「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

裁判所の役割とは、なにか。重要なものを三つあげよ。何を守り守ろうとし、何を守るべき存在か。

2012-04-21 23:00:00 | シチズンシップ教育

 裁判所の役割とは、なにか。重要なものを三つあげよ。

 憲法学の先生が、話されていました。

 

 皆様、何を思い浮かべますか?

 私は、なるほどと思いました。 

 

 少し、考えてみてください。

 先生がおっしゃっていた回答を下に書きます。

 



















 一、デモクラシーを守る

   例えば、裁判所は、一人一票について違憲審査をし、違憲判決を出しています。


 一、マイノリティーを守る

   以前、取り上げた、国籍法などについて。


 一、人格的生存に関わる人権を守る

   信教の自由など


 ぜひとも、守っていっていただきたいと思います。
 

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区民の皆様が、区政をつくる。区民の皆様の手でつくられた「生活支援ノート」いよいよ区から出版5月

2012-04-20 11:19:13 | 医療

 区政は、区民の皆様の手で、力で築き上げて行くものです。

 そのひとつの好例。

 自立支援協議会において、区民委員のかたから要望が出され、検討がなされてきた「生活支援ノート」がいよいよ出版の運びとなります。

 障がいのあるかたの出生から就学、就労と一貫した支援をすることに役立てることができます。

 5月から、区のホームページにアップされ、ダウンロード可能です。
 もちろん、冊子としても配布されます。

 私も手に持たせていただいたことがありますが、内容が網羅されていました。

 必要があれば、付け足していくことが可能だと思います。


 自立支援委員会で、作られるにあたってご尽力いただいた皆様、お疲れ様でございました。
 すばらしい実用的なノートだと思います。

 医療現場でも有効に活用させていただきます。










 

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中央区立柏学園(千葉県柏市)における放射性物質除染工事について(4/19区民文教委員会報告)

2012-04-20 10:59:45 | 教育

 区民文教委員会で、柏学園の除染工事の報告があったため、その時の資料を掲載します。

 除染されたものは、柏学園から外に持ち出すことが認められていないため、柏学園内で穴をほり埋めて保管しているということです。

 一部除染が構造上できず、立ち入り禁止区域とした場所があります。

 経費は、1億円あまり。全額国庫負担で、区からの持ち出しはなし。

 空間線量率は、今後も計測し、区のホームページに掲載されます。

 柏学園への学校行事の参加は、親御さんの意思により、多様な対応がなされてもよいかもしれません。

 また、現場のご報告をお待ちいたします。



**********************************
以下、ご報告もありがとうございました。

 

Unknown (中央区内小学校の保護者)2012-04-16 19:58:23

柏学園の除染に関するプリントが配られました。
除染従事さんのコメントを見て
やはり柏には行かせるべきではないと考えました。
区のページでは写真も載せられて作業の様子が公開されていますが、これで本当に大丈夫なのかと疑問を持っていました。

ガス抜きのパイプから排出されるのは汚染土から出てくるものということですよね。

いろいろ考えると不安になってきますが、中央区としては再開ということですよね・・・

Unknown (中央区立小学校の保護者)2012-04-16 20:41:46
本日、中央区教育委員会から区立柏学園の再開についての手紙が配布されました。
0.23μSV/hを下回るのでOKということでした。
来月早々遠足がありますが除染従事さんのコメントを読むと子供を行かせる気にはなりません。


 

****以下、資料******

 

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法はひとを守るために存在する。最高裁が法律(改正前国籍法三条)を破ってまで、ひとを守ろうとしたこと

2012-04-19 23:00:00 | シチズンシップ教育
 法は、ひとを守るために存在する。

 私の人生の命題のひとつです。

 そのことをさし示すべく判例に出会ったので、掲載します。

 乱暴な言い方かもしれませんが、
 司法が、法律(改正前違憲状態であった国籍法第三条)をやぶってまで、ひとを守ろうとした一例です。
 やぶってという言い方は、正確には、この場面では、「現行法規の拡張解釈」(藤田宙靖氏意見 最後に抜粋掲載)でありますが。
 反対意見を述べている裁判官の言を借りれば、「そのような拡大をすることは,条文の用語や趣旨の解釈 の域を越えて国籍を付与するものであることは明らかであり,どのように説明しよ うとも,国籍法が現に定めていない国籍付与を認めるものであって,実質的には立法措置であるといわざるを得ない。」ということで、最高裁が「立法措置」をしたと言っています。

ただ、いずれにしても、判決6/4から、わずか6か月の12/12に国籍法第三条の当該部分が削除される改正がなされており、裁判所が立法したといっても過言ではないかもしれません。


**********************************


国籍法(昭和二十五年五月四日法律第百四十七号)の第三条。 

<最終改正:平成一六年一二月一日法律第一四七号> ー改正前ー
(準正による国籍の取得)
第三条  父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2  前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。


<最終改正:平成二〇年一二月一二日法律第八八号> ー改正後ー
(認知された子の国籍の取得)
第三条  父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2  前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。


国籍法の<最終改正:平成一六年一二月一日法律第一四七号>と<最終改正:平成二〇年一二月一二日法律第八八号>の違い、おわかりでしょうか。

下線部の違いがあったゆえ、

「法律上の婚姻関係にない日本国民である父とフィリピン共和国籍を有す る母との間に本邦において出生したXさんが,出生後父から認知を受けたことを理由として平成17年に法務大臣あてに国籍取得届を提出したところ,国籍取得の 条件を備えておらず,日本国籍を取得していないものとされ」ました。

Xさんは、日本国籍を有していることの確認を求めた裁判において、

平成20年6月4日最高裁は、国籍取得に両親の婚姻(=準正を要件とした)国籍法3条1項を憲法14条(「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」)違反とし、そしてまた、Xさんに日本国籍を与えました。
大法廷での裁判で、15名の裁判官、多数意見10、反対意見5での決着でした。



裁判当時の国籍法第三条の法律の文言にそのまま従えば、Xさんは、日本国籍は得ることができません。

そこを最高裁判所は、ある意味、法律(違憲であるが故に)を上述のように“やぶって”、日本国籍を与える結論を出したのでした。
判決が平成20年6月4日で、立法が後追いで、同年12月12日に違憲状態の国籍法を、改正したのだと思われます。
長い判決文の中の補足意見や、意見、反対意見から、その結論に至るまでの困難な過程が読み取れます。


藤田宙靖氏の意見を、こちらに掲載します。

************************************

判例全文(長いです。)は、http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080604174246.pdf

裁判官藤田宙靖の意見は,次のとおりである。

 1 私は,現行国籍法の下,日本国民である父と日本国民でない母との間に生まれた子の間で,同法3条1項が定める「父母の婚姻」という要件(準正要件)を満たすか否かの違いにより,日本国籍の取得に関し,憲法上是認し得ない差別が生じる結果となっていること,この差別は,国籍法の解釈に当たり同法3条1項の文言に厳格にとらわれることなく,同項は上記の準正要件を満たさない者(非準正子)についても適用さるべきものと合理的に解釈することによって解消することが可能であり,また本件においては,当裁判所としてそのような道を選択すべきであること等の点において,多数意見と結論を同じくするものであるが,現行法3条1項が何を定めており,上記のような合理的解釈とは正確にどのようなことを意味するのかという点の理解に関して,多数意見との間に考え方の違いがあることを否定できないので,その点につき意見を述べることとしたい。

 2 現行国籍法の基本構造を見ると,子の国籍の取得については出生時において父又は母が日本国民であることを大原則とし(2条),日本国籍を有しない者が日本国籍を取得するのは帰化によることを原則とするが(4条),同法3条1項に定める一定の要件を満たした者については,特に届出という手続によって国籍を取得することができることとされているものというべきである。したがって,同項が準正要件を定めているのは,準正子でありかつ同項の定めるその他の要件を満たす者についてはこれを特に国籍取得の上で優遇する趣旨なのであって,殊更に非準正子を排除しようという趣旨ではない。言い換えれば,非準正子が届出という手続によって国籍を取得できないこととなっているのは,同項があるからではなく,同法2条及び4条の必然的結果というべきなのであって,同法3条1項の準正要件があるために憲法上看過し得ない差別が生じているのも,いわば,同項の反射的効果にすぎないというべきである。それ故また,同項に準正要件が置かれていることによって違憲の結果が生じているのは,多数意見がいうように同条が「過剰な」要件を設けているからではなく,むしろいわば「不十分な」要件しか置いていないからというべきなのであって,同項の合理的解釈によって違憲状態を解消しようとするならば,それは「過剰な」部分を除くことによってではなく,「不十分な」部分を補充することによってでなければならないのである。同項の立法趣旨,そして本件における違憲状態が何によって生じているかについての,上記に述べた考え方に関する限り,私は,多数意見よりはむしろ反対意見と共通する立場にあるものといわなければならない。

