さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・
瓜小屋へよく行ったが、いつも てて親と一緒だった。
瓜小屋は、ウリやスイカなどを盗まれないように番をする小屋だが、木とむしろで作られた粗末なものだったが、わたしは好きだった。
夏休みも終わりに近い頃になると、大風に襲われることが時々あった。粗末な作りの小屋のため、大風ともなると激しく揺れ、とても怖かった。
すると てて親は、「ホーイ、ホーイ」と大声を張り上げて、風を追い払おうとするんだ。
その頃 てて親は六十歳近くで、当時としては年寄りであり、わたしも含めた皆からは「おじいさん」と呼ばれていたが、風を追う時には とても大きな声を張り上げていた。
今思えば、「ホーイ、ホーイ」と叫んだくらいで 風が他所へ行ってくれるはずはないが、その頃は、てて親の風を追う声を聞くと 不思議に安心することができたなあ。
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