マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

北野山町明王院イセキ

2010年10月10日 06時38分37秒 | 奈良市(東部)へ
奈良市の北野山町は隣村の丹生町と山添村の境にある山間地。

室町期に建立されたとする明王院がある。

お堂は昭和61年に建て替えられた。

それ以前は大きな庫裡もあって藁葺きだったそうだ。

お堂は瓦葺きだった。

それを示す文化年代(1804元年)の再建瓦寄付帳の古文書が残されている。

瓦檀家衆は丹生町や興ヶ原町、邑地町の布目川に沿っている。

本尊に不動明王を祀る明王院。

明治45年6月の寶物貴重品台帳には本尊不動明王、本尊脇立、地蔵尊、釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来、弘法大師、中奥開像、三宝荒神像書画、両界曼荼羅掛け図、音金、鉢とある。

掛け図は損失し新調されたそうだ。

その掛け図と音金は亡くなった人を弔うときに使っている。

柳生の立野寺から住職を迎えて法要が営まれる。

それ以前は興ヶ原から来ていたそうだ。

9月3日の今夜は村中の人たちが集まってくるイセキの日。

昭和34、5年ころまでは盆踊りをしていた。

「盆踊りは三日イセキや」と言ってみんなが踊っていた。

江州音頭だったという。

いつしか廃れて村は19軒になった。



公民館を建ててからは境内で料理をこしらえて集まるようにしている。

テーブルに出された料理を肴にビールを飲む語らいの場となっている。

一年に一度のイセキの夜はお堂の扉を開ける。

祀られている仏像のご開帳だ。

線香をくゆらして参拝者を待つ。

お布施を捧げて手を合わせた。

子供が喜ぶ花火も打ち上げられた。

山間の夜は冷える。

上着を羽織って、酒を飲む。長い夜の宴は始まったばかり。

そのころにはカラオケBGMに混じってクツワムシがガチャガチャと演奏をしだした。

(H22. 9. 3 EOS40D撮影)