さても このごろは、昔のことが しきりに思い出される・・・
里の家では、小麦も作っていたが、家でうどんを打つことはあまりなかったが、蕎麦は兄嫁さんが時々作っていた。
兄嫁さんは、石臼をごろごろと長い時間かけて蕎麦の実を挽いて粉にして、それを小さな声だが掛け声をかけながら練り上げていた。
それを、溜まり醤油で味付けした汁とネギを薬味に昼食や間食として食べさせてくれた。
兄嫁さんは恐い人だったけれど、あの蕎麦は美味しかった。
「おまんも、蕎麦の打ち方をしっかり覚えるんやで」と、蕎麦を打つのをいつも眺めていたわたしに、決められたせりふのように言っていた。
しかし、わたしは小さい頃に家を離れてしまったことや、その後も 所帯を持ったあとで蕎麦を食べる機会があまりなかったこともあって、とうとう一度も打つことがなかった。
兄嫁さんがあのように言っていたのに、もしかすると、わたしは大きな損をしていたのかもしれないと思うことがある。
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