鉄砲汁というのはフグ鍋のこと。河豚を鉄砲と言うのは当たれば死ぬというしゃれらしい。この話では河豚鍋を食べた3人のうち一人が当たって死んだという。
本書はいつものように、ガラッ八が平次の所に飛び込んでくるところから始まる。今回は八がいつもと違い景気がいい。金には縁のないはずの八が大金を持っているので、盗んだんじゃないかと八を詰問する平次だが、話を聞いてみると、八が二分で買った脇差が十両で売れたという。実はおまけにつけた根付の方が本命だったのだが。
ところが、脇差を買った浜町の吉三郎と言う男が河豚の毒に当たって死んでしまう。いっしょに河豚鍋を食べたのが、唐人お勇という女と御家人喜六という浪人者らしい男。殺人事件で、その背景には抜荷という犯罪があった。
この話では平次は散々な目にあう。毒殺されそうになったり、家に放火され焼け出されたり。そして最後には景気よく投げ銭をしている。曲がったことが大嫌いで、岡っ引きの余禄には縁がなくビン豪暮らしの平次のこと、あとで恋女房のお静さんに怒られないかな。それが少し心配になった。
☆☆☆☆