1月4日の毎日新聞社説は、立憲民主主義の大切なこと、「憲法が国民に特定の価値観を押しつけるものであってはならない」という憲法で重要なことを伝えています。
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http://mainichi.jp/articles/20160104/k00/00m/070/111000c
社説
安倍政権と憲法 生活者の実感を大切に
毎日新聞2016年1月4日 02時30分(最終更新 1月4日 02時30分)
政治は選挙を経てギアチェンジを繰り返す。今年は参議院の選挙が実施される年だ。
返り咲きから4年目に入った安倍晋三首相は、参院選に並々ならぬ闘志を抱いているようだ。
例年より半月ほど早く、きょうから通常国会が開幕する日程にしたのも、昨年暮れに公明党の主張を入れて軽減税率の協議を決着させたのも、すべては参院選を有利に戦うための布石とみられている。
ただし、参院選はあくまで表の主役、陰に控える真の主役は憲法だと考えておくべきだろう。
公布から70年の節目
安倍首相は昨年11月28日、自ら会長を務める右派系の議員連盟「創生日本」の会合でこう訴えている。
「憲法改正をはじめ占領時代に作られた仕組みを変えることが(自民党の)立党の原点だ。来年の参院選で支援をお願いしたい」
今年11月3日で憲法は公布から70年を迎える。来年は施行70年だ。これまで一度も改正されていない。
憲法を変えるには、衆参両院ともに「総議員の3分の2以上」の賛成を得て改正案を発議し、国民投票にかけなければならない。一時の多数派の意向だけで容易に変更ができないよう設けられた高いハードルだ。
現在、与党である自民、公明両党は衆院で3分の2以上の議席を占める。しかし、参院では3分の2まで30議席程度足りない。
安倍首相の自民党総裁任期は2018年9月までだ。長期政権を視野に入れる首相だが、党規約を改正して任期を延長しない限り、参院選に臨むのは今年が最後になる。
このため、首相としては何としても参院選に大勝し、改憲要件をクリアしたいところだろう。
会期150日間の通常国会は6月1日に閉会する。その直前、5月26日からは日本で主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開催され、安倍首相が議長を務める。
これならサミットの成果を誇示する形で参院選になだれ込める。会期末に衆院を解散すれば7月に衆参同日選も可能になる。少なくとも同日選をにおわしておけば、野党の足並みを乱すことができる。
安倍政権が設定した国会日程からは、こんな思惑がうかがえる。
首相は参院選に向けて「1億総活躍社会」の実現や「新三本の矢」をアピールするはずだ。
選挙前までは経済最優先を訴え、選挙が終わると国論を二分するような政策を数の力で押し切る。安倍政権の政治手法の特徴である。
今年の参院選で同じことが繰り返されてはならない。結果次第で憲法改正という戦後最大のギアチェンジに直結する選挙になるからだ。
すでに自民党内では、参院選後をにらんで大災害を想定した「緊急事態条項」の追加を憲法改正の出発点にしようとする動きがある。昨年来言われてきた「お試し改憲」に近い発想だ。憲法に風穴を開けて本丸の9条に迫ろうというのだろう。
安倍首相が改憲に執念を燃やす理由を知るうえで印象深いやり取りがある。昨年5月の党首討論だ。
価値観を押しつけるな
日本が敗戦時に受け入れたポツダム宣言について、共産党の志位和夫委員長から感想を求められた安倍首相は「つまびらかに読んでいないから論評を差し控えたい」と答えた。
志位氏がただしたのは、宣言が日本の行為を「世界征服の挙」と非難している部分だったが、宣言は同時に日本の民主化と言論の自由、基本的人権の確立を求めている。
憲法学者の長谷部恭男氏は「国家が戦争を通じて攻撃しているのは、実は敵国の憲法原理だ」と述べている。この表現に従えば、日本は憲法の戦いに敗れて、新たな憲法原理を獲得したことになる。
「戦後レジームからの脱却」を唱え、現憲法を「占領軍の押しつけ」と呼んできた安倍首相だ。出発点であるポツダム宣言を読んでいないとは考えにくい。むしろ、宣言への抵抗感を隠すために論評を避けたととらえるのが自然ではないか。