 3 問題は,本件における違憲状態を解消するために,上記に見たような国籍法3条1項の拡張解釈を行うことが許されるか否かであって,この点に関し,このような立法府の不作為による違憲状態の解消は専ら新たな立法に委ねるべきであり,解釈によってこれを行うのは司法権の限界を超えるものであるという甲斐中裁判官,堀籠裁判官の反対意見には,十分傾聴に値するものがあると言わなければならない。それにもかかわらず,本件において私があえて拡張解釈の道を選択するのは,次のような理由による。
 一般に,立法府が違憲な不作為状態を続けているとき,その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって,とりわけ本件におけるように,問題が,その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり,かつ,問題となる違憲が法の下の平等原則違反であるような場合には,司法権がその不作為に介入し得る余地は極めて限られているということ自体は否定できない。しかし,立法府が既に一定の立法政策に立った判断を下しており,また,その判断が示している基本的な方向に沿って考えるならば,未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において,著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために,立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で,司法権が現行法の合理的拡張解釈により違憲状態の解消を目指すことは,全く許されないことではないと考える。これを本件の具体的事情に照らして敷衍するならば,以下のとおりである。
 先に見たとおり,立法府は,既に,国籍法3条1項を置くことによって,出生時において日本国籍を得られなかった者であっても,日本国民である父親による生後認知を受けておりかつ父母が婚姻した者については,届出による国籍取得を認めることとしている。このこと自体は,何ら違憲問題を生じるものではなく,同項自体の効力については,全く問題が存在しないのであるから(因みに,多数意見は,同項が「過剰な」要件を設けていると考えることから,本件における違憲状態を理由に同項全体が違憲となる理論的可能性があるかのようにいうが,同項が設けられた趣旨についての上記の私の考え方からすれば,同項自体が違憲となる理論的可能性はおよそあり得ない。),法解釈としては,この条文の存在(立法者の判断)を前提としこれを活かす方向で考えるべきことは,当然である。他方で,立法府は,日本国民である父親による生後認知を受けているが非準正子である者についても,国籍取得につき,単純に一般の外国人と同様の手続を要求するのではなく,より簡易な手続によって日本国籍を取得する可能性を認めている(同法8条)。これらの規定の基盤に,少なくとも,日本国民の子である者の日本国籍取得については,国家の安全・秩序維持等の国家公益的見地からして問題がないと考えられる限り優遇措置を認めようとする政策判断が存在することは,否定し得ないところであろう。そして,多数意見も指摘するとおり,現行法上準正子と非準正子との間に設けられている上記のような手続上の優遇度の違いは,基本的に,前者には我が国との密接な結び付きが認められるのに対し,後者についてはそうは言えないから,との国家公益上の理由によるものと考えられるが,この理由には合理性がなく,したがってこの理由による区別は違憲であるというのが,ここでの出発点なのである。そうであるとすれば,同法3条1項の存在を前提とする以上,現に生じている違憲状態を解消するためには,非準正子についても準正子と同様の扱いとすることが,ごく自然な方法であるということができよう。そして,このような解決が現行国籍法の立法者意思に決定的に反するとみるだけの理由は存在しない。もっとも,立法政策としては,なお,非準正子の中でも特に我が国に一定期間居住している者に限りそれを認める(いわゆる「居住要件」の付加)といったような選択の余地がある,という反論が考えられるが,しかし,我が国との密接な結び付きという理由から準正子とそうでない者とを区別すること自体に合理性がない,という前提に立つ以上,何故に非準正子にのみ居住要件が必要なのか,という問題が再度生じることとなり,その合理的説明は困難であるように思われる。このような状況の下で,現に生じている違憲状態を解消するために,同項の対象には日本国民である父親による生後認知を受けた非準正子も含まれるという拡張解釈をすることが,立法者の合理的意思に抵触することになるとは,到底考えられない。
 他方で,本件上告人らについてみると,日本国籍を取得すること自体が憲法上直接に保障されているとは言えないものの,多数意見が述べるように,日本国籍は,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で極めて重要な意味を持つ法的地位であり,その意味において,基本権享受の重要な前提を成すものということができる。そして,上告人らが等しく日本国民の子でありながら,届出によってこうした法的地位を得ることができないでいるのは,ひとえに,国籍の取得の有無に関し現行法が行っている出生時を基準とする線引き及び父母の婚姻の有無による線引き,父母のいずれが日本国民であるかによって事実上生じる線引き等,本人の意思や努力の如何に関わりなく存在する様々の線引きが交錯する中で,その谷間に落ち込む結果となっているが故なのである。仮にこれらの線引きが,その一つ一つを取ってみた場合にはそれなりに立法政策上の合理性を持つものであったとしても,その交錯の上に上記のような境遇に置かれている者が個別的な訴訟事件を通して救済を求めている場合に,先に見たように,考え得る立法府の合理的意思をも忖度しつつ,法解釈の方法として一般的にはその可能性を否定されていない現行法規の拡張解釈という手法によってこれに応えることは,むしろ司法の責務というべきであって,立法権を簒奪する越権行為であるというには当たらないものと考える。なお,いうまでもないことながら,国籍法3条1項についての本件におけるこのような解釈が一般的法規範として定着することに,国家公益上の見地から著しい不都合が存するというのであれば,立法府としては,当裁判所が行う違憲判断に抵触しない範囲内で,これを修正する立法に直ちに着手することが可能なのであって,立法府と司法府との間での権能及び責務の合理的配分については,こういった総合的な視野の下に考察されるべきものと考える。











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法規制とは、その本質。法律で決められた以上、行政はそれに従わざるを得ない。

2012-04-18 22:50:19 | 言葉について、お役所言葉
 法規制の本質が、ネット上で述べられていました。

 法律が決められてしまったら、行政はそれに従って動かざるを得ない。

 法律を決める過程が大事で、そこに真の国民の声を吸い上げ、反映せねばなりません。

 その法規制が誤っているなら、法律を真に正しい方へ改正せねばなりません。
 
 あきらめず、変えていきましょう。

***************************

とんつう ‏ @tontsu_yakiniku 返信
保健所が来た。レバ刺し禁止は六月一日を予定とのこと。一通りの説明を受けた後で「レバ刺しで食中毒が絶対出ない方法ありますよ」と言ったら「悪いけど、そういう方法があるかどうかの問題じゃないから」と言われた。安全な食事を出せるかどうかは問題ではなく、法案を通すことが一番の目的なんだろう
Shoko Egawaさんがリツイート


とんつう ‏ @tontsu_yakiniku 返信
今回、保健所は「国が決めたことですから」と何度も繰り返してましたが、法律は「国が決めたから」正しくなるのではなく「国民の利益に沿った時」に正しくなるわけでしょう。
Shoko Egawaさんがリツイート

涅華(nirva) ‏ @nirvanaheim 返信
まあ先ほどのレバ刺しの話は、「だから行政はダメ」とかではまったくなく、「行政が動く以上はそうならざるをえない」ので、行政を動かす「善意ある市民」が「国で規制しろ」とか叫ぶとこうなってしまうということですね。法規制とはそういうものなのです。
Shoko Egawaさんがリツイート
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裁判上の離婚、「強度の精神病」の規定(民法770条1項4号)削除について。4号の趣旨は5号に含む

2012-04-18 17:01:59 | 国政レベルでなすべきこと
 婚姻法改正要綱が出されているとのことです。

 婚姻法改正要綱:民法の一部を改正する法律案要綱(法制審議会 平成8(1996)年2月26日)

 そこでは、

 770条1項4号について、削除が提案されています。
 その理由として、4号の趣旨は、すでに5号の中に含まれているということからです。

 私の医師の感覚としても、なぜ、わざわざ、「精神病」だけにひとつの号を割いて規定しなければならないのか、違和感を抱きます。


 婚姻法改正要綱に言う、「770条1項4号削除」に同感です。

 民法の制定当時においては、規定を設けることの必要性があったかもしれませんが、医学が進歩している状況下、再考すべき課題です。



******民法*******************
(裁判上の離婚)
第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一  配偶者に不貞な行為があったとき。
二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2  裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
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学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)H.24.4.2インフル等の出席停止期間等

