主人公は鈴木実という少年。父親の治が小さいときに亡くなったため、漫画家の母親・綾と二人暮らし。名字が鈴木なのに、大蜘蛛とどういう関係があるのだろうかという疑問を持った人もいる者と思う。実は、大蜘蛛というのは彼の母親の旧姓だ。ちなみに名字が大蜘蛛なのに、蜘蛛は大の苦手。
まさか本当に、こんな名字の人はいないだろうと思って、ネットで検索すると、本当にあった。全国に50人くらいいるようだ。でも、タイトルにこの珍しい名字を使うということは、実際に作者が知っている、モデルになった人がいるのかなと思ったのだが、1巻の巻末に種明かしがしてあった。
どうも作者には「難読希少名字」に凝っていた時期があったらしい。だから登場人物に「一」(にのまえ)とか「月見里」(やまなし)といった初見では読めそうにない名字が出てくる。なお、この作品の巻末には、「難読希少名字」から生まれた短編で、この作品の元となった「ラッキースパイダ―」も収録されている。
実は、なぜか時折父親の記憶がよみがえる。これがタイトルのフラッシュバックの意味である。それは、父親が好きだった高校時代の母親に関する記憶。父の治と綾は高校時代の同級生だった。
そして、実は、今の母親と昔の大蜘蛛ちゃん時代の母親に恋しているのだ。
別に大きな事件が起きる訳ではないが、なんかほのぼのとした雰囲気でストーリーは進んでいく。絵柄もほのぼのとした感じで、あまりシュールさが感じられないところが、内容によく合っていると思う。
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