だいぶ前に上巻のレビューを書いたまま、解決編となる下巻が行方不明になっていたこの作品。調べてみると、2014年の8月にレビューを書いたようだから、本当に久しぶりだ。この作品も内田さんの浅見光彦シリーズの一つである。
本書は、京都新聞に10ヵ月に渡り連載していたものに大幅に加筆したものだと言う。内田さんの最後の作品となった「孤道」も毎日新聞に連載(未完)されていたものだ。調べてみると、他にも新聞に連載していた作品が結構あるようである。
光彦は、この作品では、京都に来ている。京都高島屋にある「ダイニングガーデン京回廊」を取材するためだ。調べてみると、実際にあるレストラン街で、京都高島屋の7階にあるようだ。内田さんの作品は、実際にある場所や、実際の事件がよく出てくるので、旅行を考えるうえでいい参考になるだろう。
光彦は、「ダイニングガーデン京回廊」の取材に来たはずなのに、いつものように事件に巻き込まれる。事件と言うのは7年前の大勝涼矢が死亡したもの。彼は「都とねたい」というダイイングメッセージを残していた。都というのは大勝の妻である。そして上田京子の殺人事件。
この作品は寂光院放火事件と殺人事件、紫式部と名付けられた高麗青磁の壺などを結び付け、良くミステリーとして纏めていると思う。ただ光彦は珍しく迷探偵よろしく、最初は犯人を間違えていたのだが。
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