(再録・「どこでもきがるに散策録」の過去データから)
2004年8月28日(土曜日)
富山は真夏の暑さだった。
立山の称名滝を仰ぎ見て、立山登拝の宿坊を見学した後、越中八尾(やつお)へ入る。
夜は、「おわら風の盆」の前夜祭へ。東新町(ひがししんまち)の、石畳の道での踊りの町流しを見る。
まだ本番(9/1~9/3)ではないのに、道の両側にはあふれんばかりの観光客。最前列にはとても出られないので、後ろから背伸びしてのぞきこむ。
哀調を帯びた胡弓の音(ね)に合わせたおわら節の唄声とともに、東新町の若い人々の踊りの列が静かに通り過ぎる。
♪あんたと添わなきゃ 娑婆に出た甲斐がない
おわら節は、恋の唄なのである。
最後尾で踊る美しい女性が、踊りながらわたしを見つめているのに気づく。わたしと目が合っても、目を離さない。
わたしの方で視線をはずしてしまい、間をおいて、またその女性を見ると、まだこちらを見ている。だれか知り合いの人に似ている、とでも思ったのだろうか。 わたしは胸のときめきを覚え、それを抱えたまま山間の宿にもどった。
2004年8月28日(土曜日)
富山は真夏の暑さだった。
立山の称名滝を仰ぎ見て、立山登拝の宿坊を見学した後、越中八尾(やつお)へ入る。
夜は、「おわら風の盆」の前夜祭へ。東新町(ひがししんまち)の、石畳の道での踊りの町流しを見る。
まだ本番(9/1~9/3)ではないのに、道の両側にはあふれんばかりの観光客。最前列にはとても出られないので、後ろから背伸びしてのぞきこむ。
哀調を帯びた胡弓の音(ね)に合わせたおわら節の唄声とともに、東新町の若い人々の踊りの列が静かに通り過ぎる。
♪あんたと添わなきゃ 娑婆に出た甲斐がない
おわら節は、恋の唄なのである。
最後尾で踊る美しい女性が、踊りながらわたしを見つめているのに気づく。わたしと目が合っても、目を離さない。
わたしの方で視線をはずしてしまい、間をおいて、またその女性を見ると、まだこちらを見ている。だれか知り合いの人に似ている、とでも思ったのだろうか。 わたしは胸のときめきを覚え、それを抱えたまま山間の宿にもどった。