原発の今後については多くの意見が錯綜していますが、今こそ冷静な議論がなされ、それも拙速ではなく、本当の意味での英知が結集された形での方針が出されることを願っています。
特に、間もなく衆議院議員選挙が行われるでしょうが、故意なのか無知なのかはともかく、現実を無視したような政策が堂々と列記されることは、これまでの選挙で嫌というほど見せられてきました。次の選挙でも、またまた似たような状況になると思うのですが、今度は有権者も少しばかり真剣に正否を見分けられるよう努力しましょうよ。
その、『夢』のような公約の中に、原発政策も入れ込まれるのではないかと懸念しています。
もちろん、この夢は、「将来への夢」などとは別次元の、寝惚けたような『夢』のことを指しています。
わが国の電気エネルギーの調達源を原子力に求めない、ということには多くの人が賛成だと思われます。私もその一人です。
しかし、現実の社会を考えてみた場合、放射性物質が怖いという観点だけで結論を急げば、多くの問題を生み出してしまう可能性があります。
例えば、わが国にとっていえば、短期的には電力料の高騰は避けられないでしょう。発電と送電の分離とか、合理化だとか、改善余地はあるとしても、相当の高騰は避けられないでしょう。そのくらいは節電で家計を守ればよいという考え方もありますが、企業がそのコストを吸収するのは大変なことです。
企業の場合は、節電や省電力機器を作りだしても、海外の企業も追随してきます。間違いなく、海外勢に負けるか、工場を国外に移すことでしょう。電力料の高騰や、電力の供給不安で怖いのは、雇用の喪失なのです。
世界的な規模で見れば、石油資源の高騰に力を貸すことになるでしょう。少しくらい高くなっても他の物を節約して輸入すればよいという人もいますが、現在苦しい状態にある国や地域は、さらに酷い状態になるでしょう。
石油価格の高騰は、バイオ燃料の生産を進めることにもなります。そしてそれは、飢餓状態にある人たちに致命的な打撃を与えるでしょう。その人たちに回されるはずの小麦やトウモロコシのかなりの部分が先進国のバイオ燃料となるでしょう。
原発の怖さは、十分知らされました。それらを制御する体制が未熟なことも知りました。
しかし、わが国には、現実として54基の原発があるのです。世界には400基を越す原発があり、なお計画中の物も少なくありません。これが、現実なのです。
わが国は、この54基の原発をいかにコントロールし、代替エネルギー源の開発を急ぎ、そして何よりも大切なことは、廃炉技術を確立させることなのです。
廃炉技術が確立しない限り、原発廃止など出来るわけがありませんし、いたずらに電力会社や研究者の力をそぐような行動や対策は禍根を残すことになるはずです。
冷静な議論や方針決定がなされることを祈るばかりです。
( 2012.09.06 )
特に、間もなく衆議院議員選挙が行われるでしょうが、故意なのか無知なのかはともかく、現実を無視したような政策が堂々と列記されることは、これまでの選挙で嫌というほど見せられてきました。次の選挙でも、またまた似たような状況になると思うのですが、今度は有権者も少しばかり真剣に正否を見分けられるよう努力しましょうよ。
その、『夢』のような公約の中に、原発政策も入れ込まれるのではないかと懸念しています。
もちろん、この夢は、「将来への夢」などとは別次元の、寝惚けたような『夢』のことを指しています。
わが国の電気エネルギーの調達源を原子力に求めない、ということには多くの人が賛成だと思われます。私もその一人です。
しかし、現実の社会を考えてみた場合、放射性物質が怖いという観点だけで結論を急げば、多くの問題を生み出してしまう可能性があります。
例えば、わが国にとっていえば、短期的には電力料の高騰は避けられないでしょう。発電と送電の分離とか、合理化だとか、改善余地はあるとしても、相当の高騰は避けられないでしょう。そのくらいは節電で家計を守ればよいという考え方もありますが、企業がそのコストを吸収するのは大変なことです。
企業の場合は、節電や省電力機器を作りだしても、海外の企業も追随してきます。間違いなく、海外勢に負けるか、工場を国外に移すことでしょう。電力料の高騰や、電力の供給不安で怖いのは、雇用の喪失なのです。
世界的な規模で見れば、石油資源の高騰に力を貸すことになるでしょう。少しくらい高くなっても他の物を節約して輸入すればよいという人もいますが、現在苦しい状態にある国や地域は、さらに酷い状態になるでしょう。
石油価格の高騰は、バイオ燃料の生産を進めることにもなります。そしてそれは、飢餓状態にある人たちに致命的な打撃を与えるでしょう。その人たちに回されるはずの小麦やトウモロコシのかなりの部分が先進国のバイオ燃料となるでしょう。
原発の怖さは、十分知らされました。それらを制御する体制が未熟なことも知りました。
しかし、わが国には、現実として54基の原発があるのです。世界には400基を越す原発があり、なお計画中の物も少なくありません。これが、現実なのです。
わが国は、この54基の原発をいかにコントロールし、代替エネルギー源の開発を急ぎ、そして何よりも大切なことは、廃炉技術を確立させることなのです。
廃炉技術が確立しない限り、原発廃止など出来るわけがありませんし、いたずらに電力会社や研究者の力をそぐような行動や対策は禍根を残すことになるはずです。
冷静な議論や方針決定がなされることを祈るばかりです。
( 2012.09.06 )