2012-04-18 16:48:01 | 小児医療
 以下、通知が文科省からだされたということです。

 出席停止の考え方が、若干変わります。



*****文科省ホームページより******
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1319523.htm


学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)

24文科ス第8号
平成24年4月2日

各都道府県知事
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長
構造改革特別区域法第12条第1項
の認定を受けた各地方公共団体の長 殿

文部科学省スポーツ・青少年局
久保 公人

学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)


 このたび,別添のとおり,「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令(平成24年文部科学省令第11号)」が施行されました。
 今回の改正の趣旨及び概要は下記のとおりですので,十分に御了知の上,事務処理に遺漏のないようお願いします。
 また,各都道府県知事,各都道府県教育委員会教育長及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長におかれては,それぞれ所轄の私立学校,域内の市町村教育委員会及び所轄の学校設置会社の設置する学校に対し,本件につき御周知くださいますよう併せてお願いします。



1.改正の趣旨
 結核に関する知見の集積等を踏まえ,児童生徒の定期健康診断における結核の有無の検査方法の技術的基についての規定の改正を行うとともに,医学の進展等を踏まえ,学校における感染症の予防方法についての規定の改正を行うもの。

2.改正の概要
(1)結核の有無の検査方法の技術的基準について
児童生徒の定期健康診断における結核の有無の検査方法に関して,教育委員会に設置された結核対策委員会からの意見を聞かずに,精密検査を行うことができることとしたこと。

(2)感染症の予防方法について
髄膜炎菌性髄膜炎を,学校において予防すべき感染症のうち第2種感染症(飛沫感染するもので学校において流行を広げる可能性が高い感染症)に追加し,その出席停止の期間の基準を「病状により学校医等において感染のおそれがないと認めるまで」とするとともに,インフルエンザ等の出席停止の期間の基準を次のとおり改めたこと。

•インフルエンザ:発症した後5日を経過し,かつ,解熱した後2日(幼児にあっては,3日)を経過するまで

•百日咳:特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで

•流行性耳下腺炎:耳下腺,顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し,かつ,全身状態が良好になるまで

(3)その他
その他,用語の整理等を行ったこと。

3.施行期日
この省令は,平成24年4月1日から施行したこと。


お問い合わせ先


スポーツ・青少年局学校健康教育課 企画・健康教育係

電話番号:03-5253-4111(内線2695)
ファクシミリ番号:03-6734-3794
メールアドレス:gakkoken@mext.go.jp 
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建築確認の前段階、安全確認がきちんとなされているかチェックする体制が必要。タヌキの森訴訟から。

2012-04-17 23:00:00 | 街づくり

 タヌキの森訴訟(最判平成21.12.17建築確認処分取消請求事件)、これは、行政法における「違法性の継承」の論点で、最重要な判例です。

 それとともに、私は、重要な問題提起がなされていると考えます。

 「安全確認」は、「建築確認」の前提としてとても大事なことであるが、それが、きちんとなされているか、それがきちんとなされていることをチェックできる体制があるかという点です。

 最高裁 判決文で、安全確認に関する該当部分を抜粋します。

「他方,安全認定があっても,これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず,建築確認があるまでは工事が行われることもないから,周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない(これに対し,建築確認については,工事の施工者は,法89条1項に従い建築確認があった旨の表示を工事現場にしなければならない。)。そうすると,安全認定について,その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても,その者において,安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく,建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて,その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。」

 最高裁が述べられていることは、とりようによっては、安全確認の制度の不備をいっているのではないでしょうか。

 すなわち、

*安全確認の事実を、周辺住民は知りようがない

*たとえ、知ったとしても、安全確認による不利益がないから、安全確認の段階で、周辺住民は異議のとなえようがない

*建築確認段階で、不利益が現実化するときに初めて、異議をとなえることができる
 (建築確認がなされているから、この時に、異議をとなえても、建築工事は着手されていくから、遅い)

 


よって、私は思うに、

・「安全確認」が、なされてることをきちんと周辺住民に通知すること

・「安全確認」がきちんとなされていることをチェックできる体制をきちんと整備すること
(タヌキの森訴訟は、実際、新宿区が違法な安全確認をしたところから端を発しています。そして、実際に、安全確認に違法性をそのまま持ちながら、建築確認され、建築工事がなされてしまいました。)

以上2点が、必要ではないかと、考えます。


関連記載のブログ
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/9ff536b97a14c885c90994be57b345e2

http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/61688ff9991077f9bc1417aaa5781eeb

【事案】
 上告人Yは、新宿区で、上告人代表者は、新宿区長である。

 上告補助参加人Z株式会社及びA株式会社を建築主とする建築物(以下「本件建築物」という。)の建築計画(敷地の地名地番 東京都新宿区下落合四丁目○○○-○、階数地上3階地下1階、最高の高さ9.750m、戸数30戸(ファミリータイプ29戸、ワンルーム1戸)、延べ床面積2820.58㎡の鉄筋コンクリート造大規模集合住宅、東棟・南棟・西棟の三棟をエキスパンションジョイントで接続、容積率112.3%(制限150%)、建ぺい率42.2%(制限60%))に対して、その申請(敷地が8m以上道路に接していないため)に基づき新宿区長から平成16年(2004年)12月22日付けで安全認可「○○新都建建審(認)第○○号」(以下「本件安全認可」という)を受け、その後、上告補助参加人Z建設株式会社及びAは、その申請に基づき新宿区建築主事から平成18年(2006年)7月31日付けで本件建築確認「新都建(確)第○○○号」を受けた。

 本件敷地は、第一種低層住居専用地域、準防火地域、第一種高度地区、指定建ぺい率60%、指定容積率150%の地域に属し、約34mの長さの路地状部分により道路に接している。

 被上告人Xらは、隣接マンションの管理組合と周辺住民多数である。安全認定、建築確認を不服として新宿区建築審査会に対し審査請求をしたが、却下又は棄却の裁決をうけた。そこで、同建築主事の所属する上告人Yを相手として、安全認定、建築確認更に裁決の取消しを求めて訴えを平成19年(2007年)5月26日提起した。

 法43条2項に基づき東京都建築安全条例(以下、「本件条例」という。)4条1項に関して制限を付加している。同条1項規定を適用すると、本件建築物は、延べ面積が約2820㎡であり、本件建築物の敷地は8m以上道路に接しなければならないということになる。ただし、本件条例4条3項は、特例として、建築物の周囲の空地の状況その他土地および周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては、同条1項規定は適用しないと定めている(以下、同条3項の規定により安全上支障がないと認める処分を「安全認定」という。)なお、特別区の場合、安全認定に係る事務を処理することとされ、区長がその管理及び執行を行っている。

 第1審(東京地判平20.4.18)では、建築確認の違法事由として安全認定の違法を退けたが、原審(東京高判平21.1.14)では、安全認定は建築確認の取消事由になるとした。その上で、安全認定の適法性について検討を加え、敷地の周囲の多くが崖になっていて最小幅員4m、長さ34mの路地上部分を通らなければ道路に達することができないなどの事情があり、この状況に照らせば、安全上の支障がないとすることは明らかに合理的根拠がないから、新宿区長がした安全確認は裁量権の逸脱濫用をしたもので違法であると判断し、結局建築確認は違法であるとしてこれを取り消した。

 上告人Yから上告受理の申立てがなされた。

【被上告人Xら主張】本件安全認定は、違法であるから本件建築確認も違法である。

【上告人Y主張】先行処分である安全認定が取り消されていない場合、たとえこれが違法であるとしても、その違法は後続処分である建築確認に承継されないのが原則であり、本件において本件安全認定が違法であるとの主張はできない。

 

【参照法令】

○建築基準法(平成18年法律第46号による改正前のもの)6条1項,

(建築物の建築等に関する申請及び確認)

建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの

  木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの

  木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの

  前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)、準都市計画区域(市町村長が市町村都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは、当該市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法 (平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項 の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

 

○建築基準法43条,
(敷地等と道路との関係)

建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。


一  自動車のみの交通の用に供する道路
二  高架の道路その他の道路であつて自動車の沿道への出入りができない構造のものとして政令で定める基準に該当するもの(第四十四条第一項第三号において「特定高架道路等」という。)で、地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第十二条の十一 の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。同号において同じ。)内のもの
2  地方公共団体は、特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計。第四節、第七節及び別表第三において同じ。)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により、前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、必要な制限を付加することができる。




