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マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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岩屋興隆寺十五酒

2012年11月23日 09時05分59秒 | 山添村へ
村入り行事が行われている山添村岩屋の興隆寺。

いつもであれば扉を閉めているがこの日は特別に開放する。

彼岸の日にはこうしておくと住職は話す。

本尊の阿弥陀如来も開扉された。

15歳になった男児は道造りなど、村の行事に参加することができる岩屋の決まり。

一人前になったことを祝う村入りを15歳で認めるから「十五酒(じゅうござけ)」と呼ぶ。

この日は中学三年生の男の子が出席するはずだったが、学校行事を優先するために父親が代理を勤めた。

2升5合のお米を納めての行事である。

この日はお寺の彼岸の回向。

村入りの男性は足を崩さずにじっと座っていた。

その間に絶え間なく彼岸のお参りを済ませる村人たち。

家族連れだってのお墓参りに線香をくゆらす。

回向を終えれば忙しく動き回る副住職。

彼岸の塔婆回向へ立ち去った。

本堂に座る檀家総代たち。

いつもの顔ぶれである。

席に着いた檀家たちに酒を注ぎ回る男性。

これが儀式の十五酒。

檀家総代らに酒を注ぐ。

村入りした証しに返杯を受ける。

村入りの男の子は長男、次男関係なく男の子であれば入り子になる。

それを「イリツコ」と呼んでいる。

塔婆回向を終えた副住職も戻って参列した。

十五酒の肴は当家が料理した5品のお重膳。

コンニャク、シイタケ、コーヤドーフ、カマボコにニヌキ玉子は家の味付けだ。

しばらくの時間は肴を摘まみに交わす酒杯。

2年後に受ける17歳の座入りの話題に移った。

岩屋の氏神さんは八柱神社。

秋祭りの氏神祭がある。

そこで行われるのが座入り儀式。

家系を継ぐ長男として認められる儀式であるから次男は対象とならない。

但し、養子も含む儀式であることから、その場合は17歳とはならないそうだ。

儀式では酒を三献(酒注ぎ三周)するそうだ。

「注ぐのが精いっぱいやった」と懐かしむ代理の親は話す儀式は元服祭のことである。

その氏神祭に出される膳がある。

その膳は座入りする家が調達する箱膳。

マメ・モチ・ザクロ・カキ・コンニャク・ジャコの座膳もある。

なお、座入りの氏子は翌月の11月1日に行われるサヘイ(さへとも呼ばれる月次祭)で煮〆と酒を御供して礼を述べると話していた。

岩屋の八柱神社行事は御石(ごいし)洗いから始まる。

かつては7日だったが今は第二日曜日。

朝は早い。

8時ころに集まった氏子たちが宮さんの石を洗う。

燈籠下にある玉石がそれだ。

モッコで運んでいって井戸の水場で洗う。

以前は前の川の石を拾って洗ったそうだ。

この日は手水場の屋根も清掃する。

宵宮祭は17日に近い日曜前日というから元々は17日の祭礼だった。

堂下の3人が直会の場を手伝う。

その様相は平成22年10月16日に拝見したことがある。

本祭りの氏神祭は17日に近い日曜日。

そのときに座入り儀式が行われると話された。

(H24. 9.22 EOS40D撮影)