マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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別所町の風の祈祷

2012年11月20日 09時28分32秒 | 奈良市(東部)へ
前夜の15日は風の祈祷と称する宮籠りだった奈良市の別所町。

一番トウ、二番トウ、三番トウ、四番トウと呼ばれるマツリの4当家は布団を持ち込んで社務所で籠るのであるが、形式を保つことなく不籠りになった。

ゲヤは社務所に上がれず、極楽寺本堂で籠ることも聞いていたがそれも不籠りであった。

翌朝は村の長老たちがお参りをする。

早朝に集合場所としていた会所の前。

車に同乗して向った先はカイトノモリ。

漢字を充てれば垣内の森と思ったが、神社の年中行事表記には「かいとの守り」とある。

その地は別所町と杣ノ川町との境界の山中。

鬱蒼とする林の中に佇む社がある。

平成21年に氏神さんの金刀比羅神社の造営の際に新しくした。

同時に鳥居も新しくしたという。

尤も、昔は社もない「山がご神体で、山の神さんそのものだった」と話す。

カイトノモリの社は、桜井の大神神社から勧請した三輪大明神社というそうだ。

カイトノモリが鎮座する「カイト」名は山の地番。

隣村の奈良市の田原の里から別所町、杣ノ川町の境界とする山道を通って都祁に向かった。

かつては伊勢街道で賑わったそうだ。

街道は今でも歩くことさえ困難な山道。

それゆえ車を走らせて新道を回りここまで来たのである。

集まった人たちは社に手を合わせて境内をぐるぐる回る。

時計回りに12周するが、この年は閏年。

そうであれば周回を13回。

4年に一度は13周するというから新暦の閏年。

かつての旧暦閏の月数のあり様を残していると思われる。

お参りを澄ませると再び便乗して別所に戻った。



長老らは金刀比羅神社の境内でも同じように13周した。

同神社の境内には遥拝棚がある。

その方角にあるのがカイトノモリである

二か所に亘ってお参りを済ませた別所町の行事。

二老の話によれば「昔は風の祈祷やいうて御供もあった」という。

風の祈祷の所作にぐるぐる回る処がある。

隣村の長谷町や和田町。

回数や作法は若干異なるが、その様相は間違いなく風の祈祷である。

ちなみにカイトノモリでも籠りをするという。

真っ暗な中で境内に火を灯す焚火。

その灯りで会食を共につするというカイトノモリの籠り。

日程はマツリの日に決めるそうだ。

(H24. 9.16 EOS40D撮影)