○東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項,

○東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項


(建築物の敷地と道路との関係)

第四条 延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合は、その延べ面積の合計とする。)が千平方メートルを超える建築物の敷地は、その延べ面積に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。

 

延べ面積

長さ

千平方メートルを超え、二千平方メートル以下のもの

六メートル

二千平方メートルを超え、三千平方メートル以下のもの

八メートル

三千平方メートルを超えるもの

十メートル

 

2 延べ面積が三千平方メートルを超え、かつ、建築物の高さが十五メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については、同項中「道路」とあるのは、「幅員六メートル以上の道路」とする。

 

3 前二項の規定は、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては、適用しない。

(昭四七条例六一・全改、昭六二条例七四・平五条例八・平一一条例四一・一部改正)

 

 *****判決文全文 最高裁ホームページより*****

       主   文

 1 原判決のうち被上告人X1に関する部分を破棄する。
 2 上告人のその余の上告を棄却する。
 3 上告費用は上告人の負担とする。
 4 本件訴訟のうち被上告人X1に関する部分は,平成20年5月25日同被上告人の死亡により終了した。

       理   由

 第1 上告代理人石津廣司ほかの上告受理申立て理由第1点及び上告補助参加代理人大脇茂ほかの上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
 1(1) 本件は,上告補助参加人及びAを建築主とする建築物(以下「本件建築物」という。)の建築計画に対して建築基準法(平成18年法律第46号による改正前のもの。以下「法」という。)6条1項に基づき新宿区建築主事がした建築確認(以下「本件建築確認」という。)について,本件建築物の敷地の周辺に建物を所有し又は居住する被上告人らが,同建築主事の所属する上告人を相手としてその取消しを求める事案である。
 (2) 東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号。以下「本件条例」という。)4条1項は,法43条2項に基づき同条1項に関して制限を付加した規定であり,延べ面積が1000平方メートルを超える建築物の敷地は,その延べ面積に応じて所定の長さ(最低6m)以上道路に接しなければならないと定めている。ただし,本件条例4条3項は,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては,同条1項の規定は適用しないと定めている(以下,同条3項の規定により安全上支障がないと認める処分を「安全認定」という。)。特別区は,特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例(平成11年東京都条例第106号)により,安全認定に係る事務を処理することとされ,区長がその管理及び執行をしている。
 本件条例4条1項によれば,延べ面積が約2820平方メートルである本件建築物の敷地は8m以上道路に接しなければならないとされており,本件建築物の建築計画につき,Aほか1社は,その申請に基づき新宿区長から平成16年12月22日付けで安全認定(以下「本件安全認定」という。)を受け,その後,上告補助参加人及びAは,その申請に基づき新宿区建築主事から同18年7月31日付けで本件建築確認を受けた。被上告人らは,本件安全認定は違法であるから本件建築確認も違法であるなどと主張している。
 2 原審は,本件安全認定は,新宿区長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法なものであるから,本件建築物の敷地は本件条例4条1項所定の接道義務に違反しており,本件建築確認は違法であると判断して,これを取り消した。
 所論は,先行処分である安全認定が取り消されていない場合,たとえこれが違法であるとしても,その違法は後続処分である建築確認に承継されないのが原則であり,本件において本件安全認定が違法であるとの主張はできないのであるから,これと異なる原審の判断には,法令解釈の誤りがあるというのである。
 3(1) 本件条例4条1項は,大規模な建築物の敷地が道路に接する部分の長さを一定以上確保することにより,避難又は通行の安全を確保することを目的とするものであり,これに適合しない建築物の計画について建築主は建築確認を受けることができない。同条3項に基づく安全認定は,同条1項所定の接道要件を満たしていない建築物の計画について,同項を適用しないこととし,建築主に対し,建築確認申請手続において同項所定の接道義務の違反がないものとして扱われるという地位を与えるものである。
 平成11年東京都条例第41号による改正前の本件条例4条3項の下では,同条1項所定の接道要件を満たしていなくても安全上支障がないかどうかの判断は,建築確認をする際に建築主事が行うものとされていたが,この改正により,建築確認とは別に知事が安全認定を行うこととされた。これは,平成10年法律第100号により建築基準法が改正され,建築確認及び検査の業務を民間機関である指定確認検査機関も行うことができるようになったこと(法6条の2,7条の2,7条の4,77条の18以下参照)に伴う措置であり,上記のとおり判断機関が分離されたのは,接道要件充足の有無は客観的に判断することが可能な事柄であり,建築主事又は指定確認検査機関が判断するのに適しているが,安全上の支障の有無は,専門的な知見に基づく裁量により判断すべき事柄であり,知事が一元的に判断するのが適切であるとの見地によるものと解される。
 以上のとおり,建築確認における接道要件充足の有無の判断と,安全認定における安全上の支障の有無の判断は,異なる機関がそれぞれの権限に基づき行うこととされているが,もともとは一体的に行われていたものであり,避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものである。そして,前記のとおり,安全認定は,建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであり,建築確認と結合して初めてその効果を発揮するのである。
 (2) 他方,安全認定があっても,これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず,建築確認があるまでは工事が行われることもないから,周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない(これに対し,建築確認については,工事の施工者は,法89条1項に従い建築確認があった旨の表示を工事現場にしなければならない。)。そうすると,安全認定について,その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。仮に周辺住民等が安全認定の存在を知ったとしても,その者において,安全認定によって直ちに不利益を受けることはなく,建築確認があった段階で初めて不利益が現実化すると考えて,その段階までは争訟の提起という手段は執らないという判断をすることがあながち不合理であるともいえない。
 (3) 以上の事情を考慮すると安全認定が行われた上で建築確認がされている場合,安全認定が取り消されていなくても,建築確認の取消訴訟において,安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務の違反があると主張することは許されると解するのが相当であるこれと同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
 第2 職権による検討
 記録によれば,被上告人X1は原判決言渡し前である平成20年5月25日に死亡したことが明らかである。本件訴訟のうち同被上告人に関する部分は,同被上告人が死亡した場合においてはこれを承継する余地がなく当然に終了するものと解すべきであるから,同部分につき,原判決を破棄し,訴訟の終了を宣言することとする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 宮川光治 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志)

 

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契約で「動機の錯誤」に伴うトラブルをなくすため、予防的措置を忘れずとることの重要性:民法93-96条

2012-04-16 23:26:41 | シチズンシップ教育
 契約という法律行為がなされたとして、契約が有効に成立をするためには、契約の申込をする側、承諾をする側どちら側の当事者であれ、意思表示がきちんとなされる必要があります。

 意思表示がきちんとされない場合、契約は、無効や取消されるべきものとなり、有効に成立しなくなります。



 意思表示がきちんとされない場合は、どのような場合か、民法では、「第一編総則 第五章法律行為  第二節 意思表示」において、93条から96条に5つの場合を想定しています。


 心裡留保(93条)、虚偽表示(94条)、錯誤(95条)、詐欺(96条)、強迫(96条)の5つです。

 
 本日、民法講義で軽く説明がなされたところですが、聴講して感じたことを書きます。

 これら5つの場合、どれも問題でありますが、生じさせないようにするときにどれに一番力を入れるべきでしょうか、どれを選びますでしょうか。


 それぞれどのような場合かみてみますと、

1)心裡留保:意思表示するひとが、自分には真意のないことを知りながら意思表示をすること。(法律用語の定義:意思表示の表示者が、表示行為に対応する真意のないことを知りながらする単独の意思表示。)

 例:Aは自慢のパソコンを、貧乏学生のBにはまさか買えまいと思って、売る気もないのに10万円なら売ってやってもいいよと言ったところ、Bは買おうと応え、どこからか10万円集めてきた。
   →Aは普段からBをからかって売る気もないものを売ってやろうと言うのが癖で、今回もそうで有ることを知っていたような場合以外は、この契約は有効に成立します。


2)虚偽表示:相手方と通じて真意ではない意思表示を行うこと。心裡留保はひとりでやることですが、虚偽表示は、契約の相手方といっしょにするところが異なります。自分の財産に対する強制執行から免れるために虚偽の売買契約をし、財産を隠す場面が想定されます。(法律用語の定義:相手方と通じて真意でない意思表示を行うこと。)