私たちは憲法改正を決して否定はしない。改憲論者は好戦的で、護憲論者は平和主義といったステレオタイプの色分けも排する。
ただし、憲法が国民に特定の価値観を押しつけるものであってはならない。日本の伝統は守られるべきだが、憲法による保護を一番必要としているのは普遍的な人権だ。
すなわち最も基本的な国のルールである憲法の改正論議は、国民がいかに暮らしやすい国にするかをベースに組み立てられるべきだろう。
憲法が定めるのは抽象的なことではない。自由に小説や音楽を楽しめるのも、差別はいけないと多くの人が考えるのも、外国との関係を良くしようとする力が働くのも、憲法が基になっている。
憲法の議論ではそんな生活者の実感を大切にしたい。憲法は権力者のものではなく、私たちのものだ。
<2016年中央区政 12の注目ポイントについて>
今までの区議会の議論の中で見えてきている注目点を列挙致します。決定ではなく、地元の皆様の慎重な議論が必要な計画もあります(特に、項目11、豊海大型流通配送センター建設計画など)。
なお、あらたに追加せねばならない重要課題もでてきているところです。
1、区民目線第一の中央区新基本構想を作ること
これから30年先を見据えた新構想が作られます。中央区の基本計画の根拠となります。
区民目線第一の構想ができますよう、審議会傍聴やパブリックコメントにより、皆様の声を中央区に届けて下さい。
2、在宅療養看護で必須の制度、レスパイトの設置
医療的ケアの必要な者・児(「医ケア児」と略)が、24時間365日家族による看護のもと、在宅で過ごされています。その看護する親御さんの休息のために、医ケア児を預かる先が完備されます。
3、中央区子ども・子育て会議 第2期
待機児童問題解消だけでなく、保育の質の確保、様々な子育て支援策そして、接続期カリキュラムなどの幼保小の連携策などが、議論されます。
4、B型肝炎ウイルス予防接種が定期接種としての実施(無料化)へ
いままで任意接種でした。定期接種になる予定であり、日本のワクチン行政が一歩前進です。
5、発達障害などの子ども達にあった教育の場「特別支援教室」設置開始
『東京都特別支援教育推進計画 第三次実施計画(平成22年11月)』に従い、中央区も、今までの「通級指導学級」「固定学級」に加え、各校に「特別支援教室」が設置されます。
都の計画期間は28~30年の三カ年あるところ、中央区は、28年度と29年度の二カ年で整備。28年度から導入する学校は、京橋地域(中央小・明石小・◎京橋築地小)、日本橋地域(久松小・坂本小・◎有馬小)、月島地域(佃島小・月島第二小・◎月島第一小)(◎:拠点校、現在の通級指導学級設置校)です。29年度は、泰明小・明正小、城東小・常磐小・日本橋小、月島第三小・豊海小です。
新制度に移行しても、必要な児には、通級指導の継続など児童一人一人の状況に合わせた指導が行われることを事前説明会で区は何度も念押ししています。
6、ストレスチェック 子ども達に関わるすべての学校・保育の現場でも
労働安全衛生法が大改正(H26.6.25公布、H27.12.1施行)、すべての職場にストレスチェックが導入。
もちろん、子ども達に関わる学校・保育の現場でも当然に先生や保育士らにも適用になります。
もし、高ストレス状態の結果が出た場合、その本人は、産業医の指導を受けることができます(本人から申し出があった場合は、企業は、本人と医師の面接指導を実施するとことが義務であり、申し出を理由とする不利益な取り扱いは禁止)。
7、ペットとの共生「ペットとともに暮らすうえでの諸課題について語り合うカフェ」開催
各回異なるテーマが設定され、テーマごとに専門家、活動家をゲストに招き、参加者間の交流を通じて、ペットの適正飼養について意識を高めつつ、仲間作りが行われます。
8、中央区オリンピック・パラリンピック区民協議会
2020年東京五輪に向け、区民、関係団体および区が一体となって地域の発展とレガシーを残すことに取り組むための協議の場です。なお、第1回は、2015年12月17日に開催されました。
9、にぎわいにあふれる個性豊かな商店街 「商店街振興プラン2016」3月策定
