マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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来迎寺イシキの御膳作り

2010年10月19日 07時20分42秒 | 奈良市(旧都祁村)へ
9月14日に本尊の善導大師の会式が営まれている都祁来迎寺町来迎寺。

今年、本尊並びに本堂が有形文化財に指定されたお寺だ。

前日は会式に供えられる御膳が当番の人と檀家総代によって作られる。

数は180個にもなるそうだ。

当番の3人は新築の庫裏の炊事場でよせられた野菜を御膳に載せられる大きさに切っていく。

カボチャは太く長いヒラカボチャとアイヅナンキンの二種が用意された。

それを八等分にして切断する。

ヘタは水平にして立てる。

ズイキは幅が広い茎は適度な高さで斜め切りにする。

先の細い部分も斜め切りにするが、そのままでは立てることが困難なのでジャガイモを薄切りした土台に串で挿す。

もう一つはフ(麩)だ。

これもジャガイモに串で挿すのだが形は二つに切断するので山の形になっている。

これらを膳に載せてコメサンを置く。

正方形の平たい板盆は枡ともいう。



それは一度に40枚、50枚とか様々な年代に寄進されたもので、古いものは裏面に寄進された人の名が墨書されていた。

一枚だけが文化十年(1813年)の七月に寄進したと年代が記されていた。

およそ200年前のことだから伝統行事であることには間違いない。

今までこの御膳を支度してきたのは檀家総代の奥さん方だった。

総代は永久総代だというから奥さんの支度はそうとうたいへんだったらしい。

負担をかけまいと相談した結果、3人の女性が家の順の当番で回るようにしたという。

一方では檀家総代の3人が本堂の壁一面にその御膳を供える棚を作っていく。

障子紙を一面に張って戸板一枚分ぐらいの長さの棚。

それは梯子に掛けていく。



ライトを取り付け、御膳を並べていく。

そこには一枚一枚の「先祖代々惣法界菩提」のお札(名札)が張り出される。

統括総代の大字友田、南之庄に小山戸を加えたソト(外)大字の多田、白石、甲岡、吐山からのお布施(御供)の印だ。

ずらり整然と並んだ御膳は壮観なものだという。

会式は善導大師の命日にあたる17日だったが、住職が替わり14日になったそうだ。

会式は訛ってイシキと呼ばれている。

翌日に営まれた会式には8人の僧侶が法要を営まれた。

御膳は本尊と阿弥陀仏に供えられる。

庫裏の仏壇にもだ。

法要は説法が主で、3人の僧侶が話されおよそ2時間も座っていたと翌日に聞いた。



それはともかく営みを終えた御供の生御膳は山に返された。

放生する意味があるのだろうか。

(H22. 9.13 EOS40D撮影)
(H22. 9.14 EOS40D撮影)