
)ベンゼン濃度が、低濃度での混合汚染なら、洗浄処理。
)油膜が見られる土壌なら、ベンゼンの場合、中温加熱処理。
)油膜が見られる土壌で、シアンや重金属なら、中温加熱処理と洗浄処理。
東京都が考える土壌の処理の方法は、“初期値”を見ずして、その場所場所で、処理を決めてしまっているのです。
かつての専門家会議の調査で、10m×10mの範囲のひとつの地点のサンプルをとってきて、その範囲の汚染は、すべてそのサンプルが示す汚染が広がっていると仮定し、処理をすすめるのです。
医学で言えば、画像診断で、がんの場所を決め、あとは、術野を見ずして、がん摘出の手術をするようなものです。
サンプルが代表する汚染がメインであるかもしれませんが、再度、実際にとれた土壌の汚染状況を確認し、上記)~)の処理方法を選ぶべきであります。
複数の処理方法をとると技術会議がしてしまったことが、致命的だったのではないでしょうか。構造的欠陥とは、ここを指して私はいいます。
シンプルにひとつのやり方であればよかったのだろうけどと、いまさらのように考えます。
現実的に考えるなら、例えば、油膜があるなしで二通りにはなりますが、
1)全域にまず、原位置微生物処理をする。
2)その後、洗浄処理をする。
3)油膜が見られる場合、中温加熱処理をする。
4)その後、洗浄処理をする。
つまり、すべての土壌に同じ処理をすすめるプロトコールです。(途中、油膜のありなしで、経路を分けます。)
ひとつのプロトコールで進めるわけであり、いちいち、汚染土壌の有害化学物質に分類する必要がないところが技術会議とことなる点であり、技術会議の提案の構造的欠陥を持っていません。
素人ながらに、いろいろ思う次第です。
ところで、見学は、三箇所(Ⅰ~Ⅲとして以下に記載)ありました。
上述の構造的欠陥はおいて置くとして、それぞれに大きな問題を抱え、土壌汚染が残ってしまうという危険性があることが分かりました。
それぞれ、三箇所での汚染が残る理由を書きます。
Ⅰ掘削微生物処理(テント内)
持ち込んだ土壌が、ベンゼン単独として(と仮定して)、処理します。
もし、その土壌が実は、ベンゼンだけではなく、シアンや重金属があったとすると、それらは、まったく処理されずに、そのまま残ることになります。
Ⅱ原位置微生物処理⇒洗浄処理
地中の微生物にまず、ベンゼンを分解させ、その後洗浄します。
微生物が、地中のどこまで、深く生息し、機能するかが問題であり、深くに汚染があった場合、微生物が存在せず、分解できないことがあります。
地下水位より下の箇所でも、微生物は存在せず、処理をできないであろうと考えます。
Ⅲ汚染地下水処理
10m×10mに矢板を打ち込み、周りから、地下水の移動を遮断した状態で、地下水を揚水し、処理します。
見学した場所は、狭い区域であるのに、地下水水位は、下がっていません。狭い区域でさえ、地下水位を下げることができないのであれば、市場予定地の全体の地下水位を一定(AP1.8m)に保つことは不可能なのではないかと思います。
地下水位が上昇するとせっかく入れ替えて無害化した土壌の再汚染がありえ、かなり深刻な問題です。
写真は、汚染地下水処理の区画です。何度も書きますが、矢板で囲ったこの狭い区画でさえ、地下水位は下げれていません。
東京都の職員の皆様には、午前10時30分から、夕方4時までの間、四回にわたる現地見学(一回につき1時間)を、晴れてはいるものの風が強く吹く寒い中実施いただき、たいへん感謝申し上げます。
説明は、たいへん丁寧で、わかりやすく、質問にも丁寧にお答えくださいました。
ありがとうございました。
現場を見て、得た感想は、「これでは、残念ながら日本最大規模の土壌汚染を無害化できない」ということでした。
まず、見学以前から言われていますように、いまだに、「中間報告」のデータの“初期値”が明らかにされていないということです。
もともと汚染濃度の低い土壌に対して、適応実験において汚染処理を施していた場合、汚染濃度が低くなったとしても、汚染処理技術の効果ではなくて、もともと濃度が低かったがゆえに結果、低いデータとなったと解釈ができます。
私は、なぜ、だれもが疑問に思う過ちを“あえて”犯していること自体が、疑問でしたが、“初期値”を示すことができないことの東京都の意図がようやく見えてきたように思います。
「“初期値”がもともと低いということの隠蔽」ではなくて、この土壌汚染処理のもともとの構造的欠陥であり、かつ致命的な欠陥を示してしまうからではないだろうかと思います。
すなわち、土壌汚染処理では、「すべて“初期値”を出さずに処理する」という考えで進めているのです。
