毎年、元旦の6新聞各紙(朝日、毎日、東京、日経、読売、産経)から、その一年を読み解くことを試みることを楽しみにしています。
まず、今年の元旦の最高の記事は、(記事というより意見広告ですが、)集英社です。東京新聞を除く全5紙にその読者層をそれぞれに想定し、異なった解説をしつつメッセージ「読書は、平和を守る」というものを一頁まるまる用い発信しておられました。時代の危機感から発したメッセージであると推察致しますが、表現者としての心意気に敬意を表します。
以下、すべてを詳細に拾いきれてはおりませんが、主立った記事を、その記事や新聞社の主張の善し悪しは別にして、簡単にピックアップ致します。
⇒の文章は、自分の感想です。
2016年の最重要イベントは、もちろん7月10日(あたり)の参議院選挙。
2016年の重要問題点のキーワードのひとつは、「分断」でしょうか。
また、時代の課題の解決方法を考える上で、没後100年の夏目漱石は、ひとつの重要な視点を与えてくれているかもしれません。作品に当たっていきたいと考えます。朝日新聞では、岩波書店が「漱石は百年後の未来に何を見ていたか」と題し、主な作品の一部を抜粋した一面広告を掲載。また、東京新聞では、新宿区が漱石基金(仮称、漱石山房記念館)お願いの広告を掲載。
○ コラム⇒各紙俳句や詩を入れながらの論の運びでした。
1朝日新聞
「松立てずしめかざりせず餅つかずかかる家にも春は来にけり」元政法師
人は短期的な変化に過剰反応しがちな一方、中長期的な変化の意味を過小評価しがちだという説がある。
2毎日新聞
「薦(こも)を着て誰人います花の春」芭蕉 元禄3(1690)年の歳旦吟(さいたんぎん)(新春詠)
グローバル経済がむしろ人々の間に心の壁を作り出し、歯止めなき暴力が噴き出る今日の世界である。文化を異にする人々が共に生きる制度や理念が崩れている不安の中で新しい年を迎えた。異質な他者への嫌悪が幅をきかせ、貧者や虐げられた人への共感もやせ細っていくようにみえるのは杞憂(きゆう)だろうか
3東京新聞
「笑う門には福来る」
どんな人も笑える。だとすれば、どんな人も幸福の切符を手にできるはずである。
4日本経済新聞
「何となく、今年はよい事あるごとし。元日の朝、晴れて風無し。」石川啄木
政府は大逆事件で社会運動を封じて体制維持に躍起となる。自我に目覚めた成年に出口がない…。啄木の言う「時代閉塞」である。そんな状況を現代になぞらえる声は昔からあったし、いささか安易だ。とはいえ世の閉塞感は昨今もなかなか強いから、…
5読売新聞
「白き薔薇は傷つきぬ 荒(すさ)ぶ暴風雨(あらし)の手あらさに されども花の香はましぬ 多くも亭(う)けし苦の為(ため)に」 ルミ・ド・グウルモン フランスの詩人『あらしの薔薇(そうび)』
暴風雨をくぐり、花は香りを増すのだと。
6産経新聞
「人間の人生が少々長すぎるので、神さまが、それを、三百六十五日ずつに区切ったのだ。そして、その区切り、区切りの階段で、人間がひと休みするということだ」 作家 井上靖
昭和32年の元旦、50歳を間近にした井上さんが抱いた感慨だった。
○ 社説⇒毎年思うのだけど、読売は、一頁の3分の2という特別に大きな枠で社説を書く心意気はよいが、政府の公報紙的な内容になっているのが気がかり。
1朝日新聞 分断される世界 連帯の再生に向き合う年
社会の分断は民主主義にとって脅威だ。「私たちみんなできめた」という感覚がなければ、人々は政治的な決定を尊重しようとはしなくなる。そしてそれはさらに社会を細分化する悪循環を招く。
私たちの社会が抱える分断という病理を直視し、そこにつけ込まない政治や言論を強くしていかなければならない。
民主主義さえも台無しにするほどに深刻化する前に。
2毎日新聞 2016年を考える 民主主義 多様なほど強くなれる
国の未来に多様な選択肢が提示され、公平・公正な意見集約が行われる社会。その結果としての政策決定に、幅広いコンセンサスが存在する社会。それが民主主義が機能する強い社会と呼べるものだ。
3東京新聞 歴史の教訓を胸に
これから世界を武力の方向に傾かせるのか、それとも教育や格差是正の方向へと傾かせるのか。
どちらに向かうか。少なくとも日本が目指すべき方向は私たち国民が決めねばなりません。
その場合、見てほしいのは現在はもちろんだが、過去も忘れてほしくない。
4日本経済新聞 新たな時代の「追いつき追い越せ」へ
国際通貨基金(IMF)国別の1人当たり名目国内総生産(GDP) それをみると、がくぜんとする。14年、日本は世界で27位に沈んでいるのだ。
…範はスイス・オランダ
…明治、戦後と日本は2度にわたって外にモデルを求め、内を改め、世界に伍してきた。いままた新たな追いつき負い越せの時代がやってきている。
5読売新聞 世界の安定へ重い日本の責務 成長戦略を一層強力に進めたい
自由や平等、法の支配といった共通であるべき価値観が揺らぎ、世界は分断へと向かっているかのようだ。
6産経新聞 年のはじめに 論説委員長 石井聡 再生に向かう力の結集を
○一面記事、その他記事
⇒各紙スクープ記事を一面に持ってくるのが恒例と感じています。産経新聞のマイナンバー制度の矛盾をついた記事は、機構の情報公開がなされない重大な問題点を指摘しており、一番のスクープに感じました。
一面にもってくる写真としては、産経新聞の南三陸町の写真が、復興の状況を与えてくれる重要な情報でした。
