北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

自分が試される六つの場面

2010-12-27 23:46:05 | Weblog
 人間、虚を突かれて驚いた時にはほとんど動けなくて何もできないもので、口からは「あー」という声しか出ないという経験を何度かしました。 

 釧路市の消防本部には地震を体験できるコーナーがあります。中に入ると係員の方が「行きますよ」と言ってくれるので、「今来るぞ」と分かっているはずなのに、実際に大きな揺れが来ると何もできず、机の下に入るので精一杯。とてもガスを消したりする余裕などありません。

 電車やバスの中でお年寄りに席を譲るなんてことだって、準備をしていないときに乗り込まれると席を譲るタイミングを失ってばつの悪い思いをしたりします。

 これらに対処するのがシミュレーション。

 頭の中で、(今お年寄りが乗ってきたら席を譲るぞ)と繰り返し練習をしておけば、いざというときにでも素早く体が先に動くようになるものです。つまり、普段から練習をして自分自身を試しておくことが重要というわけです。

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 安岡正篤先生の「一日一言」という本に、人間力を試す六つの場面が載っていました。試すは、「験す」という字を使って「六験」と言います。


 【六験】

一、之(これ)を喜ばしめて以(もっ)て其(そ)の守を験(ため)す

  人間は嬉しくなると羽目を外す。しかし、人間には守らねばならない分とか節がある。それを喜ばされたくらいで外してしまうようでは人間として落第です。

  
一、之を楽しましめて以て其の僻(へき)を験す

  喜びの本能に理性が伴うと、これを楽という。  人間は楽しむと、どうしても僻する。かたよる。すると公正を失って物事がうまくいかない。
  

一、之を怒らしめて以て其の節を験す

  人間はどんなに怒っても、締まるところは締まり抑えるところは抑えなければいけません。

  
一、之を懼(おそ)れしめて以てその特<独>を験す

  人間、恐れると何かに頼りたくなって一本立ちができなくなる。
  

一、之を哀しましめて以て其の人を験す

  人間は悲しいときにその人のすべてがあらわれる。人物をみるのは哀しませるのが一番です。
  

一、之を苦しましめて以て其の志を験す

  苦しいことにぶつかると、ついへこたれがちになる。志とは千辛万苦に耐えて自分の理想を追求してゆくことである。よく苦しみに耐えて理想を追求してゆく人間なら間違いはない。


 『安岡正篤 一日一言』より(致知出版社刊)


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 人間、「かくありたい」と思ってもなかなか到達できるものではありません。しかしそれでも、いや、だからこそ、「かくありたい」理想の姿を知っておくことが大切だともいえます。

 「六験」が教えてくれる、心の試練を普段から練習しておけるでしょうか。
コメント
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