文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:社会心理学

2019-02-03 08:52:32 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
社会心理学 (放送大学教授)
クリエーター情報なし
放送大学教育振興会

・森津太子

 本書は放送大学における「社会心理学」のテキストだ。社会心理学とは、社会心理学者のゴードン・オルポート(Gordon Allport)によれば「他者が実際に存在したり、想像の中で存在したり、あるいは存在することがほのめかされていることによって、個人の思想、感情、および行動がどのような影響を受けるかを理解し説明する試み」(p14)と定義されている。こう書くとなんだか難しそうだが、要するに個人が社会からどのような影響を受けるかを研究する学問らしい。ただしここで言う社会とは、それがたった一人の他社の場合もあることには注意しないといけない。だからその守備範囲はかなり広い。

 本書はその他の放送大学教材と同様、全部で15章からなっている。これは放送大学の講義が15回に分けて行われるからだ。そして各章で社会心理学で著名な書籍を一冊づつ紹介しているというのが大きな特徴である。ただし第1章は社会心理学を学ぶにあたってのイントロ、第15章は社会心理学のこれからについて述べたものなので、紹介されている書籍は以下の13冊だ。

1.「服従の心理」(スタンレー・ミルグラム)
2.「冷淡な傍観者」(ビブ・ラタネ)
3.「予言が外れるとき」(レオン・フェスティンガー)
4.「影響力の武器」(ロバート・チャルディーニ)
5.「偏見の心理」(ゴードン・オルポート)
6.「スヌープ!」(サム・ゴズリング)
7.「後悔を好機に変える」(ニール・ローズ)
8.「自分を知り、自分を変える」(ティモシー・ウィルソン)
9.「それでも、人は楽天的な方がいい」(シェリー・テイラー)
10.「オープニングアップ」(ジェームズ・ペネベーカー)
11.「木を見る西洋人、森を見る東洋人」(リチャード・ニスベット)
12.「信頼の構造」(山岸俊男)
13.「インターネットにおける行動と心理」(アダム・ジョインソン)
(副題は省略)

 中には絶版となっているものもあるようだが、興味のある人は、図書館などで見つけたら読んでみるのも良いだろう。本書には紹介された本がどのようなものかを1章を割いて解説されており、社会心理学に興味を持つ人のよいガイドブックになっていると思う。その他にも多くの参考文献がリストアップされているので、この方面の勉強をしたい人には非常に参考になるに違いない。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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