 例:Aは、Kから、1000万円かりていたが、折からの不況のため、返済のめどが立たなくなった。Aは、このままでは自分の保有する土地甲がKに差し押さえられてしまうと考え、知り合いの不動産業者Bに相談した。Bは、「とりあえず形だけでもAが甲土地をBに売ったことにしておけば、Kからの差し押さえを免れられる。ほとぼりがさめたら、また元に戻せばよい。」というので、Aはこれに従い、甲土地をBに売却する旨の契約をし、甲土地をBに引き渡し、登記もBに移転した。(その後、AがBに甲土地を返してくれるよう求めたところ、すでにBは甲土地を自分のものとして、Cに売却し、甲土地をCに引き渡してしまっていた。)
 →AB間の契約は、無効。(ただし、Cとの関係では、AB間の売買契約は有効になされたものとあつかわれCは、甲土地を有効に取得できる。)


3)錯誤:誤認識・誤判断が原因で、思ったことと違う契約をすること。(法律用語の定義:表意者の誤認識・誤判断が原因で、表示から推断される意思と真意との食い違いが生じること。「意思の不存在(欠缺けんけつ)」とも言われる。表示行為から推断される意思(表示上の効果意思)と表意者の真意の無意識的不合致。ちなみに、心裡留保、虚偽表示では、意識的不合致である。)

 例:Aは、BからK画伯の署名のあるオリジナル版画甲を200万円で購入した。ところが、後で調べてみると、甲は偽物であることが判明した。
 →AB間の契約は、無効。


4)詐欺:だまされて、錯誤に陥って契約をすること。(法律用語の定義:人を欺罔して錯誤に陥らせる行為。)

 例:Bは、自分が北海道に所有する土地が近々リゾート開発の対象になることに決まっており、またたく間に値段が上がるだろうと述べて、Aとの間で時価より高い値段で当該土地の売買契約を締結した。しかし、リゾート開発云々の話は全くの嘘で、将来性のない原野に過ぎないことが後で判明した。
 →Aは、契約を取り消しすることができ、取り消された行為は、はじめから無効であったと見なされる。


5)強迫:相手をおどして、契約をさせること。(法律用語の定義:相手に畏怖を生じさせ、それによって意思表示をさせること。)

 例:独り暮らしの女子学生のアパートにやくざ風の押し売りが上がり込み、ただの水を瓶につめたものを出してきて、これを飲むとスタイルがよくなるから、1本1万円で10本買ってくれ、と言った。女子学生がいらないと言うと、「あんたどうなってもいいのか」とすごんで見せた。恐ろしくなってしぶしぶ契約書にサインした。
 →契約を取り消しすることができ、取り消された行為は、はじめから無効であったと見なされる。



 1)2)は、自分の側に責任がある契約、4)5)は、相手側が明らかに不当な手段を用いた契約です。
 社会的には、4)5)は絶対に無くさねばならないと思いますが、悪い側はわかりやすいです。

 ところが、3)の錯誤は、望まないことを結局契約をしてしまっています。
 誤ったのは、自分ということで、やらかしてしまった自分の行為を納得できなくなるのではないでしょうか。そして、その悔しさを持って行く場がないのではと思います。結果、訴訟も多発することになるのではないでしょうか。


 だから、 これら5つの場合、どれも問題であり対処するべきですが、自分は3)錯誤を起こさせないようにすることが最も力を入れていくべきであると感じます。

 錯誤にも、いろいろと細かく言えば「動機の錯誤(事実錯誤)」、「表示上の錯誤(言い間違い等)」、「表示行為の意味に関する錯誤」の分類がされますが、「動機の錯誤」をなくす予防的措置を講じていく必要があるのではないかと、問題意識を持ちました。

 例えば、3)の例で、偽物を買ってしまった場合の例での予防的措置は、「契約書には、もし、偽物であることが判明したなら、契約は解除する」という条件(解除条件)を必ず入れるという注意をすることです。

 動機の錯誤の事案が出てきた場合、「では、どうすれば、防げたのか」の視点もあわせ持って、見ていきたいと思います。
 

参照:『民法 』内田貴著 東大出版会


******民法関連条文******

(心裡留保)
第九十三条  意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

(虚偽表示)
第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

(詐欺又は強迫)
第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

 
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新宿区下落合 タヌキの森訴訟、平成21年12月17日最高裁判決

2012-04-15 19:01:00 | シチズンシップ教育

 先のブログhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/61688ff9991077f9bc1417aaa5781eeb

でも書きました公法演習でいただいた課題の裁判は、新宿区の大きな問題の開発であったようです。

 様々な点で、他山の石とせねばなりません。

 違法性の継承という重要な判例も生み出した裁判です。

 関連記事を拾ってみました。


*******************************

*タヌキの森訴訟:新宿区が上告 /東京

 タヌキもすむ新宿区下落合の住宅跡地へのマンション建設に反対する周辺住民が起こした行政訴訟で、区側は27日、区の建築確認を取り消した2審・東京高裁判決(14日)を不服として上告した。マンションは今春完成予定で、区側の対応が注目されていた。周辺住民によると高裁判決以降、工事はストップしているという。

毎日新聞 2009年1月28日 地方版


*2009年1月28日(水) 新宿区議会の総務区民委員会 
(1月14日に新宿区が高裁で敗訴し同27日に最高裁へ上告)


議員
今まで、区が高裁で敗訴したことはあるか?

新宿区
最近の記録にはない。

議員
なぜ最高裁へ上告したのか?

新宿区
理由書は50日以内に最高裁へ提出するが、安全認定処分の違法性と、建築確認が違法であるとの判断理由に認定処分の違法性を挙げていることの2点について、最高裁の判断を仰ぐためである。

議員
高裁の判決は明快であり、これに対して区は最高裁で勝つ見込みはあるのか?

新宿区
軽々しくは申し上げられない。あくまで前述した2点について判例がないので、最高裁の判断を仰ぐものである。(多少しどろもどろの答弁となる)

議員
工事の執行停止申し立ては行われたのか?

新宿区
1月26日付で、住民側から裁判所に申し立てが行われた。

文責 「下落合みどりトラスト基金」


*最高裁判決受け業者が新宿区に要請

 新宿区下落合で建設中の3階建てマンションについて最高裁が12月、区の建築確認を取り消す判決を言い渡したことを受け、建設会社が区に対し、土地と建物の買い取りを要請したことが分かった。13日の区議会総務区民委員会で区が明らかにした。また、区と同社によると、同社は土地取得費や建設費として26億円かかったと区に説明したという。

 同委で木全和人総務課長は、7日に建設会社と面談して買い取りを求められたとし、「多くの区民の納得できる方向性を見極めていかなければならない」と述べた。これについて区幹部の1人は取材に対し、「(26億円は)とてものめない。訴訟も避けられないだろう」との見方を示した。一方、建設会社は「正式に要請したわけではない。26億円は建設に要した費用だけ。撤去費用などは見積もっていない」と話している。
(2010年1月14日 読売新聞)


*周辺写真:http://www.geocities.jp/daigiri90215/20090205.htm


*周辺写真:http://d.hatena.ne.jp/uguisu-jomonjin/20091217

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昭和53年最高裁判決「マクリーン事件」から私たち日本人が学ぶべきもの

2012-04-15 12:21:27 | シチズンシップ教育
 憲法に関連した裁判のリーディング・ケースのひとつが、マクリーン事件。
 自分は、少しひっかかったため、こちらで記載します。


