『 枝を踏み外して落ちそうになるのやら、枝伝いに動きながら寝ぼけたような声で鳴くのやら、昼間に見るのとはまるで違って、間抜けで愛敬たっぷりなんですよ。』
カラスって、とても賢い鳥だってご存じですか。
でもね、面白いところもあるのですよ。
夜になると、それぞれ、塒(ネグラ)に帰るのですが、夜中になっても寝場所が定まらないのがいるらしく、互いに場所を取り合って騒ぎだすの。
そのうちに、枝を踏み外して落ちそうになるのやら、枝伝いに動きながら寝ぼけたような声で鳴くのやら、昼間に見るのとはまるで違って、間抜けで愛敬たっぷりなんですよ。
ところがね、夏の夜は短くて、それでなくとも忍ぶ逢瀬の時間はあまりにも短いものでしょう?
それなのに、空がほんの少しでも白みかけてくると、まだ後朝(キヌギヌ)の別れには切ないと思っていますのに、部屋の真上のあたりから、明けガラスが声高く鳴いて飛び立っていくのですよ。
何だか、昨夜からの逢瀬を見透かされているような気がして、可笑しくなってしまいますわ。ほんとに、いやですよねぇ・・・。
( 「麗しの枕草子物語 カラスって面白い」 より )
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