東京新聞の「マギーズセンター」の記事は、とても重要な取り組みを伝えてくれています。
読売新聞が、自らの信条をわざわざスペースを割いて掲載(そのまま抜粋しておきます)。掲載すること自体には、敬意を表します。どうか、その信条を忘れずにジャーナリズムを貫いていただきたいです。
1朝日新聞
1)一面
首相、衆参同日選も視野 夏の参院選 将来の改憲意識
新元素発見、日本初の認定 理研に命名権
2)その他
仮設住宅 民間に譲渡 宮城介護施設・倉庫に活用(38頁)⇒今後単なる取り壊しではなく、有効な活用がされることを願います。
2毎日新聞
1)一面
改憲へ緊急事態条項 議員任期特例 安倍政権方針
新元素 理研に命名権 「113番」アジアで初
3東京新聞
1)一面
中古武器輸出を検討 周辺国の軍備増強に懸念 「無償・低価格」特例法で
2300人が寄付 豊洲に新施設 がん患者を支えたい
2)その他
復興工事 ずさん設計 図面流用、安全面の欠陥…横行
4日本経済新聞
1)一面
ANA、超大型機導入 エアバスA380、3機1500億円
新元素 理研の発見認定 アジア初113番、周期表に記載
2)その他
特別養子縁組 あっせん業者、許可制に 国の監督強化へ法整備(2頁)⇒その子の一生に関わる重要な問題であり、監督強化が絶対に重要です。
5読売新聞
1)一面
数研出版も教科書謝礼 中学校校長ら 検定中に閲覧例
仮設住宅20年までに解消 岩手・宮城 政府復興方針改定へ
日本初 元素に命名権
2)その他
読売信条(2頁)
「読売新聞は
責任ある自由を追求する。
個人の尊厳と基本的人権に基づく人間主義をめざす。
国際主義に立ち、日本と世界の平和、繁栄に貢献する。
真実を追求する構成な報道、勇気と責任ある言論により、読者の信頼にこたえる。
(2000年1月1日制定)」
心臓マッサージためらわず 骨折「まれ」蘇生協議会(38頁)
6産経新聞
1)一面
マイナンバー 運営システムに欠陥 機構、原因開示を拒否
5度目の新年 復興への灯
2)その他
沖縄北部の森林地域 世界自然遺産 30年登録実現へ合意(2頁)
「閖上の記憶」語り部始めた陸自幹部(29頁)
○ 特集記事
1朝日新聞
1)18歳をあるく
今の18歳は、どんな人たちなのか。
2)オピニオン 選べない国で
3)ネガウモトメル
「夢物語」が現実に 第1回あの人に会いたい
4)18歳の私は
社会貢献活動家 ビル・ゲイツさん
ノーベル医学生理学賞 大村智さん
2毎日新聞
1)憲法のある風景 公布70年の今
2)家族2016 孤をいきる
第1回 寄り添う遠隔会話ロボ
3東京新聞
1)表現と平和を考える 新春対談
女優吉永小百合さんとイラストレーター和田誠さん「これからもずっと戦後で」
2)おかげさま 支えてくれてありがとう
第1回戦場カメラマン
4日本経済新聞
1)解を探しに
第3回何のために働くのか すれ違う会社と社員
2)2020年 ニッポンの道しるべ
3)ここにもAI つくる
4)政治新潮流
5)アジア ひと未来
5読売新聞
1)外国人と暮らす
2)新春対談
橋本五郎本社特別編集委員と宗教学者山折哲雄
6産経新聞
1)にっぽん再構築 第1部今こそ行革だ
2)「価値」漂流 第1部家族のかたち
「結婚しないの?」は暴言か
3)首相とラグビー日本代表リーチ・マイケルさん対談
4)正論 京都大学名誉教授 中西輝政
以上
********いままでの毎年の同内容の記載*********
2016年 http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/e190a76c1cc11761443d68a965b3c5b3
2015年 http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/e926ebba48d32dac0d5a2e080a95e865
2014年1月1日http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/e4efb0259885d7e84f3936572a8b6230
2013年1月1日http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/10934d91646d6b114ffbe5023ae05408
2012年1月1日http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/9fb98ef88d59ab808969f6c396621bfa
2011年1月1日http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/4c09f70b97decbb7da7e7148ec152052
2010年1月1日http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/a970d3845515c8c0633468a3269da4ab
2009年1月1日http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/18c3c4feb2a3e29088dbce3d7b71c997