文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:ひらめきを生み出すカオスの法則

2018-01-09 19:47:45 | 書評:ビジネス
ひらめきを生み出すカオスの法則 (T's BUSINESS DESIGN)
クリエーター情報なし
TAC出版

・ティム・ハーフォード、(訳)児島修

 タイトルからは、アイデア創出法のようにも思えるが、本書はそれだけには留まらない。書かれているのは、あまりにも整然としたところからは、画期的なものは生まれないということだ。

 例えば、アドリブの中から素晴らしいものが生まれるということや、目標値を数値で決めてしまうと、数値が達成出来ればいいとばかり視野狭窄に陥る可能性があるということなど。

 コンピュータで全てが制御されているからと安心してはいけない。あまり頼りすぎると、想定外のことが発生した時に人間が対応出来なくなる。本書では航空機の事故例が挙げられているが、多くのプラントの制御系でも同様だろう。

 昔は人間が状況を判断しながら手でやっていたものを、今はコンピュータがやってしまう。かっては、色々な現場に、あの人に任せればOKだという生き字引のような人がいたものだが、最近はトラブル対応の経験が積めないということをよく聞く。

 製造業では、よく5Sが重要だとされる。すなわち、整理、整頓、清掃、清潔、躾だ。私に言わせれば、これらは決まりきったことを効率的にやるのにはいいかもしれないが、本書でも批判的なように、そこから画期的なものは何もでてこないだろう。

 もうひとつついでに言えば、私は、一部でもてはやされているフリーアドレス(自分の机を持たない)というのが大嫌いだ。スペースが共有のため、机の上を自分の好きなように汚せないではないか。私の会社員時代は、机の上は誰よりも乱雑だった自信があるが、生産性のほうも誰よりもあった(と思う)。

 私の読書傾向なども統一性がなく、乱雑なことおびただしいが、いつかはきっとそこから素晴らしい何かが生まれることだろう(笑)。果たしていつのことになるのやら。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。


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