曇、21度、88%、雷注意報
ハーブ、ハーブというけれど、所詮、雑草よね。と言いながら、毎年春になるとハーブの種を蒔きます。花の種を蒔くことを望んでいるのは主人です。確かに、窓辺に色取り取りの花は気持ちを明るくしてくれるはずです。それでも、頑としてハーブを植えるのはもちろん食べるため。特に一番場所を割くバジルにいたっては、あのバジリコのスパゲッティを食べたい一心です。ちいさなパセリの葉の一枚が、私が作った料理を何倍にも美味しくしてくれます。ちいさなミントの葉一枚が、私が作ったアイスクリームを美味しそうに見せてくれます。私にとってはハーブは、私が作る食卓に欠かせません。
出窓の向こうの狭いスペースにプランターや植木鉢が並びます。流石に冬場は、ここ香港でもシソ科のものは、冬を越せません。バジルの刈り込みが終わり、シソも全部食べ尽くすと、パセリとミントが残りました。月桂樹、ローズマリーはびくともしない大きさに育っています。ミントは出番の少ないハーブです。冬に我が家でミントを養ったのは、今年がはじめてのこと。日本より遥かに暖かな香港です。放っておいたのにランナーを伸ばして、小さな鉢から隣の空き家のプランターに子孫繁栄を企てました。見事にその企みは成功して、気が付けば、ミント王国になっています。
暑い夏と違って、ミントの緑は鮮やかです。冬の間は、存分にその緑を楽しみました。ところが3月に入り、そろそろ種を蒔こうかと思うと、ミント繁栄のおかげで種を蒔くスペースがありません。申し訳ないけれど、一旦刈り上げる事にしました。ランナーは、1m近くも伸びています。しかもその1mに脇芽がでているので、両手で握れるほどのミントの束が出来ました。目にも鮮やかなグリーンのブーケ。
早速、部屋のここかしこに生けてみます。ハーブは置いているだけでは香りません。風が吹く、手で触るとフワッと匂いがたちます。ガラスの花瓶に生けて私の枕元に置きました。わずか3日で、白いひげ根が出始めました。ほら、やっぱり雑草だわ。強いものねえ、とひたすら感心する私です。
写真のピッチャーの中もきっとひげ根で一杯になっているはずです。暑さにはトホトホ弱いミントです。4月に入ったら、植木鉢に戻します。伸びたランナーは掘り起こしておいたはずですのに、見るとプランターの脇に小さくミントの芽が出ています。ランナーの色は緑ではなく薄紫色。しかも、普通の茎の倍近くも太いものです。バジルの芽がやっと出始めたその横にミントの芽、共存してくれると思います。なにぶんにも、どちらも雑草ですから。
あと数日、花瓶のミントを楽しみます。