こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

チョコレートコスモス

2006-05-24 00:00:00 | 未分類
恩田陸さん『チョコレートコスモス』を読みました。

「神谷が、その奇妙な娘に気が付いたのは、今年の桜も終わり、どことなく間が抜けた、
やたらと眠い四月も半ばの午後のことだった」

「顔立ちは整っているが、特に目立つ美人というわけではない。とてもスタイルがいいとか、
身のこなしが洗練されているというのでもない」

「『それにしても、いったいあの子は何をしているんだ?』神谷がそう思った瞬間、少女が動いた」
瞬間、少女が消えた。

不思議なこの少女は、W大の劇団の1つに入ろうとする。
芝居の経験は初めてだというのに、独特な能力を見せるこの少女。
様々な立場の人々が、彼女に惹きつけられていく。

感想ですが、芝居のオーディションの情景が、息が詰まるほど緊迫感があって、素晴らしかったです。
演技力のせめぎあいとでも表現したらいいのでしょうか?真剣勝負の空気感がひしひしと伝わってきました。
天才的な彼女の欠けているところ、いずれは乗り越えていくのでしょう。

今も世界のどこかで、こういうオーディションが行われ、
私達観客は、いつかその完成形を見ることになるわけです。
不思議なめぐりあいを感じます。
この感動を、言葉で表現できない自分にもどかしさを感じます。
とにかく、読んでみてください。

コメント
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