仮面ライダー(1) (石ノ森章太郎デジタル大全) | |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
・石ノ森章太郎
今でもシリーズものとしてテレビで放映しているが、その原点ともいえる作品。昭和の香りぷんぷんという感じで、読んでみると、まず懐かしさでいっぱいになる。
雑誌に掲載されていたのが1971年(昭和46)なので、懐かしさの反面、いろいろと突っ込みどころも多い。
例えば、本郷猛が拉致されて手術台の上で目覚めたとき、首領らしい声が
「すぐれた頭脳と 鋼のような肉体の持ち主のみが・・・・・・ーーーわがショッカーの一員になれるのだ」
と言っていたが、あのザコ感溢れる戦闘員は、ショッカーに入れてもらってないのか。それともあれでも本当は「すぐれた頭脳と 鋼のような肉体」を持っていたのか?
どうせ、脳も体も改造しちゃうのだから、元の体のスペック、ほとんど関係なくないと思うのだが。
電気工学を学んだ者として許しがたいのは、「5万Vの電流」なる表現が最初の方に2ヶ所もあったこと。
この表現のどこがおかしいか分からない人は中学の理科の教科書をひっくり返してみることだ。我が国の理科教育の崩壊がこの頃からはじまっていたと思うと、別の意味で興味深い。
その他にもツッコミどころはある。まずショッカーの怪人くも男、手足を合わせて6本しかない。蜘蛛って脚が8本なかったけ?
それに、口から糸を出しているが、蜘蛛って尻から糸をだすのが普通だと思う。ヤマシログモという例外もいるが、それはあくまで例外。まあ某アメリカンヒーローは手から糸を出していたようなので、改造手術のとき糸を吐く器官が口につけられたんだろう(笑)。でも本来尻にあるものが口につけられたらちょっと嫌だな。
こうもり男の話では、人間を操るという新種のウイルスをふつうに光学顕微鏡で見ているが、ウィルスって光学顕微鏡で見える訳ないと思うが。
ところで仮面ライダーだが、あのシンボルともいえるバッタ頭の仮面はバイクのなかに隠してあったし、服も脱ぎ捨ててあるシーンがあった。つまり、変身ではなく着替えということだ。
ところが、怪人コブラ男を追うときには、すぐにあの姿になっていた。着替えが速くなったのね。
ここで一つ気がついたのだが、怪人ってみな真っ裸なのだろうか? 仮面ライダーはコスチュームを着ているのにショッカーの怪人はそれらしきものを着用していないのだが。そうだとするとわいせつ物を・・・(以下略)
子供のころは、面白いと思って読んでいたが、今読むと別の意味で面白いかも。でもあの時代を代表する作品なのは間違いないんだろう。歴史的な価値も高いと思うが、もし現代において無名の新人が原稿をもちこんだら、まず編集者からダメ出しされるとは思うが。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。