 1969年(昭和44年)5月10日、在留期間を1年とする上陸許可を得て、アメリカ合衆国国籍を有する外国人マクリーンさんが入国。

 マクリーンさんは、英語教師として就職したが、無届で職場を変わりベトナム反戦、出入国管理法案反対、日米安保条約反対のデモや集会に参加。

 1970年(昭和45年)5月1日、1年間の在留期間の更新をしたところ、当時の法務大臣は、出国準備期間として120日間の在留期間の更新を許可。

 その後、さらに1年間の在留期間の更新を申請したが、法務大臣は、更新を不許可。



 在留期間の更新の不許可の処分の取り消しをもとめ裁判されたが、最高裁は、マクリーンさんの訴えを棄却しました。

 理由を判決文から抜粋しますと、

「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。しかしながら、前述のように、外国人の在留の許否は国の裁量にゆだねられ、わが国に在留する外国人は、憲法上わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものではなく、ただ、出入国管理令上法務大臣がその裁量により更新を適当と認めるに足りる相当の理由があると判断する場合に限り在留期間の更新を受けることができる地位を与えられているにすぎないものであり、したがつて、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎないものと解するのが相当であつて、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障、すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしやくされないことまでの保障が与えられているものと解することはできない。在留中の外国人の行為が合憲合法な場合でも、法務大臣がその行為を当不当の面から日本国にとつて好ましいものとはいえないと評価し、また、右行為から将来当該外国人が日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者であると推認することは、右行為が上記のような意味において憲法の保障を受けるものであるからといつてなんら妨げられるものではない。
 前述の上告人の在留期間中のいわゆる政治活動は、その行動の態様などからみて直ちに憲法の保障が及ばない政治活動であるとはいえない。しかしながら、上告人の右活動のなかには、わが国の出入国管理政策に対する非難行動、あるいはアメリカ合衆国の極東政策ひいては日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に対する抗議行動のようにわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものも含まれており、被上告人が、当時の内外の情勢にかんがみ、上告人の右活動を日本国にとつて好ましいものではないと評価し、また、上告人の右活動から同人を将来日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者と認めて、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、その事実の評価が明白に合理性を欠き、その判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえず、他に被上告人の判断につき裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつたことをうかがわせるに足りる事情の存在が確定されていない本件においては、被上告人の本件処分を違法であると判断することはできないものといわなければならない。また、被上告人が前述の上告人の政治活動をしんしやくして在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないとし本件処分をしたことによつて、なんら所論の違憲の問題は生じないというべきである。」


 私が、引っかかった点。

 最高裁判所に、わざわざこのような判決で、政治活動をする外国人を排除していただくのではなく、私たち日本人の姿勢は、ウェルカム マクリーンさんでありたいと思います。(もちろん、スパイ活動は許されないことですが、こちらの裁判ではその問題はありません。)
 来日された外国人がどのようなことを言おうと、私たち日本人が、自立した高い見識をもち、メディアリテラシーをもった上で、多様な考え方を受け入れ、取捨選択し、国のありかたを私たち日本人の力で判断をしていきたいものです。




*****最高裁ホームページ****
事件番号  昭和50(行ツ)120
事件名  在留期間更新不許可処分取消
裁判年月日  昭和53年10月04日
法廷名  最高裁判所大法廷
裁判種別  判決
結果  棄却
判例集等巻・号・頁  民集 第32巻7号1223頁
原審裁判所名  東京高等裁判所
原審事件番号  昭和48(行コ)25
原審裁判年月日  昭和50年09月25日

判示事項
 一 外国人のわが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利と憲法の保障の有無

二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断と法務大臣の裁量権

三 出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無についての判断と裁判所の審査の限界

四 わが国に在留する外国人と政治活動の自由に関する憲法の保障

五 外国人に対する憲法の基本的人権の保障と在留の許否を決する国の裁量に対する拘束の有無

六 外国人の在留期間中の憲法の保障が及ばないとはいえない政治活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がないとした法務大臣の判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできないとされた事例


裁判要旨
 一 外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない。

二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断は「法務大臣の裁量に任されているものであり、上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新を不許可にすることが許されないものではない。

三 裁判所は、出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断についてそれが違法となるかどうかを審査するにあたつては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものとして違法であるとすることができる。

四 政治活動の自由に関する憲法の保障は、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても及ぶ。

五 外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでの保障を含むものではない。

六 上告人の本件活動は、外国人の在留期間中の政治活動として直ちに憲法の保障が及ばないものであるとはいえないが、そのなかにわが国の出入国管理政策に対する非難行動あるいはわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものが含まれており、法務大臣が右活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできない。

