翡翠の色の、君だけの夏。「視える」修復士と洋館の謎 (実業之日本社文庫) | |
クリエーター情報なし | |
実業之日本社 |
・渡波 みずき
ヒロインは橿原ひよりという女子高生。お嬢様学校の海星女学館に、中学受験で外部生として入った才色兼備の女の子だが、どうも自分に自信がない。なにしろ周りは内部進学の、お金持ちのお嬢様ばかり。自分に力があるわけではなく、たまたま金持ちの家に生まれただけなのに、どうもそれを鼻にかけている節がある。
ひよりは、友達と思っていた常盤綾子に騙されて、彼女の代わりに別荘・翡翠館の修復に立ち会うことになってしまう。この時の綾子の態度が最低である。なにしろ、自分は彼氏とお泊りするので、あんたは貧乏人だから食事代とタクシー代にしろと言って、ひよりに札束を投げつけてくるのだ。
そのようないきさつがあって、ひよりは、別荘修復のための調査に来ていた遊佐孝仁の手伝いをすることになった。ところがその別荘には悲しい秘密があったのだ。
それにしても、ひよりってなんて人がいいんだろう。私だったら、その時点で切れて、札束を相手に叩きつけて帰ってしまうだろう。ただし騙された分の交通費と日当分はきちんと内容証明郵便で請求するし、払わなければ訴訟を起こすだろう(笑)。もちろん綾子の悪逆非道ぶりは、あちこちにバラしたうえでだ。
それにしてもこんなお人よしの人間っているのだろうか。最後はなんだか綾子の家庭環境のせいにしているんだけど、高校生にもなって、家庭環境がどうのこうのいうのは甘えているとしか思えないよな。100%こいつが性悪なだけだと思うんだけど。本当にこんな性悪女がいるのなら、18歳を成人にするのはどうなんだろうと思ってしまう。
ところで、「視える人」というのは、それほど前面に出ていないような感じかな。それより「修復士」という方の比率が高かったような気がする。何しろ、建物だけでなく、自分に自信がなかったひよりの心も修復してしまうのだから。
一種のボーイミーツガールものと言ってもよいだろう。しかし、どうして、女子は最初不愛想なオレサマ男が好きなのかな。少女漫画に出てくるヒロインの相手になる男は、だいたいこんな感じだし。まあ、男子でもツンデレ属性というのがあるし、似たようなものか(笑)。でもこれが現実には不幸の始まりになるんだよなあ・・・。
☆☆☆