文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:カエルの魔法をとく方法((株)魔法製作所)

2019-02-07 10:24:46 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
カエルの魔法をとく方法((株)魔法製作所) (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・シャンナ・スウェンドソン、(訳)今泉敦子

 シャンナ・スベンソンによる魔法製作所シリーズの"2nd season"としては3冊目にあたる本書。3冊目に関わらず、帯に「あの<(株)魔法製作所>が帰ってきた>とあるのは、前作の「魔法使いにキスを」が翻訳で出たのが2014年の3月だからだろう。だからかなり久しぶりの日本語版ということになる。

 ヒロインはケイティという(株)魔法製作所(通称MSI)に勤める女性。なんとそのCEOは、アーサー王伝説に出てくるあのマーリンなのである。ちなみに、警備の責任者はサムというガーゴイルである。MSIに勤める人間は、魔法が伝えるのが当たり前なのだが、ケイティはまったく魔法が使えない。その代わり、免疫者(イミューン)といって、自分に対してはまったく魔法が効かない体質なのである。そしてMSI内には、オーウェンという婚約者がいる。

 本書の内容を一言で表せば「潜入捜査」。ケイティが潜入するのは、MSIに敵対するコレジウムという魔法使いの秘密結社。MSI内部にもかなりコレジウムの息のかかった人間がいるようだ。彼女は、コレジウムで、ロジャーという幹部のサポートをすることになる。このロジャーという男、ケイティの評価としては、上司としては悪くないのだが、邪魔になる人間は魔法で文字通りカエルに変えてしまうというちょっとやっかいな奴だ。野心家でサイコパス。果たしてケイティの潜入捜査は成功するのか。
 
 ところで、タイトルの「カエルの魔法をとく方法」だが、なんとなく見当がつく。西洋のおとぎ話に出てくるあの方法だ。でも美女である必要はないようだ(男でも大丈夫らしい)。そして明らかになる意外な黒幕。アーサー王伝説についての多少の知識があれば一層楽しめるかもしれない。もちろんアーサー王について詳しくなくとも面白く読めるだろう。最後の戦いの場面は一気読みするくらい引き込まれる。
 
(余談)
 ケイティは登場人物欄には、マーケティング部の部長と書かれている。しかし、本文には、営業部に所属していると書かれている(p41)。この関係はよく分からない。もしかすると翻訳の関係なのだろうか。できればMSIの組織図のようなものがあればいいのだが。それに、営業部のパーティへ参加命令がかかる場面がある(p70)。アメリカの会社は、もっとドライだと思っていたが、向こうでも営業関係は体育会系?

☆☆☆☆

コメント
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