マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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平尾水分神社の祈祷祭

2016年05月14日 08時38分34秒 | 宇陀市(旧大宇陀町)へ
6月に行われた「田休み」に続いて訪れた大宇陀平尾の水分神社。

この日は夜8時より「祈願祭」が行われる。

場は「田休み」と同じく社務所内である。

1月18日のオンダ祭で大当・小当を務めた二人はこの日の行事も始まる前に雨戸を開けた社務所を清掃していた。

この日の午前中は暴風雨。

境内は風に煽られた葉っぱが散らかっていた。

6月の行事のときは社殿に巣くっていたミツバチで難儀した。

専門家にお願いして除去したことによって、この日は襲われることもなく安心して清掃ができたと話す。



平成23年に建て替えられた社務所に板書を掲げている。

墨書されている板書は平尾水分神社の「年中行事」である。

達筆な書の判読は難しいが、所々の一部が読める。

正月、二月、三月、四月、五月、六月、七月、八月、九月、十月、十一月、十二月はもちろん読める。

そのほとんどに御膳の文字がある。

お神酒、徳利、飯、通しなどがあることから大当・小当が務める座の膳の内容であろう。



一月十八日御田植のほか祈祷、御渡、御湯の文字もあった板書は文久三癸亥(1863)年正月に書かれたようだ。

田休み同様、この日も平尾檀家寺の日蓮宗妙福寺住職が読経を唱える。

社務所の扉を開けて水分神社に向かって座る氏子たち。



社務所に吊るした鈴緒を振り鳴らして始めた住職。

バイと呼ぶバチ道具で打つ木柾(もくしょう)は枕型の木製仏具。

これを打ちながら「観音経」を唱える。

田休みのときは「寿量品(じゅりょうぼん)。

そのときよりも一段と早い打ち方だ。

「寿量品」はゆったり。

「観音経」は早めに打つ。

木柾の音色よりも声高く強めに唱えるという。

田植え後の稲は根を張り、力強く育ってほしいと願う。



実りを妨げる虫も祈祷する。

日照りにならんよう雨乞いも兼ねているという祈願祭は水分神社の神さんに水を与えてくださいと唱えたという。

ちなみに八月末の八朔行事では「神力品(じんりきほん)」を唱えるそうだ。

(H27. 7. 1 EOS40D撮影)