・わかつきひかる、(イラスト)ひなた もも
最近、わかつきひかる(女性作家のようです)の作品が少し気に入っている。普通のラノベなんかも書いているのだが、美少女文庫がいい。他の官能小説のように淫靡エロエロな感じより、綺麗なイラストがついているのが好みだ。舞台が異世界だったり、メイドが出てきたりと、厨二病的設定が丸出しなのだが、最後は大体がハッピーエンドで終わっている。まるでドラマの水戸黄門を視ているように結果が推測できるので、安心して読めるのだ。内容がエロいのも、厨二病患者の妄想を表しているようで、なんとも面白い。
主人公は畠山高春という湯佐川大学付属高校に通っている高校二年の男子。ある日メイド姿のクラスメート雑賀くるみが腹ペコで倒れているのを助ける。なんと彼女は手枷足枷をしていた。聞くと隣にある二人の通う高校の理事長の屋敷でメイドをしていたという。もしかしてくるみは理事長宅でM役をやらされているのかと妄想いや心配する高春だが、実は手枷足枷は簡単に外れ、くるみはメイドの嗜みだという。どうも隣でドジをやってメイドを首になったらしい。くるみは、高春の家でメイドとして暮らすことになる。
実はくるみは、根来忍者の末裔でものすごい怪力。だから力をセーブするために自主的に重い手枷足枷を付けて力をセーブしているわけだが、これがないと動きがぎくしゃくして学校では運動オンチということになっている。その反面とても可愛らしいので、学園の隠れアイドルとして人気が高い。実は、ものすごく強いのだが、ちょっとM、いやかなりMなところがある。そんなくるみを高春は調教、色々なことをやらせたり、大人のおもちゃを使ったり・・・。
ところで、自分の力をセーブするためにつけているという手枷足枷、別に鎖の部分はいらないんじゃないかなあ。最後の方では、鎖は外しているのだが、それで学校に通うなんて違和感ありあり。作品中ではしゃれたブレスレットに見えると書かれているが、さすがに見えないと思う(笑)。足枷の方はアンクレットか? ちょっと無理があるような。
エロエロでちょっとあり得ない設定ながら、1種のボーイミーツガールものと言っていいだろう。作品にはロマンスがたっぷり詰まっており、女性読者にもいいかもしれない。イラストも綺麗なので、書店で買うときにも普通のラノベ感覚で買え、そう抵抗はないと思う(多分)。
わかつき作品の基本は主人公とヒロインのラブラブぶり。それが、なんともいえず微笑ましい。なにしろ最後には、朝は彼女のご奉仕で優しく(いや気持ちよく)起こされ、昼間は公認カップルとして学校でイチャイチャ、夜は彼女を縄で後手縛り(もっとも彼女はその気になれば縄はおろか鎖でも引きちぎれるの位の怪力だし、忍者なので縄抜けもできるのだが、一応シチュエーションを整えるためらしい。確かにシチュエーションは大事だよね(笑))のSMプレイ。ちょっと羨ましいかも。でも高校生が大人のおもちゃに頼るのは・・・(以下略)。
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※初出は、
「風竜胆の書評」です。