雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

雲と風の匂い

2010-04-24 11:03:07 | さても このごろは

さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・


子供の頃には 天気予報なんてなかったよ。
テレビはもちろん家にはラジオもなかった。新聞はあったが、さて、毎日配達なんかされていなかったんじゃないかな。


それでも てて親はお天気を当てるのが うまかったよ。
「ほら、西山さんにあんなに黒い雲がかかったから、こりゃあ、ひどい雨がやってくるぞ」と、てて親が言うと、ものの三十分も経たないうちに、土砂降りになったもんだよ。


まあ、三日も四日も先のことは分からなかったんだろうが、翌日のお天気なんかは、雨だけでなく 風の強さや暑さ寒さなども、よく当てていたよ。


わたしが、どうして分かるんか、と尋ねると、雲の様子と風の匂いに気を配っていたら、大概お天気なんか分かるもんだよ、と言っていた。
特に 西山さんの様子は、この辺りの天候を知るのに一番大切なんだ、とも言っていたなあ。


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