この副題をみて、ピーンと来る人もいるだろう。キリスト教が日本に渡ってきた後、禁教となったので、地下にもぐり、隠れキリシタンとなった。密かに信仰しているため、観音菩薩に似せたマリア像(マリア観音)などを祀っていたのは有名だ。でも当時のキリスト教は植民地化の先兵。キリスト教と知らない蛮人たちに、正しい神の教えを広めるというはた迷惑な考えでやってきたのだ。だから為政者は危険を感じ禁教に指定したのである。しかし、素朴な庶民たちは、なぜかキリスト教に帰依してきた。この話もそのキリシタンに関係するものだ。
この物語は、いつものようの八五郎が平次の家に飛び込んでくるところから始まるのではなく、いきなり屑屋の周助が殺されたというところから始まる。彼は、転び切支丹と宗門御改めの台帳に載っており、祀っているマリア観音の台座には百両もの大金が隠されていた。
周助は三軒長屋の真ん中に住んでおり、その両隣のどちらかのうち先に帰ってきた方が犯人だと目されていた。いつものように、平次の敵役、迷探偵役の三輪の万七とその子分のお神楽の清吉が、左隣に住んでいる蝮の銅六をしょっぴいたが、大体万七のやっていることは、無実の人間を冤罪でしょっぴくこと。この時点で真犯人は、右隣に住んでいる魚屋の伝吉だとおもいきや、実は・・・。
でもやっぱり、三輪の万七は平次の引き立て役だった。
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