曇り、2度、 福岡
私が育った実家を改築しました。改築を初めて、母が逝きました。改築の工事はどんどん延長して概ね出来上がったのは、改築を初めて1年半後。まだ、照明器具を決めきれずにいます。すぐに住むわけではありません。時間を掛けようと思います。私自信は、改築に乗り気ではありませんでした。それを懸命に進めてくれたのは主人です。出来上がり、家具や仏壇を戻し、香港の家の余剰な本たちまで搬入しました。この2日、寒い中を掃除に明け暮れます。お正月前には戻ってこれません。せめてもこの家に対する気持ちとして、家をきれいにして新しい年を迎えさせてやりたいと思います。
一人で、無心に掃除をしていると、実は寒さも感じませんが、つくづく、そして心の中から沸々とよかったという気持ちがわき上がります。心底主人に感謝です。
家にあった家具はほとんど松本の家具です。その松本の家具の中でたった一つ、家具を捨てました。三面鏡です。どう考えても、私の好みではない、これには今も後悔なし。残した家具は全て松本のもののみです。1年半、倉庫にあづけている間カビが付いてしまいました。そのカビを取り、匂いを取り、磨き上げます。母が、手入れをしなかった分、カビ以外にも痛みがひどい家具もあります。
ビューローという、蓋付きのデスクがあります。この写真は蓋を開けて、デスクにした状態です。この机、私が小学5年の時もらったもの、つまり、私の机です。18歳で東京に出たときも、このビューローと整理ダンス、父が買ったくれた鏡は一緒でした。香港に行く時、ビューローは実家に置いて行きました。一緒に使っていたキャプテンチェアーは壊れてしまいました。今は椅子なしです。
母が入れていたものは全て捨てました。今は空っぽ。磨きながら思います。いつかまた、このビューローが私の本やステイショナリーで一杯になる日が来ることを。この机の上で居眠したことも、一杯本を読んだことも、ラブレターを書いたことも、きっと机は覚えていてくれます。
ガスさえ開けば、人が泊まれる状態にまでしました。人って私です。親の家を受け継ぐ、受け継いで行く、主人なりにその責任を果たそうと決意してくれていると感じます。実は主人は長男で、私たち二人が整理すべき家はもうひとつあります。それも覚悟の上のことです。
私より一日遅れで東京に入った主人と、昨晩、福岡で合流しました。今から主人と、家に向かいます。実際の生活は随分先ですが、今日から始まります。