この作品を一言で表せば、異世界転生ものだ。主人公は、腕のいい菓子職人で、パティシエ世界一を決める決勝戦の最中に事故で命を落とす。そして彼は異世界で貧乏貴族の跡継ぎとして転生して、ペイストリー=ミルーモルテールンと名付けられる。モルテールン家は騎士爵の家で、先の戦争で武勲をあげた父のカセロールに領地が下賜され、最下級とはいえ貴族になった。
ところで、作品によっては、騎士爵や準男爵といった階級は、貴族とは認められなかったり、一代限りというものもある(厳しいのは男爵も一代限りと言う設定もあったような)が、この作品では、騎士爵も領地を持って、代々続く貴族とされているようだ。ちなみに、この世界には、準騎士爵と言う階級もあるらしい。
この世界には魔法がある。教会で聖別の儀を受けることにより、才能があれば魔法を授かるのだが、普通は13~15歳で行う成人の儀式をでもある。しかし、ペイストリーは僅か7歳で聖別の儀を受けるのだ。モルテールン騎士爵家に盗賊が迫っているので、戦力として期待できるようにするためである。
もちろん、ペイストリーは魔法を授かる。それは「転写」と言う魔法。名前からはそうたいした魔法のような響きは受けないが、実は超チートな魔法。他の人の魔法を自分に転写することにより、その魔法を使えるようになるし、敵に傷を転写すれば、敵を傷つけることができる。もちろん、絵姿をコピーするようなこともできる。
この話は、ペイストリーがこの魔法の力とパティシエとしての前世のお菓子作りの知識を使って、異世界で大活躍するという話えである。実はある事件が起こるのだが、この事件が解決したとき、ペイストリー少年は7歳にして、婚約者ができてしまった。しかも超絶美少女だけど4~5歳年上。この巻はここで終わっているが、順調にいけば結構な姉さん女房だが、果たして二人の仲はどうなるのだろう。
しかし、「転写」の概念がここまで含むとは思いもよらなかった。また、彼のもう一つの能力であるお菓子作りには、あまり「転写」は絡んでいないような感じなのだが、この後どうなるのだろう。
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