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ごま書房新社 |
世の中は、思考停止に陥っている人で溢れている。別にこれは今に始まったことではなく、いつの時代にも、マスゴミの流すデマに人々は踊らされてきた。朝日新聞の例でもわかるように、それが時には、我が国にとって大きな不利益につながる。最近は、これに、ネットでの情報も加わり、ますます危険な状況になっているのではないだろうか。
特に最近は、小さい頃から、塾などで勉強を「習う」ことばかりで、自分の頭で考えることは隅に追いやられているような風潮も、これに拍車をかけているのではないかと懸念する。だから、ちょっと考えればおかしいと思うようなことにも簡単に乗せられてしまうのだ。
マスコミやネットに流れていることを鵜呑みにするのは愚の骨頂だ。大切なのは「自分の頭で考えること」。そのためには、もとになるデータを見て、それが信頼できるものか、自分ならどう解釈するのかをしっかり考えることが大切だと著者は説く。
本書は、「先生」と「ヤマダくん」との対話形式で、講義が進んでいく。だから、読者は、自分を「ヤマダくん」だと仮定して読んでいけばよいだろう。もちろん、本書の趣旨からしても、「先生」の言うことを、頭から信じ込んではいけない。きちんと自分で考えて、納得してこそ、知識が、自家薬籠中のものとなるのだ。
それでは、「自分の頭で考える」ためには、どうすればよいのだろうか。本書には、ロジカルに考えたり、枠を外して自由奔放に考えたりと、そのための心構えが多く書かれている。そしてまた、考えることを「習慣化」することの大切さも。
著者も言うように、「学ぶことは楽しく」、考えることは「ワクワクする体験」なのだ。この学ぶとは、単に知識を覚えることではない。自分の頭で考えて、勉強したことを使いこなすことができるようになってこそ、本当に「学んだ」と言えるのである。必要なのは、「覚える力」ではない。知識は陳腐化しがちだ。本書で主張されているように、「考えて学ぶ」ことこそ、自分の成長につながるっていくのである。
ところで、この本の読み方だが、著者が進めるのは次のようなものだ。まず付箋とメモを用意し、180分で1回読み切る。この時、重要なところやわからないところに理由などを書き込み、付箋を貼る。読了後、60分休んだら、再度180分かけて、メモや付箋に注意しながら読んでいく。このとき、ワーク作業も行いながら不明点を確認していくのだ。著者が言うように、これで本当に「思考停止人生から卒業」できるかどうかは、個人の資質にもよると思うが、方法論としては間違ってはいない。
まず、著者も述べているように、本はきれいに読むものではない。私もやっているが、どんどん書き込んで、突っ込んで、対話したり、対決したりすることが大切なのだ。私の読んだ本など、汚くて、絶対に古本屋には売れない(笑)。また、読んだ内容を一度で頭に入れようと思ってはいけない。繰り返して読むうちに、頭の中で発酵して、こなれていき、自分のものになっていくのだ。一字一句、本書に書かれている通りにする必要はないが、洪水のように飛び回っている情報に踊らされないようにするためには、役にたつヒントが詰まっているのではないだろうか。
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