マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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シンカン祭りの宵宮

2012年11月15日 06時45分58秒 | 天理市へ
海知町倭恩智神社シンカン祭りはかつて9月7日、8日、9日に行われていた。

祭典は集まりやすい土曜、日曜に移された。

それゆえ7日は金曜日である。

前日に行われた大当屋家での神事を終えてこの日は宵宮。

昼間にお渡り行幸の儀式を終えた人たちは一旦家に戻る。

日が暮れるころにやってきた大、小の当屋。昨日と同様に烏帽子と素抱姿だ。

二人は拝殿に登って座った。

本殿の拝殿の間に設えた古い釜。

手伝いさんが藁束に火を浸けて燃やし湯を沸かす。

煙がもうもうと立ちあがる。

藁火が勢いをつけて燃えだせば湯が沸く。

燃え尽きた藁は湯釜から離しておく。

そこに登場したのは里の女児巫女。

昨日に行われた大当屋家での御湯之儀と同様に作法をする。

この日の宵宮には神職が登場しない。

巫女が神事を勤めるのである。

巫女は田原本町法貴寺の女児。

池坐朝霧黄幡比賣神社の宮司婦人が作法を伝えている。

始めに一礼をして湯釜を祓う。

シデを括りつけた幣を持って湯釜にそろりそろりと混ぜるような作法をする。

チン、チン、ドンに合わせて笹と幣をもって舞う。

右手に鈴を、左手に笹と幣だ。

鈴を鳴らしながら舞う神楽の舞い。

本殿に向かった際に一礼する。

幣と笹を釜に置いて塩、洗米、御酒を注ぐ。

丁度、その頃には夕陽が射しこんだ。

二本の笹を持つ巫女が作法を続ける。

始めに本殿の神さんが坐ます北に向かって拝む。

そして東、南、西に向かって三度の一礼をする。

それから笹を湯に浸ける。

前方に湯を飛ばす。

5回、繰り返して後方にも笹を振り上げる。

その数は10回だった。

次に鈴を右手に持ち替えて神楽を舞う。

チン、チン、ドンに合わせて舞う。

左に右に2回ほど回る。

それを終えて二人の当屋に鈴で祓う。

こうして終えた御湯之儀。



しばらくすれば村人たちがやってきた。

本殿を後ろにして拝殿側に立つ。

先ほどと同様に大、小の当屋が奏でる音に合わせて左回り、右回り。

巫女が鈴を手にして舞う神楽。

シャンシャンと鳴らした鈴で参拝者に祓いをする。

作法もそうだが、このように2度に亘って湯立て神事を行うのは珍しい。

この日も奈良県の民俗芸能緊急調査の関係でビデオ記録をさせていただいた。

この場を借りて厚く御礼申しあげる次第だ。

(H24. 9. 8 EOS40D撮影)