参照法条 
憲法第3章,憲法19条,憲法21条,憲法22条1項,出入国管理令21条3項,行政事件訴訟法30条


判決文全文


       主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

 第一 上告代理人秋山幹男、同弘中惇一郎の上告理由第一点ないし第四点、第六点ないし第一一点について
 一 本件の経過
 (一) 本件につき原審が確定した事実関係の要旨は、次のとおりである。
 (1) 上告人は、アメリカ合衆国国籍を有する外国人であるが、昭和四四年四月二一日その所持する旅券に在韓国日本大使館発行の査証を受けたうえで本邦に入国し、同年五月一〇日下関入国管理事務所入国審査官から出入国管理令四条一項一六号、特定の在留資格及びその在留期間を定める省令一項三号に該当する者としての在留資格をもつて在留期間を一年とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸した。
 (2) 上告人は、昭和四五年五月一日一年間の在留期間の更新を申請したところ、被上告人は、同年八月一〇日「出国準備期間として同年五月一〇日から同年九月七日まで一二〇日間の在留期間更新を許可する。」との処分をした。そこで、上告人は、更に、同年八月二七日被上告人に対し、同年九月八日から一年間の在留期間の更新を申請したところ、被上告人は、同年九月五日付で、上告人に対し、右更新を適当と認めるに足りる相当な理由があるものとはいえないとして右更新を許可しないとの処分(以下「本件処分」という。)をした。
 (3) 被上告人が在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当な理由があるものとはいえないとしたのは、次のような上告人の在留期間中の無届転職と政治活動のゆえであつた。
 (ア) 上告人は、ベルリツツ語学学校に英語教師として雇用されるため在留資格を認められたのに、入国後わずか一七日間で同校を退職し、財団法人英語教育協議会に英語教師として就職し、入国を認められた学校における英語教育に従事しなかつた。
 (イ) 上告人は、外国人ベ平連(昭和四四年六月在日外国人数人によつてアメリカのベトナム戦争介入反対、日米安保条約によるアメリカの極東政策への加担反対、在日外国人の政治活動を抑圧する出入国管理法案反対の三つの目的のために結成された団体であるが、いわゆるべ平連からは独立しており、また、会員制度をとつていない。)に所属し、昭和四四年六月から一二月までの間九回にわたりその定例集会に参加し、七月一〇日左派華僑青年等が同月二日より一三日まで国鉄新宿駅西口付近において行つた出入国管理法案粉砕ハンガーストライキを支援するため、その目的等を印刷したビラを通行人に配布し、九月六日と一〇月四日ベ平連定例集会に参加し、同月一五、一六日ベトナム反戦モラトリアムデー運動に参加して米国大使館にベトナム戦争に反対する目的で抗議に赴き、一二月七日横浜入国者収容所に対する抗議を目的とする示威行進に参加し、翌四五年二月一五日朝霞市における反戦放送集会に参加し、三月一日同市の米軍基地キヤンプドレイク付近における反戦示威行進に参加し、同月一五日ベ平連とともに同市における「大泉市民の集い」という集会に参加して反戦ビラを配布し、五月一五日米軍のカンボジア侵入に反対する目的で米国大使館に抗議のため赴き、同月一六日五・一六ベトナムモラトリアムデー連帯日米人民集会に参加してカンボジア介入反対米国反戦示威行進に参加し、六月一四日代々木公園で行われた安保粉砕労学市民大統一行動集会に参加し、七月四日清水谷公園で行われた東京動員委員会主催の米日人民連帯、米日反戦兵士支援のための集会に参加し、同月七日には羽田空港においてロジヤース国務長官来日反対運動を行うなどの政治的活動を行つた。なお、上告人が参加した集会、集団示威行進等は、いずれも、平和的かつ合法的行動の域を出ていないものであり、上告人の参加の態様は、指導的又は積極的なものではなかつた。
 (二) 原審は、自国内に外国人を受け入れるかどうかは基本的にはその国の自由であり、在留期間の更新の申請に対し更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるかどうかは、法務大臣の自由な裁量による判断に任されているものであるとし、前記の上告人の一連の政治活動は、在留期間内は外国人にも許される表現の自由の範囲内にあるものとして格別不利益を強制されるものではないが、法務大臣が、在留期間の更新の許否を決するについてこれを日本国及び日本国民にとつて望ましいものではないとし、更新を適当と認めるに足りる相当な理由がないと判断したとしても、それが何ぴとの目からみても妥当でないことが明らかであるとすべき事情のない本件にあつては、法務大臣に任された裁量の範囲内におけるものというべきであり、これをもつて本件処分を違法であるとすることはできない、と判断した。
 (三) 論旨は、要するに、(1) 自国内に外国人を受け入れるかどうかはその国の自由であり、在留期間の更新の申請に対し更新を適当と認めるに足りる相当な理由があるかどうかは法務大臣の自由な裁量による判断に任されているものであるとした原判決は、憲法二二条一項、出入国管理令二一条の解釈適用を誤り、理由不備の違法がある、(2) 本件処分のような裁量処分に対する原審の審査の態度、方法には、判例違反、審理不尽、理由不備の違法があり、行政事件訴訟法三〇条の解釈の誤りがある、(3) 被上告人の本件処分は、裁量権の範囲を逸脱したものであり、憲法の保障を受ける上告人のいわゆる政治活動を理由として外国人に不利益を課するものであつて、本件処分を違法でないとした原判決は、経験則に違背する認定をし、理由不備の違法を犯し、出入国管理令二一条の解釈適用を誤り、憲法一四条、一六条、一九条、二一条に違反するものである、と主張することに帰するものと解される。
 二 当裁判所の判断
 (一) 憲法二二条一項は、日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり、外国人がわが国に入国することについてはなんら規定していないものであり、このことは、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるものとされていることと、その考えを同じくするものと解される(最高裁昭和二九年(あ)第三五九四号同三二年六月一九日大法廷判決・刑集一一巻六号一六六三頁参照)。したがつて、憲法上、外国人は、わが国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん、所論のように在留の権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されているものでもないと解すべきである。そして、上述の憲法の趣旨を前提として、法律としての効力を有する出入国管理令は、外国人に対し、一定の期間を限り(四条一項一号、二号、一四号の場合を除く。)特定の資格によりわが国への上陸を許すこととしているものであるから、上陸を許された外国人は、その在留期間が経過した場合には当然わが国から退去しなければならない。もつとも、出入国管理令は、当該外国人が在留期間の延長を希望するときには在留期間の更新を申請することができることとしているが(二一条一項、二項)、その申請に対しては法務大臣が「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り」これを許可することができるものと定めている(同条三項)のであるから、出入国管理令上も在留外国人の在留期間の更新が権利として保障されているものでないことは、明らかである。
 右のように出入国管理令が原則として一定の期間を限つて外国人のわが国への上陸及び在留を許しその期間の更新は法務大臣がこれを適当と認めるに足りる相当の理由があると判断した場合に限り許可することとしているのは、法務大臣に一定の期間ごとに当該外国人の在留中の状況、在留の必要性・相当性等を審査して在留の許否を決定させようとする趣旨に出たものであり、そして、在留期間の更新事由が概括的に規定されその判断基準が特に定められていないのは、更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量権の範囲を広汎なものとする趣旨からであると解される。すなわち、法務大臣は、在留期間の更新の許否を決するにあたつては、外国人に対する出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保持の見地に立つて、申請者の申請事由の当否のみならず、当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情をしんしやくし、時宜に応じた的確な判断をしなければならないのであるが、このような判断は、事柄の性質上、出入国管理行政の責任を負う法務大臣の裁量に任せるのでなければとうてい適切な結果を期待することができないものと考えられる。このような点にかんがみると、出入国管理令二一条三項所定の「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかの判断における法務大臣の裁量権の範囲が広汎なものとされているのは当然のことであつて、所論のように上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新申請を不許可にすることは許されないと解すべきものではない。
 (二) ところで、行政庁がその裁量に任された事項について裁量権行使の準則を定めることがあつても、このような準則は、本来、行政庁の処分の妥当性を確保するためのものなのであるから、処分が右準則に違背して行われたとしても、原則として当不当の問題を生ずるにとどまり、当然に違法となるものではない。処分が違法となるのは、それが法の認める裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限られるのであり、また、その場合に限り裁判所は当該処分を取り消すことができるものであつて、行政事件訴訟法三〇条の規定はこの理を明らかにしたものにほかならない。もつとも、法が処分を行政庁の裁量に任せる趣旨、目的、範囲は各種の処分によつて一様ではなく、これに応じて裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつたものとして違法とされる場合もそれぞれ異なるものであり、各種の処分ごとにこれを検討しなければならないが、これを出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかの判断の場合についてみれば、右判断に関する前述の法務大臣の裁量権の性質にかんがみ、その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつたものとして違法となるものというべきである。したがつて、裁判所は、法務大臣の右判断についてそれが違法となるかどうかを審理、判断するにあたつては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつたものとして違法であるとすることができるものと解するのが、相当である。なお、所論引用の当裁判所昭和三七年(オ)第七五二号同四四年七月一一日第二小法廷判決(民集二三巻八号一四七〇頁)は、事案を異にし本件に適切なものではなく、その余の判例は、右判示するところとその趣旨を異にするものではない。
 (三) 以上の見地に立つて被上告人の本件処分の適否について検討する。
 前記の事実によれば、上告人の在留期間更新申請に対し被上告人が更新を適当と認めるに足りる相当な理由があるものとはいえないとしてこれを許可しなかつたのは、上告人の在留期間中の無届転職と政治活動のゆえであつたというのであり、原判決の趣旨に徴すると、なかでも政治活動が重視されたものと解される。
 思うに、憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。しかしながら、前述のように、外国人の在留の許否は国の裁量にゆだねられ、わが国に在留する外国人は、憲法上わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものではなく、ただ、出入国管理令上法務大臣がその裁量により更新を適当と認めるに足りる相当の理由があると判断する場合に限り在留期間の更新を受けることができる地位を与えられているにすぎないものであり、したがつて、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎないものと解するのが相当であつて、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障、すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしやくされないことまでの保障が与えられているものと解することはできない。在留中の外国人の行為が合憲合法な場合でも、法務大臣がその行為を当不当の面から日本国にとつて好ましいものとはいえないと評価し、また、右行為から将来当該外国人が日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者であると推認することは、右行為が上記のような意味において憲法の保障を受けるものであるからといつてなんら妨げられるものではない。
 前述の上告人の在留期間中のいわゆる政治活動は、その行動の態様などからみて直ちに憲法の保障が及ばない政治活動であるとはいえない。しかしながら、上告人の右活動のなかには、わが国の出入国管理政策に対する非難行動、あるいはアメリカ合衆国の極東政策ひいては日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に対する抗議行動のようにわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものも含まれており、被上告人が、当時の内外の情勢にかんがみ、上告人の右活動を日本国にとつて好ましいものではないと評価し、また、上告人の右活動から同人を将来日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者と認めて、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、その事実の評価が明白に合理性を欠き、その判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえず、他に被上告人の判断につき裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつたことをうかがわせるに足りる事情の存在が確定されていない本件においては、被上告人の本件処分を違法であると判断することはできないものといわなければならない。また、被上告人が前述の上告人の政治活動をしんしやくして在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないとし本件処分をしたことによつて、なんら所論の違憲の問題は生じないというべきである。
 (四) 以上述べたところと同旨に帰する原審の判断は、正当であつて、所論引用の各判例にもなんら違反するものではなく、原判決に所論の違憲、違法はない。論旨は、上述したところと異なる見解に基づいて原判決を非難するものであつて、採用することができない。
 第二 同第五点について
 原審が当事者双方の陳述を記載するにつき所論の方法をとつたからといつて、判決の事実摘示として欠けるところはないものというべきであり、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
    最高裁判所大法廷
        裁判長裁判官  岡原昌男
           裁判官  江里口清雄
           裁判官  大塚喜一郎
           裁判官  高辻正己
           裁判官  吉田 豊
           裁判官  団藤重光
           裁判官  本林 讓
           裁判官  服部高顯
           裁判官  環 昌一
           裁判官  栗本一夫
           裁判官  藤崎萬里
           裁判官  本山 亨
 裁判官岸盛一、同天野武一、同岸上康夫は、退官のため署名押印することができない。
        裁判長裁判官  岡原昌男
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錯誤によるワンクリックの契約は無効:電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律3条

2012-04-14 23:00:00 | シチズンシップ教育
 コンピューター・ネットワークを用いた消費者契約(電子消費者契約)のおいては、簡単なクリックで契約が成立してしまうため、通常の取引よりも錯誤が生じやすい状況にあります。

 錯誤が生じた場合について民法95条に規定があり、消費者が重過失(普通人に期待される注意を著しく欠いていること、立証責任はその立証によって利益を受ける当事者)がないかぎり、契約は無効になります。

****民法***** 
民法  (明治二十九年四月二十七日法律第八十九号)

(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

***********

 重過失があれば、錯誤を理由とした無効は、認められませんが、『電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律』が第3条で特例を定めました。

