こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

アインシュタインが当たった

2006-05-26 00:00:00 | 未分類
SFマガジン7月号に、草上仁さん『アインシュタインが当たった』が載りました。

アインシュタインの精子使用権を当てた男。
確かに当選はしていたのだが、パートナーの女性と一緒に来ないと、精子は渡せないと言う。
妻の陽子は拒否をするのだが、男は、どうしても天才の子供によって楽な暮らしをしたいという願望を、
忘れられない。
男は、どんな手を使うのか、そして、その目論見は成功するのか。

話が、二転三転して、とても面白いです。そして、最後の落ちも最高です。
私は、大好きですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紙魚家崩壊

2006-05-25 00:00:00 | 未分類
北村薫さん『紙魚家崩壊』を読みました。

まず『溶けていく』
何気ない状況から、こういう結果が生まれていく。
あまりにも日常の世界から、物語が展開していくので、恐怖感が倍増されました。

『紙魚家崩壊』
本好きな人間なら、あの計算式は納得できると思います。
でも、ああいう結果を導き出すのは・・・崩壊してしまったのは、心理的な面も象徴しているのかもしれません。

『死と密室』
老人介護に携わる者としては、耳が痛い物語とも言えます。
そもそも、レクリエーションって、毎日やらなければならないものなのでしょうか?
毎日やることに決めているから、惰性でやってしまうのではないかとも、思えます。

『白い朝』
温かくて優しい物語ですよね。
カナリアのような若夫婦を思いながらの、老夫婦の思い出話。

『サイコロ、コロコロ』
喫茶店で転がってきた十面のサイコロの使用方法。
持ち主は、中年のおじさん。
解った時には、とても懐かしく感じました。

『おにぎり、ぎりぎり』
誰が、どのおにぎりをにぎったのか?
稲村先生が、その謎を、鮮やかに解明していきます。
さて、その真相は?
いやー、笑ってしまいました。

『蝶』
起こったことは、日常の何気ない出来事です。
ただ、蝶にまつわる子供の頃の話が、何とも幻想的な子供らしい思考のたまもので、好きです。

『俺の席』
日常が、ほんの少しずれてしまったせいで、居心地が悪くなったり、おかしくなったりします。
最後が、気の毒としか思えません。

『新釈おとぎばなし』
北村薫さんの解釈による、おとぎばなしです。
こういうので、昔・・・いや、今も好きなのが、星新一さんの『未来イソップ』です。
北村さんのも、とても、面白いです。

これら9編の中で、一番のお気に入りは『おにぎり、ぎりぎり』です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チョコレートコスモス

2006-05-24 00:00:00 | 未分類
恩田陸さん『チョコレートコスモス』を読みました。

「神谷が、その奇妙な娘に気が付いたのは、今年の桜も終わり、どことなく間が抜けた、
やたらと眠い四月も半ばの午後のことだった」

「顔立ちは整っているが、特に目立つ美人というわけではない。とてもスタイルがいいとか、
身のこなしが洗練されているというのでもない」

「『それにしても、いったいあの子は何をしているんだ?』神谷がそう思った瞬間、少女が動いた」
瞬間、少女が消えた。

不思議なこの少女は、W大の劇団の1つに入ろうとする。
芝居の経験は初めてだというのに、独特な能力を見せるこの少女。
様々な立場の人々が、彼女に惹きつけられていく。

感想ですが、芝居のオーディションの情景が、息が詰まるほど緊迫感があって、素晴らしかったです。
演技力のせめぎあいとでも表現したらいいのでしょうか?真剣勝負の空気感がひしひしと伝わってきました。
天才的な彼女の欠けているところ、いずれは乗り越えていくのでしょう。

今も世界のどこかで、こういうオーディションが行われ、
私達観客は、いつかその完成形を見ることになるわけです。
不思議なめぐりあいを感じます。
この感動を、言葉で表現できない自分にもどかしさを感じます。
とにかく、読んでみてください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キス

2006-05-23 00:00:00 | 未分類
西澤保彦さん『キス』読みました。
『なつこ、孤島に囚われ。』『両性具有迷宮』に続く、森奈津子さんシリーズ第3弾です。

ラストの『舞踏会の夜』のみ書き下ろしで、後は全て『SF JAPAN』掲載作品です。
最初の物語から、とばしていってます。タイトルさえ、危なくて書けません(^^;)
森さんだけでなく、一見優しそうで邪悪な笑みを絶やさぬ(・・・って、私が拝見した時は邪悪そうでしたが・・・
という)方や、肩から黒猫を生やした方(拝見したことはありません)の実名が出ています。

書き下ろしの『舞踏会の夜』は、シロクマ宇宙人が主人公で、母星に帰ることができずに
アルバイトをしながら暮らしています。
せっかくいいレストランで働いていたのにも関わらず、賄い料理を、来る日も来る日も食べ過ぎて、
辞めざるをえなかったという間抜けな奴です。邪悪なはずなんだけどね。
さて彼(?)が次に選んだ職業は?そして、その内容は?
ということで、最後はほのぼのして・・・いるのかな?

全4編、どれも森奈津子さんが関わっており、少しずつ、登場人物が交錯しております。
邪悪だったり、危なかったり、吹きだしたり、しんみりしたり、ほのぼのしたりで、
とても楽しませていただきました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千代菊シリーズ(二都物語)

2006-05-22 00:00:00 | 未分類
奈波はるかさん『少年舞妓・千代菊がゆく!』を、読みました。

今回の千代菊は、京都物産展の京舞披露のために東京出張。
東京駅八重洲口で舞っていると、観客の中に楡崎を見たような気がした。
奇しくも、楡崎も東京出張で来ていたらしく、お座敷がかかる。
なぜか、そのお座敷には60代の女性と高校生くらいの女の子が同席していた。
翌日も、楡崎と都内観光を楽しみ、京都に帰ってきた。
ところが、京都に帰ってきてからの楡崎の態度がおかしくなった。
新しく入った仕込み見習いの女の子に、心を移してしまったようなのだ。

あくまでも、千代菊が恋しているのは紫堂なのですが、ひいきにしてくださっているお客様の心変わりは、
寂しいものなのでしょうね。
人気商売って、華やかなのですが、厳しさも人一倍なのかもしれないなぁ、と感じました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする