雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

清少納言のお人柄

2014-10-07 11:00:06 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
     枕草子  ちょっと一息 

清少納言のお人柄

清少納言というお方は、どのような女性であったのか。
多くの研究者の方々が、いろいろな資料をもとに清少納言のお人柄を探ろうと研究してきています。そして、ある程度は、清少納言像というものが形作られてきているように思われます。

しかし、いろいろな資料といっても、何せ千年前の女性のことですから、ごく限られたものになります。
同じ歴史上の人物でも、女性の場合は男性に比べて伝えられている資料は極端に少ないのです。それは平安期に限ったことではなく、江戸時代に至っても女性の公式資料として残っているものは極端に少ないのです。
清少納言という女性に関しても同様です。
頭の回転が極めて鋭く、漢詩や漢文の素養も高く、性格も理知的でさっぱりとしていて、やや男性的なイメージだとされているものが多いようです。

しかし、清少納言のお人柄を知る資料は極めて少ないのです。その中で、紫式部日記にある清少納言評を過大評価して、清少納言を面白味のない女性のように受け取られている面があるのは残念なことです。
多くの研究者は、同時代の女流歌人の中では、清少納言と交流している人物は紫式部より遥かに多いとし、慕われる存在であったとする人も少なくありません。
紫式部の指摘はかなり感情的になっているようなのです。もっとも、その原因になったのは清少納言の方らしいのですが・・・。(枕草子百十四段)


それはともかく、結局のところ、清少納言のお人柄を知る手掛かりは、枕草子を中心とした彼女の作品を超える資料などないと思うのです。
千年の時を超えて私たちに残してくれた作品をもとに、そこに表現されているもの、必死になって胸の奥にしまったと思われるものなどを通して、私たち一人一人が清少納言像を思い描くことこそ『枕草子』を理解する重要なヒントなのではないでしょうか。

あなたの描く少納言さまが敬愛すべき女性像になるよう、ファンの一人として願っています。

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