 すなわち、事業者が確認画面によって消費者の意思を確認した場合(または、その措置が不要であるとの意思を消費者が表明した場合)を除き、消費者が意志のない契約を結んだり、意思と異なる内容の契約を結んでしまったとしても、事業者の方から、ワンクリックをした消費者側の重過失を理由に、「錯誤無効とならない」ことの主張ができなくなりました。


*********************************
電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
(平成十三年六月二十九日法律第九十五号)

(趣旨)
第一条  この法律は、消費者が行う電子消費者契約の要素に特定の錯誤があった場合及び隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合に関し民法 (明治二十九年法律第八十九号)の特例を定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において「電子消費者契約」とは、消費者と事業者との間で電磁的方法により電子計算機の映像面を介して締結される契約であって、事業者又はその委託を受けた者が当該映像面に表示する手続に従って消費者がその使用する電子計算機を用いて送信することによってその申込み又はその承諾の意思表示を行うものをいう。
2  この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいい、「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3  この法律において「電磁的方法」とは、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。
4  この法律において「電子承諾通知」とは、契約の申込みに対する承諾の通知であって、電磁的方法のうち契約の申込みに対する承諾をしようとする者が使用する電子計算機等(電子計算機、ファクシミリ装置、テレックス又は電話機をいう。以下同じ。)と当該契約の申込みをした者が使用する電子計算機等とを接続する電気通信回線を通じて送信する方法により行うものをいう。

(電子消費者契約に関する民法 の特例)
第三条  民法第九十五条 ただし書の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について、その電子消費者契約の要素に錯誤があった場合であって、当該錯誤が次のいずれかに該当するときは、適用しない。ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込み又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。
一  消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。
二  消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。

(電子承諾通知に関する民法 の特例)
第四条  民法第五百二十六条第一項 及び第五百二十七条 の規定は、隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合については、適用しない。

   附 則
(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条  この法律の施行前にその申込み又はその承諾の意思表示を行った電子消費者契約については、なお従前の例による。
第三条  この法律の施行前に隔地者間の契約において発した電子承諾通知については、なお従前の例による。


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違法性の継承:東京都建築安全条例における安全認定の違法に関連して。

2012-04-13 10:52:39 | 街づくり

 以下、公法演習の課題として与えられた訴訟です。

 理解をしている途中ですが、ものすごく大切な内容を判決されているように感じます。

 大切な部分と思うことは、「違法性の継承」に関してで、「違法性の承継についてはいろいろな見方があるが,ここでは,2個の行政処分が時をおいて行われる場合に,後続処分の取消訴訟においてその違法事由として先行処分の違法を主張することができるか(先行処分の違法が後続処分に承継されるか),という問題」(判例タイムズNo.1317 2010.4.15)
です。

 今後、分析を深めていきますが、この論理を用いれば、豊洲築地市場移転候補地での土壌汚染対策法違反ゆえに、卸売市場法での開設許可違反の論理構成がとれるのではないかと考えます。
 

 まずは、違法性の継承に関する判例を、こちらで共有したいと思います。

*********最高裁ホームページ*******************

事件番号 平成21(行ヒ)145

事件名 建築確認処分取消等請求,追加的併合申立て事件

裁判年月日 平成21年12月17日

法廷名 最高裁判所第一小法廷

裁判種別  判決

結果 その他

判例集等巻・号・頁 民集 第63巻10号2631頁

原審裁判所名 東京高等裁判所

原審事件番号 平成20(行コ)217

原審裁判年月日 平成21年01月14日

判示事項 
東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することの可否

裁判要旨 
東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項所定の接道要件を満たしていない建築物について,同条3項に基づく安全認定(建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める処分。これがあれば同条1項は適用しないとされている。)が行われた上で建築確認がされている場合,安全認定が取り消されていなくても,建築確認の取消訴訟において,安全認定が違法であるために同条1項違反があると主張することは許される。

参照法条 

○建築基準法(平成18年法律第46号による改正前のもの)6条1項,

○建築基準法43条,

○東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項,

○東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項

*実際にその箇所の抜粋します。
【参照法令】
○建築基準法(平成18年法律第46号による改正前のもの)6条1項,

(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条  建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
一  別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が百平方メートルを超えるもの
二  木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
三  木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
四  前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)、準都市計画区域(市町村長が市町村都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは、当該市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法 (平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項 の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
 

○建築基準法43条,
(敷地等と道路との関係)
第四十三条  建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。
一  自動車のみの交通の用に供する道路
二  高架の道路その他の道路であつて自動車の沿道への出入りができない構造のものとして政令で定める基準に該当するもの(第四十四条第一項第三号において「特定高架道路等」という。)で、地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第十二条の十一 の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。同号において同じ。)内のもの
2  地方公共団体は、特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計。第四節、第七節及び別表第三において同じ。)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により、前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、必要な制限を付加することができる。


○東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項,
○東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項
http://www.reiki.metro.tokyo.jp/Li05_Hon_Main_Frame.exe?UTDIR=D:\EFServ2\ss000033DD\Administrator&TID=1&SYSID=1039

(建築物の敷地と道路との関係)
第四条 延べ面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合は、その延べ面積の合計とする。)が千平方メートルを超える建築物の敷地は、その延べ面積に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。

延べ面積
長さ
千平方メートルを超え、二千平方メートル以下のもの
六メートル
二千平方メートルを超え、三千平方メートル以下のもの
八メートル
三千平方メートルを超えるもの
十メートル

2 延べ面積が三千平方メートルを超え、かつ、建築物の高さが十五メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については、同項中「道路」とあるのは、「幅員六メートル以上の道路」とする。

3 前二項の規定は、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては、適用しない。
(昭四七条例六一・全改、昭六二条例七四・平五条例八・平一一条例四一・一部改正)

【掲載誌】  最高裁判所民事判例集63巻10号2631頁
       裁判所時報1498号29頁
       判例タイムズ1317号81頁
       判例時報2069号3頁
       LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 ジュリスト1415号82頁
       判例時報2087号170頁


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4/12中央区議会企画総務委員会審議案件のひとつ「築地市場移転に係る経過と今後のスケジュール」

2012-04-12 03:31:45 | 築地を守る、築地市場現在地再整備
平成24年 企画総務委員会(4月12日)
開会時間 午後1時30分から
委員会審議案件
  1. 「労働スクエア東京」跡地複合施設基本構想・管理運営基本方針の策定について
  2. 築地市場移転に係る経過と今後のスケジュール
  3. 平成24年4月1日現在の職員数について
  4. 宮城県石巻市との災害時相互援助協定の締結について




会議名 平成24年 環境建設委員会(4月13日)
開会時間 午後1時30分から
委員会審議案件
  1. 江戸バスルートの改善について
  2. 中央区総合交通計画(案)について
  3. 平成24年度中央区一般廃棄物処理実施計画の策定について
  4. 東京駅前地域及び月島地域のまちづくりの取組状況について
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夫婦の間の法的効果のひとつ人格的効果:同居義務、協力義務、扶助義務、貞操義務 民法752、770条

2012-04-12 02:45:20 | シチズンシップ教育

 婚姻の成立(夫婦の間)で生じる法的効果は、大きく分けて4つに整理できます。

 人格的効果、財産上の効果、相続、その他。 

 まずは、そのうちの人格的効果の内容を見てみます。

 1)同居義務
   ただし、裁判に訴えることはできる(自然債務)が、強制執行を求められない義務です。 

  民法752条:夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。 


 2)協力義務
   協力し合うこと。
  
  民法752条:夫婦は同居し互いに協力し扶助しなければならない。 


 3)扶助義務
   相手方に事故と同一程度の生活を保障する義務(生活保持義務)があります。 なお、一定の親族間に認められる扶養義務(生活扶助義務)よりも水準の高い義務です。

  民法752条:夫婦は同居し互いに協力扶助しなければならない。 原則を規定しています。

  なお、
 760条:夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
  という条文もあり、こちらは、「婚姻費用分担」義務を規定しています。


 4)貞操義務
   直接に定めた明文の規定はありませんが、不貞行為が離婚原因になると770条1項1条が間接的に定めています。
   貞操義務違反は、離婚原因になるほか、不貞行為の相手に配偶者から慰謝料を請求できます。

 

第770条
  1. 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
    配偶者に不貞な行為があったとき
    二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
    三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
    四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
    五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
  2. 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
以上、
 


 

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