小雨、16度、79%
ロマネスコを初めて見たのは、2年程前、日本のデパートの地下食料品売り場でした。その見た目といい、名前といい、野菜とは思えない程の存在感がありました。名前はローマのなんていう意味でしょうが、まるでスペインのガウディーの建造物を思い起こさせる野菜です。その時は、お名前をしっかり覚えて、別れました。実は、一目惚れでした。ラップに包まれいて、残念なことにどのように香しいかも知りません。
さて、香港に戻ると早速、その一目惚れの野菜を探します。これだけ、世界中から野菜が集まる香港ですが、高級食材店にも置いていませんでした。昨年のことです、避暑地近くに住む友人が、なんとこのロマネスコを趣味で育てています。そして、寒くなり始めると、大収穫。この友人、今年もロマネスコを種から育て始めました。一緒に植えた、ブロッコリーやカリフラワーとその成育過程では見分けがつかなくなるようです。虫にやられながらも、寒さに向けて成長して行きました。ひと月程前からは、はっきりとガウディーの尖塔らしきものが現れました。この成長の過程をみるのはワクワクものです。友人は、どれにも満遍なく愛情を注いでいますが、私の感心はロマネスコしかありません。なにぶんにも、惚れた弱みです。1週間程前、雪を被ったロマネスコの収穫が行われ、美味しかったと一言。あー、私の恋心は募ります。
ちょうどその頃、香港の高級食材店にロマネスコが登場しました。オランダからやって来たそうです。お値段はというと、あれー、日本円で1000円ほどもします。かの友人宅近くのスーパーでは、カリフラワーと同じ値段だったそうです。ここでも断念して帰りました。
クリスマスの日、雨の中をセントラルの郵便局へ年賀状を出しに行きました。町はナショナルホリデーでお休みです。24日には全ての準備が整っていたにもかかわらず、なぜかセントラルの市場の坂道を家に向かいました。ここの八百屋はSOHOやランカイホンのレストランい野菜を卸します。ふと見ると、ロマネスコのあのトンガリが、カゴからのぞいています。いえ、私を呼んでいるようです。レストランに卸すというそのロマネスコをひとつ、お願いして買って来ました。お値段、日本円で400円程でした。ロマネスコひとつを大事に抱えて家に戻りました。
小房に分けて茹でてみました。カリフラワーの一種のロマネスコです。ブロッコリーのようでもありながら、その食感や香りは、やはりカリフラワーに近く感じます。硬めに茹で上げて、ぽりぽり。
クリスマスのディナーのローストチキンの添えにいろんな野菜を用意していましたが、 このロマネスコだけで充分見応えがあります。
2年近く恋い焦がれたロマネスコ、クリスマスにやっと食べることが出来ました。我が家のモモさん、尖ったカリカリがお好きです。