曇、20度、97%
ここ香港におけるホームベーカリーの普及率、さてどれくらいのものでしょうか?高いものはパナソニック、象印。その3分の1の値段で、中國製が買えます。ホームベーカリーは、確か、ニーダー、つまりパン種をこねる為の機械作りから発展した電気製品だと聞いています。古いアメリカンの雑誌で、今は亡き料理研究家のジュリアチャイルドが、ホームベーカリーの蓋をとって匂いを嗅いでいる写真があります。アメリカでは、もう随分と古くからあるホームベーカリーのようです。それにしても日本の機種は、あれこれといろいろな仕事をこなしてくれるそうです。お餅も作れますし、ご飯からパンを作ることだって出来ると書いてあります。この発想、流石日本です。でも、相変わらず、こねこねして、パン生地とにらめっこしながら焼くパンが好きです。
このホームベーカリーブームに乗って、日本のクオカのホームベーカリーミックスなども簡単に手に入るようになった香港です。製菓製パンの材料をシティースーパーの富澤商店のコーナーでも買うことができます。こんなに普及する以前、タイ、韓国、アメリカ、フランス、イギリス、中国、手に入る強力粉をほとんど試しに焼いてみましたが、小麦の産地、製粉術このふたつの要素はパンのおいしさを大きく左右します。小麦粉の産地は、北米。製粉技術は日本。と頑に信じていた私が、日本の小麦で作られた小麦粉に興味を持ったのは、このほんの数年のことです。先日、富澤商店の「ゆめちからブレンド」を買って来て、プルマンローフを焼いてみました。噂に違わずいい小麦粉です。香りが薄いのがやや難点。この香りとは小麦の香りです。
でも、何故、富澤商店はゆめちから100%の粉を売らないのか?とても疑問でした。ブレンドすることでパンを作り易い小麦粉にしたいのか、何か欠点を補う為のブレンドなのか、一度は、「100%のゆめちから」を焼いてみたいと思っていました。いえ、そうブログに書いてしまったのです。
1週間ほど前、郵便屋さんが小包を届けてくれました。なにかな?開けてみると、「100%のゆめちから」が入っています。私が書いたちいさな言葉も逃さずに友人は、送料の方がうんと高くつくにもかかわらず、「100%ゆめちから」を送ってくれました。
さあいよいよ、「100%ゆめちから」でプルマンローフを焼きます。
先日の「ゆめちからブレンド」で感じたのは親水性がいい粉だということです。水は、少なめに加えてみます。プルマンローフの生地は、かなりべとつき気味に仕上がります。一次発酵では、やはり、縦にも横にも伸びる特性があります。蓋を閉めて焼くプルマンローフは、1次発酵の状態で、2次発酵の時間を決定しますが、時計より自分の目の方が正確です。焼成の為にオーブンに入れるタイミングが、きちんと角があるプルマンローフを作ります。
この「100%ゆめちから」、こねている時から香りがたってきます。1次発酵の後ボールからすくいあげる時にも、甘い香りです。以前のブレンドでは、この香りがありませんでした。
持ち重みのあるプルマンローフです。焼きたては普通、外はやや固めですが、ゆめちからで焼くと耳まで柔らかに焼き上がります。気泡の大きさも、上に向かうの生地の延びも見事です。
お味は、どちらかというと甘く感じる(砂糖の甘さではありません。)パンに仕上がります。おそらく、ゆめちかという小麦が持つ甘みです。こね、焼成、焼き上がった後もいい香りだったこのパンですが、やはり、食べると香りが薄く感じます。これも、ゆめちからの特徴です。初めに噛み切った時に、小麦のはじけるような香り、欲を言えばその力強さに欠けています。これは、北海道と北米の土壌の違いから来るものでしょうか。
「ゆめちから100%」のプルマンローフ、日本人のようにホンワリしたパンです。もちろん、バターもお水も日本のもので焼いてみました。
こんな貴重な体験、いつも心にかけてくれてありがとう。