中間報告で、“初期値”を示してしまうと、今後、すべての汚染土壌で、“初期値”をもちいるという多大な負担を背負うことになり、それを東京都はさけたいと思っているのではないだろうかと思います。
“初期値”が、それまで、例えば、ベンゼン単独とみなしていたものが、他の有害化学物質が検出されるなど、10m×10mのメッシュの一地点を深さ方向に1m間隔で測定したかつての専門家会議のデータと異なることも実際適応実験で起こっているのかもしれませんし、今後も実際の処理において起こるかもしれません。
本来なら、処理する土壌をとってきたら、その土壌において、含まれる有害化学物質であるベンゼン、シアン、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウム、ベンゾaピレンなどを測定し、その後、技術会議が提唱する処理する方法を()~)から選択して実施するのが筋です。
)その土壌が、ベンゼンだけなら微生物処理のみとなります。
)ベンゼンとともに、シアン化合物や重金属を含む混合汚染なら、原位置微生物処理後洗浄処理。
)ベンゼン濃度が、低濃度での混合汚染なら、洗浄処理。
)油膜が見られる土壌なら、ベンゼンの場合、中温加熱処理。
)油膜が見られる土壌で、シアンや重金属なら、中温加熱処理と洗浄処理。
東京都が考える土壌の処理の方法は、“初期値”を見ずして、その場所場所で、処理を決めてしまっているのです。
かつての専門家会議の調査で、10m×10mの範囲のひとつの地点のサンプルをとってきて、その範囲の汚染は、すべてそのサンプルが示す汚染が広がっていると仮定し、処理をすすめるのです。
医学で言えば、画像診断で、がんの場所を決め、あとは、術野を見ずして、がん摘出の手術をするようなものです。
サンプルが代表する汚染がメインであるかもしれませんが、再度、実際にとれた土壌の汚染状況を確認し、上記)~)の処理方法を選ぶべきであります。
複数の処理方法をとると技術会議がしてしまったことが、致命的だったのではないでしょうか。構造的欠陥とは、ここを指して私はいいます。
シンプルにひとつのやり方であればよかったのだろうけどと、いまさらのように考えます。
現実的に考えるなら、例えば、油膜があるなしで二通りにはなりますが、
1)全域にまず、原位置微生物処理をする。
2)その後、洗浄処理をする。
3)油膜が見られる場合、中温加熱処理をする。
4)その後、洗浄処理をする。
つまり、すべての土壌に同じ処理をすすめるプロトコールです。(途中、油膜のありなしで、経路を分けます。)
ひとつのプロトコールで進めるわけであり、いちいち、汚染土壌の有害化学物質に分類する必要がないところが技術会議とことなる点であり、技術会議の提案の構造的欠陥を持っていません。
素人ながらに、いろいろ思う次第です。
ところで、見学は、三箇所(Ⅰ~Ⅲとして以下に記載)ありました。
上述の構造的欠陥はおいて置くとして、それぞれに大きな問題を抱え、土壌汚染が残ってしまうという危険性があることが分かりました。
それぞれ、三箇所での汚染が残る理由を書きます。
Ⅰ掘削微生物処理(テント内)
持ち込んだ土壌が、ベンゼン単独として(と仮定して)、処理します。
もし、その土壌が実は、ベンゼンだけではなく、シアンや重金属があったとすると、それらは、まったく処理されずに、そのまま残ることになります。
Ⅱ原位置微生物処理⇒洗浄処理
地中の微生物にまず、ベンゼンを分解させ、その後洗浄します。
微生物が、地中のどこまで、深く生息し、機能するかが問題であり、深くに汚染があった場合、微生物が存在せず、分解できないことがあります。
地下水位より下の箇所でも、微生物は存在せず、処理をできないであろうと考えます。
Ⅲ汚染地下水処理
10m×10mに矢板を打ち込み、周りから、地下水の移動を遮断した状態で、地下水を揚水し、処理します。
見学した場所は、狭い区域であるのに、地下水水位は、下がっていません。狭い区域でさえ、地下水位を下げることができないのであれば、市場予定地の全体の地下水位を一定(AP1.8m)に保つことは不可能なのではないかと思います。
地下水位が上昇するとせっかく入れ替えて無害化した土壌の再汚染がありえ、かなり深刻な問題です。
写真は、汚染地下水処理の区画です。何度も書きますが、矢板で囲ったこの狭い区画でさえ、地下水位は下げれていません。
東京都の職員の皆様には、午前10時30分から、夕方4時までの間、四回にわたる現地見学(一回につき1時間)を、晴れてはいるものの風が強く吹く寒い中実施いただき、たいへん感謝申し上げます。
説明は、たいへん丁寧で、わかりやすく、質問にも丁寧にお答えくださいました。
ありがとうございました。