チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

「いつもお元気ですね。」

2014年12月22日 | 日々のこと

晴れ、12度、49%

 先日、永年の知人に道でばったり出くわしました。丸顔の彼女は私よりちょっとお姉さん、数年前に太極拳を始めて以来、顔艶もよく色白に変身しています。「いつも元気ね。」と挨拶しました。同じ方向に向かっているので歩きながら話します。主人のことやモモさんのことを尋ねてくれます。すると急に、「実は昨日、子宮がんの手術をしたの。」とおっしゃいます。今年に入って、私の周りには3人、子宮がんの手術をなさった方がいます。皆さん、一晩の入院で退院。ガンのステージにもよりますが、それぞれその時のことを話してくれる様子も違います。この彼女は、いつも、話し言葉も短く、冗漫な話し方ではありません。いつものように、手短にがんが見つかった様子や手術のことを話してくれました。そして、いつものように別れ際も、長々と話が延びずに、「またね。」と別れました。

 別れてから、彼女の後ろ姿を振り返りました。顔はいつものようにツヤツヤでしたが、そんな話を聞いた後だからか、心なしか肩が寂しそうに見えました。お一人暮らしです。心細かったのではないかと思います。そんな彼女に、「いつも元気ね。」なんて言ってよかったものやら、少し反省しました。

 昨日の朝の散歩の途中、永いこと会わなかった香港人の女性に会いました。遠目にも彼女と分かったのですが、以前と違って、顔色が悪く、少し痩せたように見えました。思わず、「お病気でも?」とお聞きしようかと思ったのですが、「いつもお元気そうですね。」と挨拶しました。その途端、彼女の目も顔も一瞬にしてパッと明るく輝きました。彼女、屈んでモモさんの体を触ってくれ、たわいない世間話をして別れました。彼女とは、ほぼ毎朝、私が走りに行く道で会っていました。彼女は、スライド大きな見た目のいいランナーです。別れる時に、彼女が「今度は、ボーエンロードで会おうね。」と言ってくれたとき、きっと何か大きな病気をしたのかもしれないと、胸に来るものがありました。

 人と会った時に、「いつも、お元気そうですね。」と言ってしまいます。それには小さな理由があります。こんな私でも、落ち込んでいたりちょっと思わしくない体調のとき、お会いした人が「あら、真奈さん、いつも元気そうね。」と言ってくれると、はい、単純なものでそれだけで元気になることがあります。50も半ばを過ぎ、60近くになると、いつもいつも元気でいられません。身体的なこと以外に精神的なことが原因の場合もあります。外目にも頬が落ちていたり、目に活気がなかったり、明らかに現れてきます。そんな時、「どこか悪い?」と聞かれると、ああ、外見に現れてるなと自分を振り返ります。

 さあ、「どこか悪い?」と尋ねるのと「いつも、お元気ですね。」と声を掛けるのどちらがいいのかな、と迷います。挨拶ですから、迷いながら即座に判断するわけです。ただ、おじいさん、おばあさんに声をかけるときは、決まって、「いつもお元気ですね。」と言うようにしています。どの方も、ほんとに一瞬にして、明るい目元になってくれます。

 若い頃にはこんなこと、考えもしませんでした。年齢を重ねることは、やはり素晴らしいなと思います。かけてもらった一言で、心にぽっと灯が灯る、そんな言葉かけが出来たらとつくづく考えます。

コメント
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