前回は平成16年6月策定。中央区を6つの地区「八重洲・京橋・日本橋」「銀座」「新富・湊・八丁堀・茅場町」「築地」「人形町・やげん堀・浜町」「月島・勝どき」にわけ、各エリア別のコンセプトと重点テーマがまとめられています。
面的な広がりを持たせる回遊イベントの実施、外国人観光客の取り込み、商店街の組織力強化と人材育成が、重点的な取り組みとしてあげられています。
10、9月の総合防災訓練、今年は、京橋地区での開催
聖路加国際病院・聖路加看護大学そして、あらたに中央区と防災協定を締結した国立がんセンターなどとの十分な連携のもと、引き続き障害者団体の皆様もご協力もいただきつつ、実践的な訓練となることを願っています。
11、豊海地区への大型流通配送センター計画?とその屋上へのフットサルコート等の広場整備
区道の付け替えにより豊海町6番と7番が合体した大きな街区を可能にするという根幹部分において中央区も関与する豊海地区への大型流通配送センター建設計画。大型トラックの増加に伴い振動騒音排気ガスなどによる交通環境の悪化を来す計画である以上、その計画内容を勝どき豊海の住民の皆様にきちんと開示をした上で、慎重に議論をしていくべきところです。
例えば、漁港区への同計画が港湾法に適合するかという根本的な問題とともに、フットサルコート等の広場を区民が使用するときの制限が厳しい点をなんとか緩和ができないかという問題等があると考えます。
12、環状二号線 本年12月 暫定開通か?
環状二号線(築地大橋~豊洲)は、本年12月に仮設道路による暫定開通の予定。仮設道路が片側一車線の場合、混雑渋滞が懸念されることから、片側二車線での暫定開通の検討を都に強く求めていく必要があります。全線開通は、五輪開幕に間に合わせるため、2020年(H32)の早期になされる都の方針。
なお、豊洲新市場は、土壌汚染対策法上の「形質変更時要届出区域」という土壌汚染地指定のままであり、農林水産省が市場認可をするかは疑問。
東京都がこの豊洲新市場用地を汚染がないものとした評価価格で汚染原因者東京ガスから購入している問題では、住民訴訟が東京地方裁判所で係属中、秋頃に第一審判決の可能性。
<区政の課題について>
福祉保健委員会委員、防災等安全対策特別委員会委員として考える区政の課題の一部を列挙致します。(2015年6月の一般質問でも一部指摘)。
【福祉保健分野】
◎医療的ケアの必要な者・児(「医ケア児」と略)の全員の現況調査
前述の通り、喫緊の課題としてのレスパイトは整備される予定であるものの、医ケア児とその家族が抱える問題は、個別具体的な解決がなされる必要があります。
基本的に、医ケア児が、区内に何人おられるかという実数の把握自体も難しい現状でありますが、障害者団体や自立支援協議会、在宅療養支援協議会そして、包括的な協定をする聖路加看護大学などの連携のもと、対象者を漏らすことのない有意義な調査がなされることを期待致しております。
◎医療ケア児、発達障害などそれぞれに応じた保育、幼稚園教育の提供を
たとえ、医療的ケアが必要であったとしても、その児が希望するのならば、保育園なり、幼稚園に通える環境整備がなされていくことを願っています。
児童福祉法において、「保育所における保育」に関して「市町村は、この法律及び子ども・子育て支援法の定めるところにより、保護者の労働又は疾病その他の事由により、その監護すべき乳児、幼児その他の児童について保育を必要とする場合において、次項に定めるところによるほか、当該児童を保育所…において保育しなければならない(24条1項)。市町村は、前項に規定する児童に対し、…認定子ども園…又は家庭的保育事業等…により必要な保育を確保するための措置を講じなければならない(同条2項)。」又、学校教育法においても、「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする(22条)。」と規定され、保護者側の事由はあるものの児童の事由はなんら付されておらず、保育の場や幼稚園が全ての子ども達に開かれているところです。
