マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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福住西念寺十夜会法要

2009年01月15日 07時58分11秒 | 天理市へ
茅葺きの本堂が珍しい天理市福住の西念寺。

十夜会法要の日、祭壇には十二個のユズを数珠型にしたもの、斜めに半切りしたゴーヤに水引で括った麩、エリンギキノコ(昔はマツタケだという)を立てたオソナエを供えて檀家衆を待つ。

十夜会は塔婆法要、十夜の法話、納骨法要が営まれる。

十夜は名前のごとく十日間夜中の法要であったが略式化されて一夜、それも昼間に営まれるところが多くなっている。

西念寺の十夜は元々13日間。

一日から始まって毎夜にわたり十三日まで僧侶の法要読経が営まれていたという。

受付を済ませた参詣者は温かい本堂に座して待っている。

13時、平服にお寺の袈裟をかけた二人は台上に登った。

ゆったりとした音程で唱和される称名双盤念仏。

双盤鉦が叩かれると堂内にカーンと響き渡る。

左手の打ち手から唱える称名。

しばらくすると右手の相方に移って同じように念仏を唱えて鉦を叩く。

「ナァンマー」、カーン、「アー」、カーン、「イダァー」、カーン、「アー」、カーンと双方が叩く双盤鉦は心地よい協音を奏でる。

双盤鉦を叩くのは鉦講と呼ばれる集団。

以前は7人だったが現在5人。

戦前に途絶えていたものを昭和34年に都祁白石の興善寺で教わり復活した。

当時は口伝で継承されていた白石の双盤念仏を聞き取って覚えたそうだ。

78歳になるNさんは30年ほど前に入って覚えたそうだ。

先代が鉦講だったので継がなきゃと思い入講したという。

他の講衆も同じような意志をもって入ったと仰る。

双盤念仏が唱えられていると導師らが入堂される。

塔婆回向が始まり、ナムアミダー、ナムアミダーと協奏曲のような和音が響き渡る。

堂内はおよそ100人ともなった参詣者ですき間もないくらい。

追善法要など1時間の営みを終えると双盤念仏が称名されて送り鉦がカーン、カーンと連打で下堂される。

ひといき休息したのちの法話、その次は納骨法要と営みが続く。

本来、納骨は葬儀直後なのだが、先代住職が一年にいっぺんの十夜の日に纏めてみようと始まった。

賑やかしがえーねんでと現住職はおっしゃっる法要は、親族一同が揃って焼香してゆく。

良い意味で塔婆回向と納骨法要は理にかなっている。

法要を済ませた一同は次々と下堂され檀家衆らが残っている。

最後は大玉の数珠繰りだ。

鉦講らのみなさんは大急ぎで堂内に数珠を広げていく。

寺の世話方になっている講衆も加わって、双盤鉦が叩かれるなか数珠繰りで十夜会を締めくられた。

(H20.11.13 Kiss Digtal N撮影)