地理 2018年 01 月号 [雑誌] | |
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古今書院 |
ほぼ欠かさず献本に応募している本誌。高校の頃に無理やり履修させられた「地理」とは比較にならないくらい面白いのだ。今月号の特集は、「アジアの環境問題と国際環境協力」。
この特集では、日本の四日市公害、韓国の大気汚染、中国のPM2.5を初めとした環境問題、モンゴルの草原荒廃、ベトナムのマングローブ林の破壊と再生などの現状と取り組みなどをそれぞれの研究者が、解説している。これらの記事を読んでいると、高校での「地理」と本来の「地理」との間の距離感を感じざるを得ない。
例えば、特集でも紹介されていた「四日市学」だ。これは、かって四大公害と言われた四日市公害について、人文社会科学、自然科学、後学、医学分野にまたがる学際的な学問であり、いわゆる社会科の一分野としての「地理」の範疇には収まらないものだ。「地理」とはいかに裾野の広い学問であるかということを実感する。
ところで、この号で特集意外で興味深かったのは「人口の東京一極集中 ~東京に住みたいか?~」という記事で、東京への1局集中について関西大学第一高等学校の生徒たちが授業の中で議論したというものだ。私の場合住みたいかと言われれば躊躇なく「否」と答えるだろう。東京はゴミゴミしすぎている。人間が多すぎるのは苦手だ。だから大学も京都に行ったし、就職も中国地方で探した。
ただ、大学進学で東京に行く人間は多いし、東京以外の大学に進学しても、就職時に東京に行ってしまう。現に私の大学の同期にしても、関西出身の者はほとんど就職時に東京に出てしまった。ただ名古屋方面の者はほとんど地元に帰っており、この差はなかなか興味深いものがある。
なぜ東京の一極集中が進むかと言えば、地方には希望するような職がほとんどないからだ。私の場合も大学卒業時に、山口県の自動車系の販売会社(要するに自動車のセールスマンにならないかというお誘いである)から3社も(といってもすべて同じメーカー系なのだが)就職案内のパンフレットが送られて来た。
大学院への進学も決まっていたし、セールスマンになっても、これまで学んだことが活かせそうにもないのでスルーした記憶があるが、Uターンをしようと思うと、故郷には就職の選択肢が少ないのも事実だろう。
ところで、裏表紙を見ていて「ええっ!」と驚いた。なんと野口五郎岳という文字が目に入ったからだ。
記事を読むと、本当にこの名前の山が、北アルプスにあるらしい。まさか歌手の野口五郎さんにちなんでつけられたのかと、ちょっとググって調べてみた。
意外や意外。実は山の方が本家本元で、芸名の方がこの山にちなんでつけられたらしい。ちなみに、五郎というのは、岩が「ゴーロ」ゴーロしている場所を表すための当て字だということだ。トリビア的な知識だが、まだまだ意外なことが沢山あると実感した。
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※初出は、「本が好き!」です。