家族法の大家大村敦氏らも「ノーマライゼーションの理念の下、子どもの福祉に合致した保護者の意思は尊重されるべきであり、発達障害に限らず、障害を理由とした保育所・幼稚園への入所・入園拒否は、保育所等の負担が過重となるなど「やむを得ない事由」がない場合には「必要かつ合理的な配慮」(障害基4条)を欠くものとされ、実際に入所拒否を違法とした裁判例もあります。2013(平成25)年に成立した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(2016(平成28)年4月施行)も踏まえる必要があるでしょう。」と述べられ(『子ども法』223頁)、4月施行の障害者差別解消法のもと、中央区においても、子ども達ひとりひとりの障がいに応じた「必要かつ合理的な配慮」がなされることを期待致しております。
これら医ケア児の諸課題を解決していくことは、区が直面する老老介護、住み慣れた場所で生を全うする在宅終末期医療の問題解決にも繋がると考えています。
【防災分野】
◎防災拠点運営委員会への民生委員と消防団員の委員やアドバイザー参加
区内全域に23カ所21の防災拠点運営委員会が設置され、『中央区地域防災計画(平成27年修正)』では、その運営委員会の構成は、「1防災区民組織、2町会・自治会、3PTA、4事業所、5学校、6医師会、7警察、8消防、9消防団、10民生委員、11区等」と明記されています(同計画68頁)。
ところが、同委員会では、まだまだ、消防団員や民生委員の委員やアドバイザーとしての参加ができていないところが多数存在しています。
民生委員は、防災拠点区域内の避難行動要支援者の生活状況を把握されておられるし、消防団員は、その避難行動要支援者の避難行動支援や、拠点訓練のお手伝いをする重要な任務を担っており、両者は運営委員会に欠かせない存在であると考えます。
同計画に則った運営委員会構成になるように区も支援すべきと考えます。
かつて、「知らしむ」ことに関連して、「コミュニケーションの発達」に対し、福沢諭吉自身も、危惧をいだいていたと、丸山真男の以下の発言から察することができます。
丸山「福沢も、『民情一新』(1879年)のなかで、社会運動、社会主義という恐るべきものがヨーロッパには出てきたと、書いている。『民情一新』によれば、要するに、テクノロジーの進歩によってコミュ二ケーションが発達すると、思想がものすごく早く伝播する、そうすると、民衆にある観念が伝播した時、政府にもどうにもならない力をうることがある、それは情から理性へという一方交通じゃなくて、「情海」の波に社会が流される、それが近代文明の一つの現象である、だから、「いま西洋諸国は蒸気電信の発明に会うて、狼狽」している、というんだな。政府だコントロールできないようなダイナミックな運動が出てきた。社会主義と労働運動について、福沢は明治10年代のはじめに、すでにそう言っているのです。」(『翻訳と日本の近代』丸山真男、加藤周一 岩波新書1998年10月20日第1刷発行)171頁)
明治維新とくらべ、だれもがネットにアクセスできる現代は、コミュニケーションは格段に容易になったといえます。
『民情一新』に直接当たって、福沢の言わんとするところを、さらに分析をすべきところですが、現代社会が、福沢のいうように「「情海」の波に流されている」とは考えにくいと私は思います。
逆に、原本なり、その分野の第一人者の著書なり、発言の根拠なり、発言の全体像なり、情報を正確に得られるようになり、その正確な情報を基に感情的にならず、理性的に判断を私たち国民はできるようになりました。
すなわち、きちんと、行政が説明責任を果たして、行政の情報を知らせていくことで、私たちが、政策の方向性を判断できると考えます。
今年も、このブログや区政報告の媒体を通じ、区政で起きていることを、積極的にお伝えして参る所存です。
「由らしむべし、知らしむべからず」:
「人民は法律に従わせておけばよいもので、その意義や道理を理解させる必要はない」との解釈で使われることも多いが、本来の意 味ではない。為政者が定めた法律によって人民を従わせることはできるが、その法律の道理を理解させるのは難しいということ。
参照:http://kotowaza-allguide.com/ta/yorashimubeshi.html