京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 「思わず夢中になりました」

2010年04月10日 | こんな本も読んでみた
  「思わず夢中になりました」

これは昨年秋の読書週間標語になっていた。
そして、今年は国会で決議されたという「国民読書年」だそうな…。国会で読書の奨励など決められたくもない気がするが、そうなのだ。読書離れが進み、活字離れに歯止めをかけようということか。

吉田兼好は読書の楽しみを『徒然草』に書いている。
「見ぬ世の人を友とするぞ、こよなうなぐさむわざなる」。心に深く関わって染み入るものだと。

行間の含みをどこまで感じ取れるかなどは言うも憚れることだが、拙い文学的想像力を働かせ引き込まれていく世界。手に本の重みを感じ、装丁を楽しむ、紙をめくる…。
速読法などいまさらいらない、長年積み重ねたマイペースで結構。
自分の心の中に、どんな好きなことばが残せるか。やはりそこには思わず夢中になる自分がいる、はずだ。

つい先ごろまでその存在が心にかかり、読んでみたい作品を残してくれていた立松和平氏。
筆者のあとがきを読みたくても読むことはできない。作品の解説がなされている。
  ― すべての文章が立松の「遊行」の結果うまれた「遺言」の趣があると。

明日は桜散らしの雨が降ると聞き、鞍馬の桜を見に行こうか?と思案してるうちに、冬物のジャケットをクリーニングに出さなくてはと…。帰ってみればはや昼。今から鞍馬でもあるまいということになり、読書をして過ごそうということになる。
が、ぽかぽか陽気には負けた。本は手からすべり落ち、何度もしおりをはさんでいる始末だった。

えらそうなことを言いながら居眠り三昧。立松さん、ごめんしてください。
                      『遊行日記』立松和平(勉誠出版)

コメント (8)
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