こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

あったかもしれない日本

2006-05-15 00:00:00 | 未分類
橋爪紳也さん『あったかもしれない日本』を読みました。

色々、面白かったのがありますが、大正9年の人々が描いた「百年後」の未来。
この時代でも、未来はばら色ばかりでなく、街灯を吊り下げた煙突が林立し煙を吐きだしているような、
最悪のシナリオも考えていたのです。

あと、実現しなくて良かったと思うのは、琵琶湖運河。
琵琶湖の水を一定程度抜いて、水位を現状より43メートルほど低く、海抜41メートル強まで下げようと
考えた人がいました。つまり、琵琶湖の面積を2分の1にめで狭くする考えだったわけで、
実行されなくてよかったと思います。

素晴らしかったのは、関東大震災の震災祈念堂です。
平面は、あたかも大聖堂のごとく、奥に祭壇を設け、厳格な左右対称の「十文字型」で、
キリスト教の伝統を見せるこの平面に、全くの和風建築が建立されているのです。
大枠は伝統的な「仏教建築」のモチーフが駆使され、内部の造形は「神社建築」の荘厳さを
同時に表現したようです。
竣工は昭和5年なのですが、この時代の日本人は、まだ、あらゆる宗教の人々に配慮する
バランス感覚を持っていたのですね。

と、まあ、日本の幻の建築史なのですが、後半がいまいち楽しめなくて、読むのに時間がかかってしまいました。

コメント
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